遺言書を作成する際に気を付けてほしいことは、「はっきり」と「わかり易く」です。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。
遺言書ははっきりとわかり易く書いてほしい
僕は会話をするなかでも、文書にするにでも、できるだけわかり易く明確に物事を伝えたいと思っています。
曖昧にしないということです。
ウチナーンチュは、自分の考えていることや思っていることを言語化したり文書化するのが、苦手で、表現力に書けるところがあると指摘されることもあり、誤解が生まれる原因ともなっていると言われていますね。
僕もその点は同意しており、自分自身も気を付けたいと思っています。
ですから、大事なことは明確に、繰り返し伝えることもあります。
特にお客様とのやり取りの中では、わかり易く明確に伝えることは意識しています。
僕の仕事とする、遺言書の作成支援でも、お客様には、遺言書の書き方はあいまいにせず、わかり易く明確にすることを伝えています。
僕がこれまでにご相談をうけた案件で、遺言書はあるものの法的要件を満たしていなかったり(日付や印がない)、書き方が曖昧だったりすることがあり、遺言の執行は難しいものもありました。
例えば、次の内容の遺言書が、亡くなった父の書斎にあった本に挟まっていたとします。
「遺言書。 遺産は家族で仲良く分けてほしい。 父」
残念ながら、法的な要件を満たしていません。作成年月日と署名捺印もありません。
かりに、作成年月日と署名捺印があり法的要件を満たしていた遺言書だとしても、内容が曖昧過ぎます。
遺産は何のか?
家族とは誰を指すのか?
仲良く分けるとはどのようにして分けるのか?
ましてや「父」とは誰の父なのでしょうか?
(別の問題として、本当にその家族の父の遺言書なのでしょうか?筆跡は似てるけど、違うような気がする・・・。この点は、今回は深堀はしません。)
遺言者の想いはある程度分かるのですが、遺言書としては完全に不十分です。
一般的には遺言書としては、無効と判断され、遺言書の実現も難しいと思います。
では、どのようにすることが、わかり易く明確に伝えることなのでしょうか?
例えば、長男に不動産を相続させ、預貯金を長女と次男に2分の1の割合で相続させたいと考えるなら、次のように記載することが考えられます
遺言書
遺言者沖縄太郎(昭和16年8月13日生)は次の通り遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を長男沖縄一郎(昭和40年3月10日生)に相続させる。
【不動産の表示】
(1)土地
所 在:那覇市松尾三丁目
地 番:15番15
地 目:宅地
地 積:150.80㎡
(2)建物
所 在:那覇市松尾三丁目 15番地15
家屋番号:15番15
種 類:居宅
構 造:鉄筋コンクリートブロック造陸屋根2階建
床 面 積:1階70.26㎡ 2階60.00㎡第2条 遺言者は、遺言者の有する次の預貯金債権を長女琉球花子(昭和42年5月11日生)及び二男沖縄次郎(昭和45年11月7日生)に各2分の1の割合で相続させる。
(預貯金債権の表示)
株式会社青い海銀行 白い砂浜支店 普通預金 1234567
2 遺言者は、本条の執行者として、次の者を指定する。
住所:沖縄県那覇市松尾4丁目1番6号
職業・氏名・生年月日:行政書士城山剛(昭和47年7月12日生)
遺言者の氏名と生年月日、相続人などについては、続柄、氏名と生年月日を明確にします。
不動産の表示は法務局で全部事項証明書(不動産登記簿)を取得し、その通りに記載します。
預貯金債権については、通帳に記載されている金融機関名、取り扱い店、口座の種別や番号を明確に記載します。
預貯金債権については、長女と二男に2分の1の割合で相続させることを明確に示すことも重要ですね。
財産目録については、平成30年(2018年)の民法改正の自筆証書遺言の要件緩和によりワープロで作成することも可能になっていますので、別途財産目録を作成し、財産の表示(上記の例だと「不動産の表示」や「預貯金債権の表示」)は、別紙「財産目録中の不動産」「財産目録中の預貯金債権」などと記載することも可能です。
遺言書は法律行為としては、遺言者の単独行為で、遺言者が亡くなって効力が発生します。
遺言書の効力が発生した時には、書いた人は亡くなっているのですね。
遺言書が曖昧であっても故人には確認のしようがありません。
ですから、遺言書は、誰(遺言者)が、誰(相続人または受遺者)に、何(財産)を、どれくらい(全部または割合)、相続させる(または遺贈する)といったことを明確に示してほしいのです。
なお、遺言書を巡る判例の中で、「遺言の解釈に当たっては、遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが、可能な限りこれを有効となるように解釈すべきである。」(最判平成5年1月19日)として、遺言者の意思を最大限尊重することが大事であると裁判所も認めていますが、余計な争いがなきように、円満かつ円滑な相続を実現するために、できるだけわかり易く明確な遺言書を書くことが求められると思います。
一般の方が書いた遺言書は、必ず専門家のチェックを受けることをお勧めします。
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遺言書はわかり易く明確に書く
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今日のJAZZ
サックス奏者アート・ペッパーの《You’d Be So Nice to Come Home To》をB.G.M.にブログを書いています。
ジャズのスタンダード曲で、沢山のジャズマンが演奏していますが、アート・ペッパーの演奏を推す人が多い。
その理由はどこにあるのでしょうか?
これも感じ方次第だと思いますが、ペッパーの演奏はしっとりしているわけでもなく朗らかで明るいですね。
もう一演奏紹介しておきますと、ヘレン・メリルとトランぺッター、クリフォード・ブラウンの名演の一つに挙げられる《You’d Be So Nice Come Home》は、しっとり感もあります。
同じ曲でも表現の仕方で大きく変わりますね。ジャズの楽しさの一つでもあります。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
「90分で学ぶ!家族を安心させる遺言書の極意セミナー ~幸せな相続の準備~」
開催日時:令和4年8月30日(火) AM10:00~11:30(90分)
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:限定8名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
お電話でのお申込み↓
098-861-3953
受付時間:9:00~18:00(土・日・祝日OK)
※件名に「8/30相続セミナー参加希望」とご記載ください。
・新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
・会場は定員24名のところ8名(講師1名別)を開催定員としています。
・会場は換気し、ご参加者にはマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
・講師はマスク着用の上、講演いたしますことをご了承ください。
・感染拡大、医療現場の状況や緊急事態宣言などの発令により中止とすることもあります。
ラジオ番組
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
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