知ってますか?貴方の想いを実現し、家族を争いから守る遺言書のこと。
連休が明けても爽やかな天気の続く沖縄です。
例年ですと連休明けには梅雨に入る沖縄ですが、まだみたいですね。
梅雨には入らずに、気持ちのいい日が続くといいのですが、梅雨の時期に雨が降らないと夏場の水不足に繋がるし、どうしたもんでしょうか。
こんにちは!沖縄県那覇市の遺言・相続専門JAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!
遺言とは
TV、映画や小説などでも遺産を巡って、相続争いが繰り広げられたりする設定はよくありますし、実際に世の中でも相続争いは多いので、相続や遺言書については、耳にした方も多いことでしょう。
遺言書がないことで相続人(ご遺族)間に問題が生じたり、場合によっては争いに発展し、家族間で裁判にまで発展することがあります。
珍しい事ではありません。
また、争いにまで発展しなくとも、相続人間で感情的なしこりが残ったり、相続手続きがスムーズに進まないなどの面倒なことも生じます。
ですから、僕は日ごろから、相続が争い(争続)とならないように予防策として「遺言書」を書くことをお勧めしてます。
遺言は、故人の財産の分与方法などを指定できる法的拘束力のある意思表示であり、書面でしなくてはなりません。
遺言書を作成する過程では、自分の財産状況を把握し、推定相続人を確認し、財産をどのように遺せば円満かつ円滑な相続が実現できるかを考えます。
現状を認識し、将来のリスクに備えることもできるのです。
ちなみに、遺言書は遺言者の死亡の時から効力が生じますので、遺言書を作成したからと言って遺言者の財産が手を離れるわけではありませんし、遺言書を書いたからといって自分の財産が使えなくなるわけではありません。
また、遺言書があれば絶対に問題が生じないとか、相続争いが起きないということは言い切れませんが、遺言書は相続争いの予防策にはなります。
遺言の内容が著しく不公平であったり、理不尽なものであるとかえって問題を引き起こすかもしれません。
相続人の状況によっては、どんなに想いのこもった遺言書があってもいさかいが起きることがあるかもしれません。
ただし、遺言書があるとないとでは、相続のあり方が大きく変わってきます。
想いのこもった法的に有効な遺言書を書いてもらいたいと思います。
(相談事例)
遺言書を作成したいとの60代女性が当事務所へご相談へ来られました。
お話をお伺いしていると、父親の遺産を巡り、実の兄と裁判にまで発展する争いをしたそうです。
本件には、長男である兄のお嫁さんも絡んできて、泥沼の争いとなり、兄弟の絆はボロボロとなり、今は兄の家にあるご両親の仏前にも手を合わせることができない状況とのこと。
自分の家族にこんな思いをさせたくないと、遺言書作成のご相談がありました。
遺言書を書ける人
遺言書を書ける者は、満15歳以上で遺言能力のある者とされています。
年齢の上限はないのですが、遺言能力を備えていることが求められますので、重度の認知症では遺言能力を備えているとはいえない可能性が高い。
一方で、軽度の認知症であり、常時認知機能が劣っているケースでなければ、遺言書を作成できる可能性もあるので、この場合には医師の診断書などを取得し、公正証書遺言や相続人全員にその状況がわかるようにして遺言書を作成するのも一つの手かもしれません。
公証人役場も認知機能に疑問がある方の遺言書の作成には慎重で、事前相談の実施や医師の診断書を求めているようです。
(過去の相談事例)
数年前に公正証書遺言を作成した遺言者Aさんとお子さんお二人が一緒に相談に来られました。
お子さんお二人によると父親が書遺言を作成しなおしたいと言っているので、その手続きをしたいとのご相談。
お父様とお会いして、遺言書の作成しなおしをしたいのか確認したところ、明確な意思表示がないため、この状況では遺言書の作成は難しいだろうとお伝えし、医師の診断書を取得することをアドバイス。
公正証書遺言にするのであれば、公証人も慎重になるケースだと思うので、お父様と公証役場で事前相談することをお勧めしました。
