遺言書作成の前に知っておきたい!法的拘束力を持つ13の重要事項。

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遺言書に記載できる法的な拘束力のある事項

昨日のブログでは、遺言書の作成の流れや完成までの所要時間について解説しました。

本日のブログでは、遺言書に記載できる法的拘束力がある事項について、解説します。

民法で規定される法的要件を満たした遺言書には「法的な拘束力」があります。
「法的な拘束力」とは、その遺言に従わなくてはならないということです。

遺言書に記載する事項としては財産の分け方(相続人への遺産分割方法の指定及び相続分の指定並びに相続人以外への遺贈)が主ではありますが、その他にも記載できる法的な拘束力のある事項があります。
ここでは、代表的な13項目について記載します。

1.子の認知
非嫡出子の認知をすることが可能です。
遺言書で認知を行う場合には、遺言執行者の指定も必要です。

2.遺言執行者の指定
遺言を執行し、実現する者を指定することができます。
未成年者および破産者以外は誰でも遺言執行者となれます。
遺言書の確実な執行を望む場合には、行政書士などの専門家を指定するのも一つの手段です。

3.遺贈
被相続人が遺言書で無償で自分の財産を他人に与えるものです。
通常は相続人以外に財産を遺すときに使われるが、遺贈は相続人にも可能です。
包括遺贈(遺産の全部や一定割合を指定)と特定遺贈(遺産を特定して指定)があります。

4.未成年後見人・未成年後見監督人の指定
ご家族の未成年者がいて、自分の死後の面倒を見てもらいたい場合に指定できます。

5.相続人の排除
相続人として相応しくない者がいる場合に遺言で排除も可能ですが、排除の理由(被相続人への虐待、被相続人へ対する重大な侮辱行為、相続人の著しい非行)は厳格でなかなか認められないこともあります。
遺言による相続人の廃除は、遺言者が亡くなった後に遺言執行者が家庭裁判所で手続きをとることになります。

6.相続分の指定
被相続人が遺言で相続人の相続分を決めることをいいます。
ちなみに相続分とは、相続人の遺産に対する取り分の割合のことをさしまずが、配偶者(妻・夫)の相続分は3分の2とし、子供の相続分は3分の1とする、といったように指定するのが相続分の指定となります。

7.遺産分割方法の指定
被相続人が遺言で遺産分割の内容を指定していることをいいます。
例えば、遺言書で「妻には自宅の不動産(土地・建物)、長男には預貯金、二男にはゴルフ会員権を夫々相続させる。」と記載している場合、遺産分割の方法の指定があったものとなります。

8.遺産分割の禁止
被相続人は、遺言で、相続の開始の日から5年を超えない期間を定めて遺産の全部または一部について分割を禁止することが可能です。
相続人の中に未成年者がいて、当人が遺産分割協議に参加することを望んでいる場合に、その者が成年に達するまでの間は遺産分割協議を禁止することができます。

9.相続人相互の担保責任の指定
各共同相続人には、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じた担保責任を負っていますが、被相続人は、遺言で担保責任の内容や範囲を変更することが可能です。

10.遺贈に関する遺留分減殺方法の指定
兄弟姉妹を除く相続人には相続人の相続する最低限の権利である遺留分が認められています。
遺言書は遺留分を侵害することはできないとされていますが、遺留分を侵害していても、相続人から遺留分減殺請求がなされなければ、遺言書は有効となります。
遺留分は相続人に認められた権利であありますが、被相続人はあえて特定の相続人に有利な遺言を残していることもありますし、相続人でない者(内縁の妻・夫)の生活を守るために遺言書を書いていることもあります。
そんな時に遺留分を侵害された相続人から遺留分減殺請求された場合に、特定の相続人や相続人以外の受遺者などを守るために、遺留分を減殺する財産の順序を遺言書で定めることができます。

11.祭祀主宰者の指定
お仏壇やお墓を守る祭祀を主宰するものを定めることが可能です。
祭祀財産(家系図、仏壇・仏具・礼拝・祭祀用具、墳墓など)は相続財産からは切り離されていますが、承継すべきものを遺言書でも指定できるのが祭祀主宰者です。
沖縄はでは風習として、仏壇やお墓を大事にしますから、重要な部分かもしれません。

12.特別受益の持戻の免除
特別受益とは、相続があった時に、被相続人が生前に相続人に対して行った生前贈与(婚姻のための贈与、養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与)に関し、相続分の前渡しとみなし、相続財産に加算して相続分を算定することをいいます。
遺言書では、その特別受益に考慮して相続分の指定や遺産分割の指定ができるようになっている。
特別受益を受けたものがある時には、特別受益分を差し引いた分を相続させる場合などは付言事項(法的拘束力のない部分)で記載し、特別受益があった者が不利益を受けないように、特別受益分の持戻の免除をせずに、遺言書本文(法的拘束力有)で相続分の指定や遺産分割方法の指定をそのまま実現できるようにすることが可能です。

13.配偶者居住権
配偶者居住権とは、平成30年(2018年)7月の民法相続分野の改正により創設された制度ですが、生存配偶者の居住権を保障するための規程です。
生存配偶者が被相続人の所有する建物に無償で居住していた場合に、遺言者が生存配偶者に配偶者居住権を取得させる旨を遺言(「配偶者居住権を遺贈する」と記載。)することも可能となりました。
なお、配偶者居住権の生存配偶者へ取得させる方法として、その他に、遺産分割と死因贈与による方法もある。

上記が遺言書に記載できる法的な拘束力のある代表的な事項です。
もちろん、法的な拘束力を発生させるためには、法的に有効な遺言書でなくてはなりませんから、法的要件をしっかりと押さえて遺言書は作成する必要があります。

また、一般の方が作成した遺言書は何かしら足りないこともありますので、専門家にチェックしてもらうことは必須です。

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遺言書作成のプロからのアドバイス
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自分の思い描く遺言内容を実現するためにも法的要件を押さえて作成し、完成前に専門家のチェックも受けることです。

「遺言書作成」支援は「行政書士」にお任せください


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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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