相続人調査でつまずかない!戸籍の広域交付制度や法定相続情報証明制度を活用しよう。
相続手続きで重要な相続人の調査
相続の開始については、民法第882条に次のように規定されています。
(相続開始の原因)
第882条 相続は、死亡によって開始する。
誰か亡くなると開始するわけですね。
民法では、第882条に始まる「第5編相続」において、相続の開始、相続はどこで始まるのか、相続人は誰か、相続分はどのように決まるのか、などなど細かな規定がされています。
被相続人(故人)の遺産(正・負)を誰が相続するのかは、大事なことですからね。
その相続手続きの流れは大まかに示すと次の通りです。
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1.相続人の確定:戸籍調査(法定相続情報または相続関係説明図の作成)
2.相続財産調査:不動産、金融資産、債権債務、動産など(相続財産目録の作成)
3.遺言書の調査:公正証書遺言なら公証人役場で検索。自筆証書遺言で法務局で保管している場合には法務局で各種証明書の請求。
4.遺産分割協議:遺産分割協議書の作成 ※遺言書があればスキップ
5.相続手続き又は遺言執行:不動産相続登記、金融資産名義変更・解約・払い戻し、自動車名義変更など
6.相続税申告・納付
被相続人の遺産の最終的な行方は、遺言書があれば遺言書に従い執行し、遺言書がなければ相続人全員で遺産分割協議をして決めることになります。
ですから、誰が相続人となるかは重要なことなのです。
相続人の確定は、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍を辿ることで、わかります。
相続人が誰になるかは重要なことですから、公的な書類で確認が必要ですが、全部事項証明書(戸籍謄本)、改製原戸籍や除籍謄本などを取得することで、それがわかるのです。
沖縄県の場合には先の大戦で戸籍が焼失していることも多く、その場合には自治体から「行政証明書」(戸籍が焼失していることの証明)を取得する必要があります。
相続人調査における戸籍謄本などの取得ついては、少しばかりコツが必要です。
例えば、故人の本籍地が解らない場合には、まずは故人の最終住所地で「住民票の除票」を取得してください。
住民票の除票には個人の本籍地が記載されています。
本籍地が解ったら、相続人がお住いの最寄りの地自体(役所・役場・区役所など)で戸籍謄本などを取得してください。
戸籍の広域交付制度
昨年(令和6年3月1日)から戸籍法の一部を改正する法律により「戸籍の広域交付制度」が施行されており、わざわざ本籍地のある自治体に戸籍謄本などを請求する必要がなくなり、便利になりました。
ただし、相続人本人が窓口で請求する必要があり、郵送や代理人による請求はできません。
また、申請者の兄弟姉妹の戸籍関係は請求できませんし、戸籍の附票、戸籍抄本やコンピューター化されていない戸籍は交付されないので、注意が必要です。
戸籍の広域交付制度については、法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html)が参考になります。
法定相続情報証明制度
被相続人と相続人の戸籍謄本が集まったら相続人の順位によって、相続人が確定します。
ちなみに法定相続人の順位は次の通りです。
(法定相続人)
第一順位:直系卑属(子や孫)
第二順位:直系尊属(父母や祖父母)
第三順位:兄弟姉妹
配偶者(妻または夫)はいつでも相続人となる
ただし、戸籍の読み取りや相続人の確定作業には、慎重な判断が必要なこともありますので、お近くの専門家に相談することをお勧めします。
相続人の確定を間違うと、その後の手続きが全て間違った方向に進むからです。
相続人の確定については、便利な制度があります。
「法定相続情報証明制度」です。
法定相続情報証明制度とは、収集した戸籍を基に被相続人の「法定相続情報一覧図」を作成し、管轄の法務局に申請すると相続人が誰であるかを法務局の登記官が証明してくれる制度です。
誰が相続人であるかを法務局が確認し、お墨付きを与えてくれますので、その後の手続きも安心です。
交付された「法定相続情報一覧図」は不動産の相続登記、金融機関(銀行、証券会社)の相続手続き、自動車の名義変更などに使用できます。
法定相続情報証明制度については、法務省の法務局部門のホームページ(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html#anker1)が参考になります。
いずれにせよ、相続手続きにおいて、相続人の確定、そのための調査は重要ですので、しっかりと行ってくださいね。
ご自身での戸籍関係の取集や法定相続情報一覧図の作成が難しい場合には、お近くの相続専門の行政書士などの専門家にご相談することをお勧めします。
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相続手続きにおいては相続人の確定が重要
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