公証人役場も同じように医師の診断書を求めたようです。
こういったことを考えると、遺言書は元気なうちに、納得できるものを作成しておく必要がありますね。
遺言書でできる事
遺言書は財産分与(遺贈や相続分の指定)が主だと思われているかもしれませんが、その他にも遺言書には法的拘束力があります。
全部で12項目あります。
1.子の認知
非嫡出子の認知をすることが可能です。
遺言書で認知を行う場合には、遺言執行者の指定も必要です。
2.遺言執行者の指定
遺言を執行し、実現する者を指定することができます。
未成年者および破産者以外は誰でも遺言執行者となれます。
遺言書の確実な執行を望む場合には、行政書士などの専門家を指定するのも一つの手段です。
3.遺贈
被相続人が遺言書で無償で自分の財産を他人に与えるものです。
通常は相続人以外に財産を遺すときに使われるが、遺贈は相続人にも可能です。
包括遺贈(遺産の全部や一定割合を指定)と特定遺贈(遺産を特定して指定)があります。
4.未成年後見人・未成年後見監督人の指定
ご家族の未成年者がいて、自分の死後の面倒を見てもらいたい場合に指定できます。
5.相続人の排除
相続人として相応しくない者がいる場合に遺言で排除も可能ですが、排除の理由(被相続人への虐待、被相続人へ対する重大な侮辱行為、相続人の著しい非行)は厳格でなかなか認められないこともあります。
遺言による相続人の廃除は、遺言者が亡くなった後に遺言執行者が家庭裁判所で手続きをとることになります。
6.相続分の指定
被相続人が遺言で相続人の相続分を決めることをいいます。
ちなみに相続分とは、相続人の遺産に対する取り分の割合のことをさしまずが、配偶者(妻・夫)の相続分は2分の1で、子供の相続分は2分の1といった形で指定するのが相続分の指定となります。
7.遺産分割方法の指定
被相続人が遺言で遺産分割の内容を指定していることをいいます。
例えば、遺言書で「妻には不動産、長男には預貯金、二男にはゴルフ会員権を夫々相続させる。」と書いてある場合、遺産分割の方法の指定があったものとなります。
8.遺産分割の禁止
被相続人は、遺言で、相続の開始の日から5年を超えない期間を定めて遺産の全部または一部について分割を禁止することが可能です。
相続人の中に未成年者がいて、当人が遺産分割協議に参加することを望んでいる場合に、その者が成年に達するまでの間は遺産分割協議を禁止することができます。
9.相続人相互の担保責任の指定
各共同相続人には、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じた担保責任を負っていますが、被相続人は、遺言で担保責任の内容や範囲を変更することが可能です。
10.遺贈に関する遺留分減殺方法の指定
兄弟姉妹を除く相続人には相続人の相続する最低限の権利である遺留分が認められています。
遺言書は遺留分を侵害することはできないとされていますが、遺留分を侵害していても、相続人から遺留分減殺請求がなされなければ、遺言書は有効となります。
遺留分は相続人に認められた権利であありますが、被相続人はあえて特定の相続人に有利な遺言を残していることもありますし、相続人でない者(内縁の妻・夫)の生活を守るために遺言書を書いていることもあります。
そんな時に遺留分を侵害された相続人から遺留分減殺請求された場合に、特定の相続人や相続人以外の受遺者などを守るために、遺留分を減殺する財産の順序を遺言書で定めることができます。
11.祭祀主宰者の指定
お仏壇やお墓を守る祭祀を主宰するものを定めることが可能です。
祭祀財産(家系図、仏壇・仏具・礼拝・祭祀用具、墳墓など)は相続財産からは切り離されていますが、承継すべきものを遺言書でも指定できるのが祭祀主宰者です。
沖縄はでは風習として、仏壇やお墓を大事にしますから、重要な部分かもしれません。
12.特別受益の持戻の免除
特別受益とは、相続があった時に、被相続人が生前に相続人に対して行った生前贈与(婚姻のための贈与、養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与)に関し、相続分の前渡しとみなし、相続財産に加算して相続分を算定することをいいます。
