「全ての財産を○○に相続させる」と書かれた遺言書があっても遺産を受け取れる可能性はあります。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。 僕は沖縄県の県庁所在地である那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。 これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。 このブログでは、おなたの知りたい相続や遺言の話を中心に書いています。
遺言書を書くなら配慮すべきこと
少しでも財産のある人は、遺言書を書いていると自分の死後、相続手続きが円満かつ円滑に進められる可能性は高いので、とても大切なことだと思います。
なぜかといえば、遺言書は故人の最終意思なので、相続人(ご遺族)も最大限の尊重をしてくれるだろうと思われるからです。
しかし、遺言書の内容や書き方によっては、相続がスムーズにいかないことがあります。
例えば、お父さん、お母さん、長男、長女の4名家族で、お父さんが亡くなったとします。
お父さんは遺言書を残していました。
準備周到の家族思いのお父さんだったのでしょうね。
でも、その内容が・・・
「私(お父さん)の財産は、献身的に支えてくれたお母さんに全て相続させる!」
これで、争続が勃発しました!
事業がうまくいっていない借金まみれの長男は、お父さんの財産を運転資金に当てにしていました!
ブランド好きの贅沢好きの長女も、お父さんの財産を当てにしていました!
長男と長女は、「お母さんだけが相続するのは許さない!」と口々に叫んでます。
怖いですが、現実問題起きそうな事件ですし、そんな話をききませんか?
では、お父さんの遺言「全財産をお母さんに相続させる。」は有効なのでしょうか?
お父さんの遺言が自筆証書遺言だとすれば、次の法的要件を備えていれば有効になります。
(自筆証書遺言の4つの法的要件)
1.全文自書
※財産目録はワープロ等でも可(平成31年1月13日より)
2.作成年月日を確実に書く
※複数の遺言書は新しい日付が有効
3.署名
4.印鑑を捺印
遺言は、被相続人(故人)の最後の意思ですので、最大限尊重されてしかるべきです。
その財産を遺したのは他でもない、亡くなった方ですから、その方の意向を守ることは最優先されるべきです。
しかし、民法には、法定相続人の最低限の相続する権利を守る定めがあります。
これを「遺留分(いりゅうぶん)制度」と言います。
今回の例では、長男と長女は「遺留分制度」を利用して、お母さんに最低限の相続分(遺留分)を請求することができるのです。
こんなだらしのない長男長女でも法律は守ってくれるのです。
一方で、理不尽な遺言書があった場合に、相続人を守る制度でもあるのです。
例えば、亡くなった夫が「全ての財産を愛人のAに遺贈する」との遺言書を遺していたとしたらどうでしょう。
家族にとっては大きな衝撃を受けるとともに、その後の生活に影響を及ぼす可能性もあります。
こういったケースはそうそうあることではありませんが、昨今は自分の死後に社会貢献したいという方もいて、遺言書で寄付(遺贈)することを考える方もいらっしゃいます。
遺贈については、次のブログを参考にされてください。
遺言書に寄付の事を書いたけれども、遺言書を書いたのちに財産状況の変動があり、家族にわたる財産がなくなり、遺贈する財産しか残っていたりすると家族の生活は困る可能性もあるので、遺留分をもとに取り返すことが可能なのです。
ちなみに、この遺留分は、法定相続人が請求しなくては、受け取ることができません。
「遺留分侵害額請求」といいます。
この請求は、相続開始(被相続人の死亡の日)および遺留分の侵害を知った日から1年以内かつ相続開始から10年以内に行わなければなりません。
その期限を過ぎると、請求ができなくなります。
また、「遺留分」が認められているのは、配偶者、直系卑属(子や孫など)、直系尊属(父母や祖父母)に限られ、兄弟姉妹には認められていません。
さらに、遺留分は法定相続分全額ではなく、割合があります。
相続人が、直系尊属(父母や祖父母など)だけの場合は総遺産の3分の1に対する法定相続分で、それ以外は総遺産の2分の1に対する法定相続分となります。
遺留分制度は、遺族の最低限の生活の保障や著しく不公平な相続を回避するための制度です。
「遺言書」を書く時には、「遺留分」にも考慮する必要があります。
せっかく書いた、「遺言書」が争いの火種になる可能性があるんです。
「遺言」を書くことは、とても重要なことですが、遺留分に配慮することも必要なケースがあるということを覚えておいてください。
今日のJAZZ
事務所で事務仕事をしながらジャズを聴いてますが、ピアニスト、ビル・エヴァンスの《Someday My Prince Will Come》(いつか王子様が)のアグレッシブさに手が止まりました。
皆様、ご存じのディズニー映画「白雪姫」の挿入歌ですが、ジャズのスタンダードにもなっています。
いつものエヴァンスの印象と違います。
もちろん終始アップテンポなのではなく、メリハリの利いた演奏です。
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