配偶者と兄弟姉妹が相続人となることが想定されるなら気を付けてもらいたいこと。

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。行政書士ジャジー総合法務事務所 バナー広告 20210804

兄弟姉妹が相続人となる相続は気を付けないと・・・

昨日まで3日間のブログでは相続人が誰で、どのくらい相続できるのか、といった法定相続人と相続分について、書いてきました。

【相続の基礎】第一順位の法定相続人とその相続分について。 ←直系卑属(子や孫など)と配偶者

【相続の基礎】第二順位の法定相続人とその相続分について。 ←直系尊属(父母や祖父母など)と配偶者

【相続の基礎】第三順位の法定相続人とその相続分について。 ←兄弟姉妹と配偶者

僕の経験からすると、一番気をつけるべき相続は、被相続人(故人)の兄弟姉妹が相続人となるケースです。

例えば、配偶者の一方が亡くなったケースで、夫婦には子供・孫など(第一順位相続人)がおらず、亡くなった配偶者の父母・祖父母など(第二順位相続人)も他界していて、亡くなった配偶者に兄弟姉妹(第三順位相続員人)がいると、遺された配偶者と亡くなった配偶者の兄弟姉妹が相続人となります。

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合には、法定の相続分(割合)は遺産に対して、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1となります。

例えば、お子さんのいないご夫婦の旦那さんが亡くなったとしましょう。
旦那さんのご両親は既に他界していて、3名の兄弟姉妹がいたとします。
相続財産は、不動産2,800万円と預貯金200万円の合計3,000万円です。
遺言書はありませんでした。

この場合には、法定の相続分(割合)は配偶者が4分の3なので2,250万円、兄弟姉妹が750万円の相続する権利があります。

ただこのケースでは主な財産が不動産です。
分割するも大変ですよね。

こんな時に、旦那さんの兄弟姉妹が、
「お義姉さん、お兄さんが亡くなって大変だろうけど、土地、建物と預貯金も含めて全て相続したらいいからね。何も心配しなくていいよ。」
と言ってくれれば、相続人全員が合意した内容の遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名・押印して、解決です。

配偶者と第三順位の兄弟姉妹が相続人となるケース。

しかし、旦那さんの兄弟姉妹が、相続権の権利を主張してきたらどうでしょう。
「お義姉さん、私たちにもお兄さんの財産をきっちり法令に従って分けてくださいね!」

兄弟姉妹の主張は、法律で認められている権利ですので、基本的には、そのとおりに分割しなくてはなりません。

しかし、このケースでは、遺産のほとんどが、不動産です。
沖縄ではよく見られるケースです。

上記の例で、兄弟姉妹に750万円を遺産分割するのに、場合によっては不動産(住んでいる家や土地)を売り払って、兄弟姉妹に分割しなくてはならない可能性もあります。

そうなると、終の棲家と思っていた家や土地を売り渡し遺産分割をしなくてはならいこともあるかもしれないのです。

住むところがなくなるというのは、辛いですよ。
ましてや旦那さんとの思い出の詰まった家だったとしたら・・・

相続の準備がされていないと・・・

大事な人を守るためにも遺言書を書こう

上の例は、実際に相談があった話です。
結局、遺産分割協議で、なけなしの現金預貯金を分割してもらうことで、納得してもらったそうです。
とてもつらい話です。

お分かりいただけたと思いますが、相続はこんな辛い状況も生み出してしまうのです。

では、自分の亡き後、大事な人をどうしたら守れるのか?
それは、遺言書を書くことです。

上の例では、兄弟姉妹には、相続する最低限の権利である「遺留分」がありませんから、妻に全財産を相続させるための法的に有効な遺言書を書いておけば、兄弟姉妹は手は出せなくなります。

兄弟姉妹以外が相続人になる場合でも、遺留分に配慮し、貴方の想いをしっかり付言事項としてしたためた遺言書は相続争いを予防することでしょう。

大事な人が困らないように、相続も準備をしてほしいのです。
遺言書を書くとあなたもご家族も安心できます。
貴方の遺した財産で、ご家族が豊かに暮らせて、貴方も安心できる「幸せな相続の準備」をしてもらいたいのです。

配偶者居住権の創設

上記の例のようなケースは、社会的にも問題となっていましたので、平成30年(2018年)7月6日に配偶者の生活に関し、居住する場所については、保護される制度が「配偶者居住権」として、法定化され、令和2年(2020年4月1日)に施行されています。

詳細は省きますが、配偶者短期居住権と配偶者居住権の2つの権利が法定化されています。

配偶者居住権の詳細については、法務省のサイトで詳しく解説されています。

残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。」(法務省HP)

前者の配偶者短期居住権は、被相続人の所有の建物に居住していた配偶者の住居が直ちに失われることのないような応急的な対応です。

後者の配偶者居住権に関しては、遺言書による遺贈をすると確実です。
もし遺言書がなかった場合には、配偶者は遺産分割協議で他の相続人から建物の取得または配偶者居住権の合意を得なくてはなりませんが不確実です。
この場合、夫の相続開始後に妻が家庭裁判所に配偶者居住権の申し立てをして、家庭裁判所が審判で認めてくれるようなら住まいにも困らないかもしれませんが、これも不確実です。

繰り返しますが、推定相続人(相続人となるであろう人)が、配偶者と兄弟姉妹の場合には、特に対策が必要です。
第三順位の相続人である兄弟姉妹には相続する最低限の権利である遺留分がありませんので、遺言書で、遺される妻の生活を守ることが確実かと思います。

配偶者居住権は法定化されたものの、不安定で不確実な面は否めません。
自分の死後の配偶者の生活を心配されるのであれば、遺言書が必須かと思います。

今日のJAZZ

ピアニスト、トミー・フラナガンの《Autumn Leaves》をB.G.M.にブログを書いています。
フラナガンとベーシストのレジー・ワークマンとドラマーのジョー・チェンバースのベテラン勢によるザ・スーパー・トリオによるジャズ・スタンダードを収録したアルバムの一曲のようです。
フラナガンのピアノが繊細で美しいですね。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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