遺言書では、その特別受益に考慮して相続分の指定や遺産分割の指定ができるようになっている。
特別受益を受けたものがある時には、特別受益分を差し引いた分を相続させる場合などは付言事項(法的拘束力のない部分)で記載し、特別受益があった者が不利益を受けないように、特別受益分の持戻の免除をせずに、遺言書本文(法的拘束力有)で相続分の指定や遺産分割方法の指定をそのまま実現できるようにすることが可能です。
遺言書の種類
大きく分けると、普通方式遺言と特別方式遺言の2つに分けられます。
また、普通方式遺言には、さらに3つの方式があり、めったに使われることはありませんが、特別方式遺言は2つの方式があります。
それぞれの概要は以下の通り。
1.普通方式
(1)自筆証書遺言
①法的要件
1)全文自書
2)作成年月日を確実に書く
3)署名
4)印鑑(実印、銀行印、認印)を捺印
②概要
全文を自書し、作成年月日を記載し、署名の上、捺印して作成する。
ただし、民法の改正により平成31年1月13日からは別添として財産目録についてはワープロ作成、通帳のコピーや不動産登記簿の添付でも認められることとなりました。
なお、別添書類には全てのページに署名・捺印が必要です。
③保管方法
自分で保管する。
自宅の金庫や金融機関の貸金庫などを活用するのも一つの手ですが、遺言書を作成したことや保管場所は少なくとも1名以上の信頼できる方に知らせておくことが必要です。
2020年(令和2年)7月からは法務局での保管制度が始まるため、そちらを利用するのがメリットは大きいと思われます。
ただし、法務局で預かる自筆証書遺言は封印されていないものに限ります。
④メリット
費用をかけずに、思い立ったら自分ですぐに書くことができる。
⑤デメリット
死後に見つからなかったり、紛失、廃棄、改ざんされる可能性がある。
また、法的知識がない者が書いた場合に、法的要件を満たしていない可能性もある。
⑥費用
書く道具があればいいので、基本的には不要。
ただし、専門家のチェックを受けるなら費用が発生する。
⑦開封・検認手続
封印のある遺言書は、家庭裁判所での開封の手続きが必要で、この手続きを経ずに勝手に開封したものには5万円以下の過料が科されます。
遺言書の有効性には問題ありませんが、開封手続きは家庭裁判所で行ってください。
また、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必須です。
なお、2020年(令和2年)7月から始まる予定の法務局で保管される自筆証書遺言については、家庭裁判所での開封手続きおよび検認手続きは不要となります。
(2)公正証書遺言
①法的要件
1)証人二人以上の立会い
2)遺言者が公証人に遺言内容を口授する
3)公証人が遺言者の口授内容を筆記し読み聞かせる
4)遺言者および証人が、筆記の正確なことを承認し、各自署名・捺印する
5)公証人がその証書を法的要件に乗っ取って作成したことを付記し、署名・捺印する
②概要
公証人および証人がかかわり作成する遺言書のため、法的な要件は問題がないです。
ただし、公正証書遺言とは言え法的な要件は整っていても、内容は遺言者の意思ですので、その後争いにならないとの保証はありません。
③保管方法
原本は公証人役場で保管され、遺言者には謄本が交付されます。
遺言者ならば謄本の取得はいつでも可能です。
また、相続人は遺言者が亡くなった時に公正証書遺言を作成していなかったかを公証人役場で検索することも可能です。
④メリット
法律家である公証人が作成するので、法律上の瑕疵はない。
⑤デメリット
公証人や証人に内容を知られる。
費用が掛かる。
⑥費用
遺言書の枚数、遺言書で指定された相続人の人数及び目的となる財産の価額によって手数料が決められる。
財産内容によっては、高額になることもある。
⑦開封・検認手続き
家庭裁判所での手続きは不要で、すぐに執行可能です。
(3)秘密証書遺言
①法的要件
1)遺言書に署名し、捺印する
2)遺言者が遺言書を封筒に入れて、遺言書に捺印した同じ印で封印する
