相続手続きの山場は遺産分割協議にありますが、なぜ、山場なのか?
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。
相続の選択
誰かが亡くなると相続が開始します。
被相続人(故人)の死亡の瞬間に相続はまったなしで開始し、相続財産(負債も含)は相続人(遺族のうち相続する権利を有する者)に包括的に承継されます。
相続人は、相続手続きを進めていかなくてはなりません。
大まかな相続手続きの流れは、次の通りです。
相続は、すべきことは多い上に、期限もあります。
一般の方が、全てに気を払って、もれなく手続きを進めていくことは困難を伴うかもしれませんね。
さて、昨日までは、相続が開始してからの流れ、相続人の調査、法定相続情報一覧図の作成、遺言書の有無の確認と相続財産の調査までを解説してきました。
(相続手続きの流れと期限)ざっくり解説。相続手続きの3か月、4か月と10か月の期限とは?
(相続人の調査)知ってますか?相続の開始後、相続手続きで、まず最初にすべきこととは?
(法定相続情報一覧図)相続が発生したら作っておきたい法定相続情報一覧図の”3つのメリット”とは?
(遺言書の有無の確認)相続が開始したら遺言書を捜索しよう!
(相続財産の調査)相続財産とはどんなもの?どうやって探したらいいのかな?と思ったら読む記事。
ここまで来ましたら、次にすべきは「相続の選択」です。
過去記事からの引用ですが、大事なことなので、再度、記載しておきます。
相続の選択とは、相続するかしないかを決めることです。
民法には以下の通り規定されています。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
民法第915条1項に「相続の選択」は、大きく分ければ、相続するか否かを決めることが規定されていますね
相続をするのか、放棄(拒否)をするのかということです。
相続の選択には、3つあります。
大きく分けると承認する場合には①単純承認と②限定承認があり、相続を拒否する場合には③相続放棄があるわけです。
(相続の選択)
1.承認:①単純承認 ②限定承認
2.拒否:③相続放棄
相続の選択は、自分が相続人であることを知ってから3か月以内にしなくてはなりません。
法律は所有権など様々な権利義務の無主物化回避のために相続人が法律で決まっています。
しかし、相続人は、相続が発生したら必ず相続しないといけないとなると、いろいろ不都合もあるでしょう。
例えば、亡くなったお父さんが、不動産、預貯金や株式などのプラスの財産よりも借金(マイナスの財産)が大きくて、相続すると大きな借金を背負ってしまうことが考えられます。
いくら法律で決まっていても、相続することを強制されるのは酷ですよね。
ですから、相続人には相続するかしないかを選択することが出来るのです。
ただ、その選択をするには期限が決まっている、ということですね。
相続の選択については、次のブログを参考にして下さい。
【相続の選択】相続開始から3か月。生涯悔やむような選択をしないためにすべきこと。
具体的な相続手続き
相続することを選択したら、いよいよ具体的に相続手続きを進めます。
具体的な手続きとは、不動産の相続登記(相続人に名義を変える)、預貯金債権の解約・払い戻し、証券会社口座の名義変更、自動車の名義変更、そのほかの相続財産(動産など)を相続人が引き取ることなどです。
1.遺言書がある場合
遺言書があれば、遺言執行をすることになります。
一般的には、遺言の内容を実現する遺言執行者が指定されているかと思いますので、遺言執行者に任せればいいですね。
ちなみに、遺言執行者は、遺言者の指定により、法律を裏付けとされた権限が付与され、権利と義務が課されていますので、行政書士などの専門家を指定することが望ましいのではないかと思います。
遺言執行者に関する民法の規定の一部を掲載します。
(遺言執行者の任務の開始)第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。(相続財産の目録の作成)第1011千十一条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。(遺言執行者の権利義務)第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。3 ~省略~(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前2項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。(遺言執行者の行為の効果)
第1015条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
遺言執行者が指定されていないと相続人全員で協力して遺言内容を実現することになりますが、大変な作業なので、家庭裁判所で申し立てをして遺言執行者を指定する必要もあるでしょう。
遺言執行もなかなか大変な作業です。
一般の方が、執行手続きをするのは大変だと思いますので、万が一遺言執行者に指定されている場合には、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。
2.遺言書がない場合
遺言書がない、または遺言書に記載されていない相続財産があった場合には、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。
相続人全員が相続財産の分け方を話し合い、合意し、その内容を遺産分割協議書にまとめて、全員が署名・捺印する必要があります。
遺産分割協議は、遺言書がある場合に比べて、かなりハードルが高くなります。
遺言書は故人の最終意思なので、相続人も多少の不満はあっても、尊重することでしょう。
(著しい不公平があるようなら問題はあるかもしれませんが・・・)
相続人全員で話し合いができるか?
