(サンプルあり)相続手続きはこれで安心!遺産分割協議書の書き方と注意点。

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相続手続きの流れ

相続手続きは複雑で多岐にわたります。

大まかに説明すると次のような手続きが必要になります。

(相続手続きの概要)
1.相続人調査:被相続人の出生から死亡までの戸籍の収集及び相続人の戸籍の収集(「法定相続情報」作成:相続人が誰であるかを法務局が認証してくれる書類。のちの相続手続きに便利となる。)
2.相続財産調査:不動産、預貯金、株式、自動車、債権債務などの調査(「財産目録」の作成:財産内容を一覧にした書類。遺産分割協議の際に役立つ。)
3.遺言書の検認(遺言書がある場合):自筆証書遺言(法務局に保管以外のもの)、秘密証書遺言など
4.相続の選択(3か月以内):単純承認、相続放棄、限定承認
5.遺産分割協議(遺言書がない場合):相続人全員で遺産の分割方法について話し合う(「遺産分割協議書」の作成:詳細後述)
6.相続手続き(遺言書がある場合には遺言の執行):不動産の相続登記(原則3年以内)、預貯金や株式の名義変更・解約払戻など、自動車の名義変更、債権者や債務者への通知など
7.準確定申告(4か月以内):被相続人が個人事業主としての事業や不動産賃貸業をしていた場合など
8.相続税の申告・納付(10か月以内):相続税の申告が必要な場合

上記のうち、「4.相続の選択」「7.準確定申告」「8.相続税の申告」には期限がありますので、注意が必要です。
また、被相続人が不動産を所有していた場合には、相続登記は原則として3年以内に行う必要があり、怠ると過料が科されることもあります。

また、大まかな流れを示しましたが、一つ一つの手続きについては、かなり細かい手順がありますし、書類の作成も多々ありますので、一般の方が行うのはかなりの負担となるでしょう。

相続は多くの方にとって一生のうちに数回経験するかどうかの出来事であり、一般の方が相続手続きに精通することはかなりの困難を伴います。

また、素人判断で手続きを進めると後々大きな問題が発生したり、税金が多大になったりすることもあります。
専門家に相談することで、時間や費用の節約、精神的な負担の軽減にも繋がります。
ぜひ専門家にご相談ください。

遺産分割協議書とは?

今日は相続手続きの中でも重要な「遺産分割協議書」(上記「相続手続きの概要」の「5.」)について、解説します。

遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合った遺産分割の方法(結果)を書面にまとめたものです。
相続手続き上、必要になる書面であることはもとより、後々、相続人間でのトラブル(合意内容の明確化、言った言わないの問題など)を防ぐためにも重要な書類です。

重要なことは、相続人全員で、被相続人の財産についてもれなく分割方法(分け方)を話し合い、合意の上、書面にまとめる必要があるということです。

ですから、遺産分割協議書を作成する前の重要な手順として、相続人調査(上記「相続手続きの概要」の「1.」)と相続財産(同「2.」)があるわけです。

遺産分割協議書に記載する内容は主に次の情報があります。

(遺産分割協議書に記載する主な事項)
1.被相続人の情報:氏名、生年月日、最後の住所地及び本籍地
2.相続人の情報:氏名、住所
3.遺産分割の方法:不動産、預貯金、株式、自動車、動産や債権債務の取得者を明示
4.祭祀主宰者:仏壇やお墓などの祭祀用財産の承継者のについて明示
5.後日判明した遺産の取得者:遺産分割協議後に見つかった財産の取得者をどうするかを明示
6.相続手続き代表者:預貯金、株式や自動車の相続手続きを行う代表者を明示

遺産分割協議書を作成したら、後々の紛争を避けるために皆が合意したことを確認する意味でも遺産分割協議書には相続人全員でおのおのが署名・捺印(実印)することが望ましい(署名捺印については、民法では明確な規定はない)。

印鑑も相続手続きの際には、遺産分割協議書に印鑑登録証明書を添えて手続きを行うことが基本なので、実印を捺印することがよい。

遺産分割協議書は、あらゆる相続手続きで必要になりますので、しっかりと作成することをお勧めします。
相続人がご自身で作成する場合でも、専門家へのチェックは不可欠かともいます。
また、複雑な遺産分割協議書となる場合には、専門家に依頼することで、円満かつ円滑な相続手続きが進められます。

遺産分割協議書 サンプル R031203
遺産分割協議書 サンプル

遺産分割協議書Q&A

Q1:遺産分割協議書は手書き?

手書きでも構いませんが、ワープロ・ソフトなどを使用して作成することで加筆修正なども容易になります。

Q2:署名・捺印は必須?

法令上は遺産分割協議書の書き方、記載内容、署名や捺印について規定されてはいません。
署名ではなく、記名(ワープロで印字)でも構いません。
しかしながら、後々の不動産の登記、金融機関(預貯金、株式など)での相続手続きや自動車の名義変更の実務上は、原則として、署名と捺印のある遺産分割協議書をもともられますので、署名捺印は必須です。
また、のちの手続きのために印については、実印を捺印してください。

Q3.相続人が海外在住の場合に署名捺印はどうしたらいいか?

相続人が海外にお住いで日本に住所がない場合、印鑑登録ができなません。印鑑登録ができないと印鑑登録証明書が発行されません。その場合には、お住いの国にある日本領事館などで署名証明を取得するか、日本に帰国して公証人役場で認証を受ける必要があります。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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