3)遺言者が公証人および証人二人以上の前で封書を提出し、自己の遺言であること及び筆者の氏名・住所を申述する
4)公証人が遺言書を別の封筒に入れて提出した日および遺言者の申述内容を封筒に記載し、遺言者、公証人と証人が署名・捺印する
②概要
遺言の内容を秘密にしたいものが作成する遺言書です。
自筆証書遺言とは違い、ワープロで作成や代筆も可能です。
遺言書本文には作成年月日の記載も必要ありません。
公証人は遺言書の本文までを公証するのではなく、秘密証書遺言を作成したことを公証することとなります。
③保管方法
自分で保管する。
自宅の金庫や金融機関の貸金庫などを活用するのも一つの手ですが、遺言書を作成したことや保管場所は少なくとも1名以上の信頼できる方に知らせておくことが必要です。
④メリット
ワープロで作成できるので、何度でも推敲が容易です。
また、字が書けない方や字を書くのが困難な方は他者に代筆してもらうことも可能です。
⑤デメリット
自筆証書遺言と同様に法的要件を欠いてしまう可能性があるので、専門家のチェックは必要でしょう。
また、公証人の手数料がかかります。
⑥費用
公証人の手数料が一律で11,000円必要です。
⑦開封・検認手続
秘密証書遺言書は、家庭裁判所での開封の手続きが必要で、この手続きを経ずに勝手に開封したものには5万円以下の過料が科されます。
遺言書の有効性には問題ありませんが、開封手続きは家庭裁判所で行ってください。
また、秘密証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必須です。
(相談事例)
これまで多数のご高齢者の方が遺言書を作成したいとご相談に来られましたが、自分で書くのは自信がなく、公証人と相対して作成するのも怖いので、当事務所で秘密証書遺言を代筆作成してほしいとのご依頼が増加しています。
秘密証書遺言は代筆可能で、ワープロでの作成も可能なので、当事務所で遺言者のご意向を確認し、原案を作成し、遺言者には署名・捺印と封緘をしていただき、公証人役場で公証ししてもいます。
遺言者の負担も少なく、専門家がかかわるので、安心です。
2.特別方式
めったにないものなので、簡単に説明します
(1)隔絶地遺言
伝染病などで隔離している方が作成する遺言書です。
(2)危急時遺言
病気や飛行機事故などで死が迫っているときに作成する遺言書です。
遺言書の付言事項
遺言書の本文には先にあげた12項目にについては法的拘束力があります。
一方で、法的拘束力はないけれども重要なのが付言事項です。
付言事項とは、遺言書を書いた理由、その内容とした理由、家族への想いや感謝の気持ちなどを記す部分です。
付言事項があることで、遺言書に血が通い相続人(家族)に思いが伝わることとなります。
遺言書は家族にあてる最後の手紙であり、自分の死後に見つかるものですので、生前に面と向かって言えなかった感謝の気持ちを伝えるのもいいでしょう。
ただし、あまり長文の付言事項や本文と矛盾するような内容になると不都合も出てきますので、短めで思いを込めた付言事項を書いて下しさい。
遺言書を作成したら専門家のチェックは必須
せっかく書いた遺言書が無効になるともったいないですよね。
しっかりと上の要件をチェックしてくださいね。
もし自信がないようでしたら、自筆証書遺言や秘密証書遺言を書いたら専門家のチェックを受けるのも一つの手だと思います。
当事務所でも遺言書のチェックサービスを行っております。
今日のJAZZ
軽いタッチの演奏をするピアニストを聴くとなんだか落ち着きます。
その一人がレッド・ガーランドです。
ボクシングをしていたそうですが、演奏には荒々しさは感じられません。
マイルス・デイヴィスの第一期クインテットでも活躍したピアニストです。
聴きやすいピアニストとしても多くの人に支持されています。
聴きやすいということは、初心者にもやさしいということかもしれませんね。
今日はレッドの《Red’s Good Groove》を紹介します。
タイトル通りグルーブ感を楽しめる演奏です。
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