世の中には必要な印と省略できるであろう印があります。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
印の不要論
菅義偉首相となってから推進している行政手続きなどのデジタル化ですが、デジタル庁の設置も少しずつ具体化しているようですね。
僕は思いっきり、加速をつけて進めてほしいと思います。
もちろん、個人情報保護、なりすましや情報漏洩などの安全策を徹底してもらうことは重要です。
また、新型コロナウイルス感染拡大するなか、印鑑を押す仕事のために出社しなければならない、と言ったような声もあり、役所の許認可や届け出などの手続きや民間も含めた組織で仕事を進める上での印のあり方が議論されています。
ハンコの廃止を全府省に要請し、徐々に進んでいるようですね。
僕も進めるべきだと思います。
特に認印でいいとされている役所の手続き関係は、すぐに廃止すべきですね。
認印を忘れただけで、役所を何往復もしないといけないのは大変です。
また、役所内の稟議書、支出負担行為や支出伺書なども全部デジタル化した方がいいと思う。
ただ、デジタル化する前に、役所は意思決定について明確にし、責任者をしっかりと定め、業務の効率化を進めるべきです。
僕も特殊法人、独立行政法人や財団法人で仕事をしていたことがありましたが、稟議書を一つ回すだけで20人近くのハンコが必要で、急ぎの件で持ち回りするとなると担当者や決裁権者の在・不在を確認することに時間を取られるし、普通に回していてもどこに書類があるのか把握もできないし、ましてや起案者は起案の責任はあるけど、ハンコが押されるたびに承認したものに責任が移るはずなのに、その責任もあいまい。
持ち回りするたびに仕事とは関係のないことや本質とは関係のないことで修正を求められて、辟易とすることもありました。
また、何人ものハンコを押す上司、財務・経理部門の担当や決裁権者全員にもれなく理解してもらうために稟議書の説明は饒舌となり、主眼が分かりにくくなることもあるし、稟議書を通すための見てくれの良さを追求するようになるようなことも見られました。
役所の仕事は合理化しなければ、国民への背信行為だと思います。
あらゆる書類へのハンコもそうだと思う。
もちろん、これは民間にも言えることです。
ただし、一方で、必要な印もあると思います。
大きな財産を移転させる書類や権利義務にかかわるような書類への印です。
殆どの書類が権利義務にかかわる書類かもしれませんが、少なくとも認印で済んでいる書類は署名と公的書類での身分確認で十分だと思います。
僕の関わる相続や遺言書関係の書類は大きな財産を移転させるものが多いですが、内容によっては署名と公的書類の身分確認で済ませるといいと思います。
親から成人し社会へ出る子への贈り物として実印や銀行印などは贈り物となることがあります。
印という単なるものではなく、親が社会に出る子供にエールを送る形です。
そういった面は大事にしていきたいなと思います。
遺産分割協議書や遺言書に押印する印
ご家族の誰かが亡くなり、相続が開始すると遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議が必要となります。
遺産の分割方法に合意したなら書面にしますが、その書面を遺産分割協議書といいます。
遺産の分け方について、合資する文書ですから、遺産分割協議書には安易に署名捺印することは避けた方がいいのです。
とても重要な文書だからです。
もちろん、他の書面に署名捺印する場合には、十分に気を付けてください。
では、遺産分割協議書に使う印はどんなものがいいのでしょうか?
遺産分割協議書に加えて、遺言書に捺印する印の種類について解説します。
こういった手続きに必要な書面には印は必要だと思います。
1.遺産分割協議書
捺印する印には、法律上の制限はありません。
実印に加え銀行印や認印でも大丈夫です。
しかし、後々、相続人本人が自分の意志で署名・捺印したことを証明するためにも相続人全員に実印を押印してもらい、印鑑登録証明書を提出してもらうことが望ましいでしょうね。
また、不動産の相続に係る登記手続きや金融機関の手続きでは実印が求められることがありますので、実印を使うことがよろしいと思います。
2.遺言書
(1)自筆証書遺言
法律上の制限はありません。
実印に加え銀行印、認印や指印(拇印)でも大丈夫です。
しかし、重要な書類ですから実印を押すのがよろしいでしょう。
また、シャチハタも避けた方がいいですね。
ちなみに、自筆証書遺言の原本は、本人が保管してもいいのですが、今年(令和2年)7月10日から運用開始された「自筆証書遺言の法務局での保管制度」の活用を強くお勧めします。
強くお勧めする理由は2つ。
一つ目は、法務局で預かってもらえるので、紛失、廃棄、改ざんなどのリスクがほぼなくなるということ。
二つ目は、遺言者が亡くなった場合に、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認の手続きが必要でしたが、法務局に預ける自筆証書遺言については、検認手続きが不要となります。
詳しくは次のブログをご覧ください。
(2)公正証書遺言
公証人役場で作成する遺言書の場合には、原則として、公証人役場から実印の持参と印鑑登録証明書の提出を求められます。
ただし、実印がない場合や当日、実印を忘れたり、印鑑登録証明書の有効期限(3か月)が切れていた場合には、実印ではなく認印がありかつ写真付きの身分証明書(運転免許証、個人番号カードやパスポート)があれば例外的な対応として作成可能です。
シャチハタは不可とされているようです。
公正証書遺言を作成する場合には、その他に公証人と証人2名以上が印をおしますが、公証人は公証人の職印、証人は印の制限はなく認印などを押印することになります。
拇印が使われるケースにあったことはありませんので、拇印が使えるかはわかりません。
ちなみに、公正証書遺言の原本は公証人役場で保管され、遺言者には謄本(原本のコピーに公証人が証明したもの)が交付されますが、謄本には遺言者の印は押されていません。
なお、この謄本を失くしたとしても、公証人役場で交付してもらうことは可能ですが、大事に保管してください。
(3)秘密証書遺言
遺言書に押印する印には制限はありません。
遺言書を作成したら署名捺印し、封筒に封入し証書に押印した同じ印で封印することになっています。
その後、封印した遺言書を入れた封筒を公証人役場に持参し、公証人と証人2人以上の前で遺言者は「この遺言は遺言者が作成したものである」ことを申述し、公証人役場が準備した封筒(秘密証書遺言を作成したものであることや証人の名前等が記載されています)に遺言者、公証人と証人2名以上が署名捺印します。
この時必要な印は、公正証書遺言作成の際に必要な印と同じです。
ちなみに、秘密証書遺言の原本は公証人役場で保管されるものではありません。
本人が保管する必要がありますので、大事に保管してください。
今日のJAZZ
ピアニスト、ウィントン・ケリーの《Another Blues》を紹介します。
アップ・テンポのスウィンギーな演奏です。
ケリーらしさのわかる演奏ではないでしょうか。
相続セミナー・説明会情報
自主開催セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会」
開催日時:令和3年5月28日(金) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
また、感染拡大防止のため中止することもありますので、ご承知おきください。
ラジオ番組パーソナリティ
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
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