まずは、相続人全員が話し合いができる状況なのかが、問題となります。
例えば、相続人に未成年者、認知症、精神疾患、行方不明者、海外在住者がいたらどうするのでしょうか?
相続人が未成年だからと言って、話し合いの輪から外すことはできませんので家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要があるケースもあります。
認知症や精神疾患で意思判断能力を欠いているから分割協議に加えなくてもいいことはありませんので、後見人を選任してもらう必要があります。
行方不明者は探し出す努力をしなくてはならず、生死不明であれば、失踪宣告の手続きも必要になるやもしれないですね。
海外在住者とは、電話や書面の郵送によるやり取りで、話し合いを進められるとしても、遺産分割協議書の作成のために在外公館(大使館や領事館)または日本に帰国してもらい公証人役場に出向いてもらわなくてはなりません。
以上のように、相続人全員で話し合いをすることも案外大変です。
相続人全員が揃って話し合いができるとしても・・・・
相続人全員が揃い話し合いができる与状況であったとしても、なかなかお金の話をすることは困難を極めます。
実際に、遺産分割協議はなかなかスムーズにいかないようですね。
協議をどの様に進めたらいいのかわからないという、単純な疑問もあるようですから、そんな時はお近くの行政書士などの専門家に相談するとよろしいかと思います。
話し合いをする中で、遠慮したり、腹の探り合いをしたり、主張したいことがあったり、感情も問題があったりします。
相続人は関係の近い家族がほとんどです。
ですが、仲がいい家族、関係性が良い、といった家族だけではないでしょう。
そうすると、そんな関係の者同士が、話し合いをすることはかなり大変なことは想像に難くないと思います。
長く家族でいたからこそ、積もり積もった負の感情もあるかもしれません。
そんか感情が露呈し、場合によっては爆発するのが、遺産分割協議の場だったりします。
相続では、世の中の2大トラブルである、お金と人間関係の問題が一緒にやってくるのですから。
僕は遺言書があったら、問題なく相続手続きも完了しただろうにな、と言った案件を多々見てきました。
遺産分割協議の困難さについては、次のブログを参考にして下さい。
知ってますか?故人の遺した財産で遺産分割協議がうまくいかずに、相続問題や争いが起きている現実。
遺産分割協議書の作成
相続人全員(場合によっては特別代理人や後見人なども加わります)での遺産分割協議が整ったら、その結果を遺産分割協議書にまとめる必要があります。
遺産分割協議書には、相続人全員が署名・捺印して完成します。
遺産分割協議書の作成については、次のブログを参考にして下さい。
押さえておいてもらいたい不動産と預貯金債権の遺産分割協議書の作成のポイント。
遺産分割協議書が完成したら、不動産の相続登記、預貯金債権(金融機関の口座)の解約・払い戻しなどの手続きを進めます。
相続登記については、司法書士に任せた方がいいでしょうね。
金融機関の口座解約については、行政書士なども代行可能ですので、ご相談ください。
また、相続税の申告・納付が必要な場合には、早めに税理士に相談してください。
なお、相続税が課税されることが予想される場合には、遺産分割協議書に署名捺印する前に、税理士に相続税のシミュレーションをしてもらうことをお勧めします。
なぜかというと、相続税の節税もできる可能性があるからです。
相続手続きのご相談先
以上、この6日間は相続手続きに係る記事を書いてきましたが、案外、大変なことがわかるのではないかと思います。
すべきことは多いし、期限もあります。
なにより、大事な方を亡くし、気持ちも落ち着かない時に、このような手続きをもれなく、完璧に進めるのは困難を極めます。
当事務所では、相続手続きについてもお手伝いをしていますので、お気軽にご相談ください。
【相続手続きのご相談】
行政書士ジャジー総合法務事務所
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受付時間:9:00~18:00(土・日・祝日OK)
今日のJAZZ
ドラマー、シェリー・マンの《You and the Night and the Music》をB.G.M.にブログを書いています。
セプテット(7人)での演奏ですが、調和のとれた。落ち着いた演奏です。
各メンバーの短いソロも入っていて、ジャズを楽しめる一曲ですね。
お客様のご家族から頂いたコンピレーション・アルバム『居酒屋 JAZZ』に収録されていましたが、居酒屋でゆっくりジャズに耳を傾ける人はいるだろうか?(笑)
ただ、アルバム自体はとてもいい選曲しています。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
「90分で学ぶ!家族を安心させる遺言書の極意セミナー ~幸せな相続の準備~」
開催日時:令和4年7月26日(火) AM10:00~11:30(90分)
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行政書士ジャジー総合法務事務所
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※件名に「7/26相続セミナー参加希望」とご記載ください。
・新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
・会場は定員24名のところ8名(講師1名別)を開催定員としています。
・会場は換気し、ご参加者にはマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
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・感染拡大、医療現場の状況や緊急事態宣言などの発令により中止とすることもあります。
ラジオ番組
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
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