ざっくり解説。相続手続きの3か月、4か月と10か月の期限とは?
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。
相続手続きの流れ
相続の開始
誰かが亡くなると相続が発生します。
亡くなった方を被相続人、遺族のうち相続する権利を有する方を相続人といいます。
相続は被相続人の死亡と同時に開始されます。
お通夜、葬儀、告別式、初七日、四十九日や納骨などの法事が続きます。
大事なご家族を亡くし、気持ちの整理がつかない中でも、まったなしで、相続も開始し、進行しているということです。
相続が発生すると、被相続人の遺産(相続財産)は相続人に包括的に承継されます。
民法には次のように規定されています。
(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
但し書きの「被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」とは、例えば個人が取得した資格・免許(行政書士、弁護士、税理士や医師免許)などのことを指します。
亡くなったお父さんが、医師免許を取得していたからと言って、相続した子供が医師になれるといったことはないですね。
相続の選択と期限
そして、相続には守らなくてはならない期限がいくつかありますので、お気を付けください。
まずは、第一に注意しなくてはならないのが、相続の選択です。
民法には以下の通り規定されています。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
民法第915条1項に「相続の選択」は、大きく分ければ、相続するか否かを決めることが規定されていますね
相続をするのか、放棄(拒否)をするのかということですね。
3つの選択肢があります。
大きく分けると承認する場合には①単純承認と②限定承認があり、相続を拒否する場合には③相続放棄があるわけです。
相続の選択は、自分が相続人であることを知ってから3か月以内にしなくてはなりません。
法律は所有権など様々な権利義務の無主物化回避のために相続人が法律で決まっています。
しかし、相続人は、相続が発生したら必ず相続しないといけないとなると、いろいろ不都合もあるでしょう。
たとえば、亡くなったお父さんが、不動産、預貯金や株式などのプラスの財産よりも借金(マイナスの財産)が大きくて、相続すると大きな借金を背負ってしまうことが考えられます。
いくら法律で決まっていても、相続することを強制されるのは酷ですよね。
ですから、相続人には相続するかしないかを選択することが出来るのです。
ただ、その選択をするには期限が決まっている、ということですね。
相続の選択については、次のブログを参考にして下さい。
【相続の選択】相続開始から3か月。生涯悔やむような選択をしないためにすべきこと。
準確定申告と期限
準確定申告とは、被相続人が事業をしていて所得税の申告が必要なところ、年の中途で死亡した人の場合は、相続人などがその事業で得た所得に関する税金を申告・納付しなくてはならず、その期限が4か月となっています。
国税庁のサイトでは次のように説明されています。
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。以下「相続人等」といいます。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
国税庁HPより引用
所得税に関しては、税理士にご相談ください。
相続税の申告・納付と期限
被相続人の遺産が多額に上ると相続税の納付が必要になるケースがあります。
一般的に知られているのは、相続が開始してから(相続のあったことを知った日から)10か月以内に、遺産総額(相続税の課される財産)から基礎控除額を引いて、プラスなら相続税あり、ゼロまたはマイナスなら相続税なし、といった情報があるかと思います。
なお、相続税が課税されるような相続案件は、全国では8%~10%程度(100件中8から10件)で、沖縄では5%前後(100件中5件程度)と言われていますから、殆どの相続では相続税の心配はないかもしれません。
しかし、相続税の計算はとても複雑です。
何が相続財産となるのか?
その財産の評価方法(例:土地や建物の評価、株式の評価、自動車の評価など)はどのようにすればいいのか?
被相続人が生前に相続人に贈与した財産を加えないといけないのか?
生命保険金や死亡退職金も含めないといけないのか?
どんな債務が遺産から差し引くことが出来るのか?
などなどです。
課税されるか否かの微妙なケースや相続税が多額になる場合には税理士に頼ることをお勧めします。
相続税を申告・納付すべきなのにしていなかったり、相続財産が漏れていて過少申告していたり、期限内に申告・納付できなかったり、逆に相続税を払い過ぎていたりすることがあります。
相続税の申告・納付は税理士に任せるべきところです。
また、遺言書がなく、遺産分割協議を要する相続の場合には、相続税の課税が予想される場合には、遺産分割協議の前に相続税の計算やシミュレーションをすることをお勧めします。
遺産分割の方法によっては、適切な方法により相続税の節税や繰り延べもできる可能性があるからです。
僕もそのような案件については、提携する税理士を紹介して対応しています。
相続財産の調査には時間を要し、さらに相続税の計算やシミュレーションにはかなりの時間がかかりますから、10か月という期限はあっという間にやってきます。
相続人だけで悩まずに、専門家にご相談してください。
当事務所でも各分野の専門家と連携しながら、対応に当たります。
明日以降は、相続手続きの詳細について、記事にしたいと思います。
今日のJAZZ
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの《Moanin’》をB.G.M.にブログを書いています。
初めて《Moanin’》を聴いた時には、なんとカッコいい演奏なんだと思いまして、何度も繰り返し聴いてました。今もたまに聴きたくなる。
ブレイキーのドラムもいいのですが、他のメンバーも凄いですからね。
リー・モーガン(トランペット)、ベニー・ゴルソン(サックス)、ジミー・メリット(ベース)とボビー・ティモンズ(ピアノ)です。
ただ、この曲の意味を知ったときには少し憂鬱になりましたね。
「Moanin’」とは「苦しみ、呻くこと」で、黒人の悲哀を表現しているようです。
「朝」を意味する「Morning」とは違いますので、お気を付けください。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
【終活・遺言書セミナー】「エンディング・ノートと遺言書の上手な活用 ~幸せな相続の準備~」
本セミナーは諸事情により中止となりました。
ご予約いただいた皆様、申し訳ございませんでした。
次回の開催は7月26日(火)午前10時からとなります。
改めて告知させていただきます。
(6/28追記)
開催日時:令和4年6月29日(水) AM10:00~11:20(80分)
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:8名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
メールでのお申し込みはこちら↓
※件名に「6/29相続セミナー参加希望」とご記載ください。
・新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
・会場は定員24名のところ8名(講師1名別)を開催定員としています。
・会場は換気し、ご参加者にはマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
・講師はマスク着用の上、講演いたしますことをご了承ください。
・感染拡大、医療現場の状況や緊急事態宣言などの発令により中止とすることもあります。
ラジオ番組
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
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