相続で、配偶者が居住用不動産を失わないための法改正が検討されてます。

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こんにちは。
沖縄県那覇市の遺言・相続専門JAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!

相続は配偶者に手厚くする

琉球新報 H290719

今朝の琉球新聞を見てましたら「住居の相続 配偶者に 法制審議会 遺産分割の対象外」という見出しを見つけました。
以前から議論されていた事案ですが、やっと前に動き出したようですね。

 

個人的には、重要なことだと思うので、早く法改正と施行がされるといいな、と思ってます。

 

相続が開始すると、被相続人(故人)の所有していた不動産(土地、建物)、現金、美術品、株などの財産は相続人(遺族)へ所有権が移転されることとなります。

 

遺言書があれば、遺言書の分割方法が優先され、なければ法定相続人が法定割合を参考に、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。
遺産分割協議は、相続人全員が参加し、被相続人の財産をどのように分割するかを話し合うものですが、相続人全員が合意しなければならないため、まとまらないことが多くあります。

 

そこで、この法改正が、なぜ重要かというと、遺言書がない場合に、主な相続財産が不動産だけだと遺産分割協議をするときに、亡くなった故人の配偶者が住むはずの不動産が失われる可能性があるからなのです。

 

遺言書があって、住居である不動産(土地、建物)を配偶者に遺すということが書かれていれば、完全とは言わないまでも安心ではあります。

 

今回の改正案では、20年以上の婚姻期間がある夫婦については、住居用不動産を所有する一方が亡くなった時に、遺言書で住居用不動産を配偶者が相続することとなっている場合や生前に贈与していた場合には、遺産分割の対象としないということです。

 

例えば、被相続人の財産が住居用不動産2,000万円と預貯金2,000万円とすると遺産総額は4,000万円です。

現行では、相続人が、配偶者と子供二人だとした場合には、配偶者の相続割合は2分の1なので、2,000万円の相続権があります。
子供二人は、2,000万円を半分づつを相続する権利があるのですね。

 

今回の改正案では、遺言書で居住用不動産は配偶者に相続させるとあった場合または既に生前贈与されている場合でも、居住用不動産は遺産分割の対象としないで、預貯金の2,000万円を遺産分割協議の対象とするということです。

つまり、上の例では、配偶者の相続する財産は住居用不動産2,000万円と預貯金2,000万円の2分の1である1,000万円の合計3,000万円となります。
現行の制度よりも1,000万円の相続権の増加となりますね。

 

ということは、通常、遺言書を書くということは預貯金についても記載があるでしょうから、各相続人の相続する権利を最低保証する「遺留分」は、住居用不動産は及ばないと考える事になると思います。

相続の権利は法令で権利が認められている

この法案が成立すると高齢の人が住むところを失うといったような、ことがなくなるかなと思います。

僕が過去に相談を受けた事例で、この件に絡むことで、すごくきつい事例がありました。

ご夫婦で旦那様が亡くなりました。
ご夫婦にはお子さんがおらず、旦那様の御両親もお亡くなりになられてます。
ただ、旦那様には兄弟姉妹が3名いらっしゃいました。

この場合の相続人は、配偶者と兄弟姉妹の3名の合計4名となります。

亡くなった旦那様の財産は居住用の不動産とわずかばかりの預貯金でした。
遺言書はなかった。

もし、ここで兄弟姉妹が「相続はお姉さん(奥さん)がしたらいいよ。私たちは何もいらないから。」と言ってくれたら遺産分割協議書を作成して、めでたく相続手続きは完了です。

 

しかし、ご相談を受けた事例では、奥様と旦那様の兄弟姉妹は疎遠で、交流もほとんどなかったといいます。
兄弟姉妹は、自分たちの相続する権利を知っていて、奥様に公平な遺産分割を要求したそうです。
つまり、居住用不動産を売却して、お金に換えて分けてくれと迫ったのです。

相続の準備がされていないと・・・

 

これは、一見理不尽なように見えますが、兄弟姉妹には法律で認められている権利なのです。

それなら不動産を売却して、お金に換えたらいいじゃないかとの声も聞こえてきますが、奥様のその後の生活の事もありますし、何よりも旦那様との思い出が詰まった家を売るなんて、とても寂しいと思うのです。

 

この件は、いくばくかの現金があったので、その現金を分け合うことで解決しましたが、どんなに奥さん思いで、優しい旦那様であったとしても、遺言書を書かなかったことで、遺された奥様が大変つらい思いをされたのです。

 

兄弟姉妹には、相続権の最低保証である遺留分もありませんので、遺言書を書けば、兄弟姉妹は奥様の財産には手が出せないのです。

 

今回の法改正では、配偶者の居住用不動産を守るためのものですが、生前贈与でない場合には、遺言書が大きな役割を果たすことは、変わらないことです。

 

貴方の亡き後に遺された配偶者を守るためにも遺言書を書いてくださいね。

 

今日のJAZZ

サックス奏者Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)の《A Night In Tunisia》(チュニジアの夜)。
沢山のプレイヤーが演奏する《チュニジアの夜》ですが、演奏する人によって明らかに違うのがJAZZですね。
ロリンズの演奏する曲も個性的です。
同じ演奏でも違う曲に聴こえるくらいにアレンジする横並びを嫌うジャズメンの個性を楽しむのもJAZZらしさかもしれないですね。

 

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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