沖縄でも大きな課題となっている祭祀主宰者と祭祀用財産の承継について。


今日は宜野湾市の個人墓の経営許可の手続きが全て完了し、お客様へ報告へ。
沖縄特有の立派な破風墓が完成しました。
個人のお墓の経営には市町村の条例に基づいた許可が必要で、役所との事前協議、審査、標識の設置、隣接住民との協議・報告、経営許可、審査、工事開始、竣工、工事完了報告、工事完了検査済証発行、改葬許可申請、審査など、多くの手順があります。
これだけの手順を踏んだ仕事が終わると晴れ晴れします。
知り合いの土地家屋調査士から紹介を受けて、ファーストコンタクトから約1年かかりましたが、お客様も喜んで下さいました。
これだけ時間がかかったのは、僕が初めて手掛けた案件でもあったのですが、お墓を建てる土地をお客様の叔父から贈与してもらい、抵当権抹消手続きが必要で金融機関との調整に思いのほか、時間がかかったからかな。
しかし、何かが出来上がると言うのは達成感がありますね。
また、ご依頼があればお受けしたい案件です。
沖縄県那覇市の遺言・相続専門JAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!

沖縄特有の破風墓

祭祀主宰者の承継

沖縄では祖先崇拝の風習が強く残っており、ご先祖様のご供養の年中行事も多い。
お墓も冒頭に紹介した破風墓の他、一族が一緒に祭られている門中墓あり、かなり巨大な亀甲墓が沖縄県内には多々見られます。
そのお墓や仏壇(トートーメー)を承継するものを「祭祀主宰者」といいますが、おのずと長男が承継になることになりますが、風習により次男の家は次男が引き継ぐといったようなルールもあるようです。
また、トートーメーを引き継ぐのにもタブーがあるとされており、これが祭祀主宰者の承継を難しくしているのも現状です。
ちなみにトートーメーの4大タブーは次の通り。

【トートーメー継承4大タブー】
①女性が位牌を承継してはならない
(イナグ・ガンスの禁止)
②父系の血族以外の血筋が入ってはいけない。
(タチー・マジクイの禁止)
③長男が承継すること。
(チャッチ・ウシクミの禁止)
④兄弟の位牌を同じ仏壇においてはいけない
(チョーデー・カサバイの禁止)

このタブーに抵触しないように、祭祀主宰者を承継できるのでしょうか?
今の沖縄では難しくなっているのではないでしょうか。

昨今では家族のあり方の多様化や少子高齢化に伴い、正統な祭祀主宰者の承継や誰も承継するものがいないなど大きな課題となっており、僕も相談が多い事項です。

僕のお付き合いのある葬儀社や霊園管理会社の方にお話を聞いても、祭祀主宰者の承継問題は深刻で、無縁墓や田舎の屋敷に放置された位牌などもあるとのこと。
とある部落では人口減少に伴い、トートーメーを集めて祭る場所を設けるなど対応しているところもあるようです。

冒頭で紹介したような沖縄特有の大きなお墓を建築することも最近は稀で、小さなお墓、合祀や永代供養を選択する方も増えてきているようです。

祭祀主宰者の承継は深刻な課題なのです。
現在の祭祀主宰者も今のような年中行事を子供たちや孫の代にもとめることは無理であることは感じているようです。

もちろん、ご先祖様を敬い、大事にご供養する気持ちさえあれば、形にはこだわらなくてもいいし、これまでのように年中行事をすべて行えなくてもいいのではないかと、僕は個人的には思っています。
そんなことをいうと、罰が当たるとか、ご先祖様に祟られる、と思われる方もいらっしゃるようですが、しっかり気持ちだけでもご供養していれば子孫を祟ったり、罰を与えるご先祖様はいないはずです。

ところで、祭祀主宰者はどのようにして決まるのでしょうか?
民法に規定があります。

民法第897条
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

祭祀主宰者の承継は、慣習に従いますが、被相続人が指定、つまりは遺言書で祭祀主宰者を指定していたときには遺言書での指定が優先されます。
もし、被相続人による指定もなく、慣習によって承継するものがいなければ、家庭裁判所が利害関係者の申し立てにより決定するものとされています。

ちなみに被相続人が指定する方法は、遺言書だけではなく口頭や候補者に生前に通知していることでも祭祀主宰者の指定となりますが、後々のトラブルを避けるためにも遺言書に書いたほうがいいかもしれません。

また、祭祀主宰者は慣習に従うとなれば、長男などの一族の相当のものが引き継ぐことにあると思いますが、必ずしも長男でないといけないとか、男性でなくてはならないとか、氏が一緒でなければならないなどの決まりはありません。

冒頭で紹介したお墓を建てたお客様も、おじいさんからたどっていくと、次男の長男の次男であり、本来の祭祀主宰者ではありませんが、現在、お墓や仏壇を承継できるのはお客様しかいないのです。

祭祀用財産は相続財産にはならない

祭祀に用いる、墓地、墳墓、仏具や位牌などは相続財産から除外されます。
つまり、相続税も課税されません。
墓地や墳墓は市区町村が課税する固定資産税も非課税となっています。
課税する対象になじまないものと考えられているのですね。

ですから、純金製の仏具などが相続税対策などで購入されることも多く、高価なお墓を立てることもあるのです。
ただ、税務署ではあまりに高価な祭祀用財産は非課税の範囲から除外することもあるようなので、気をつけたほうがいいかもしれません。

冒頭で紹介した破風墓は約500万円ほどで建築したそうです。
もし、相続税が課税される状況にあるのであれば、現金が500万円減少して、非課税のお墓が財産として残るので、相続税対策にはなるかもしれないですね。

今日のJAZZ

女性ヴォーカリストの歌声をお届けします。
今日は女性ヴォーカリスト御三家の一人、レディ・デイことビリー・ホリデイの≪Summertime≫を紹介します。
彼女の人生は波乱万丈でした。
生涯にわたって苦しみの多い人生だったのではないかと思う。
だからなのか、その切ない歌声が人の心に沁みます。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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