ちょっと待った!その不動産の贈与はちゃんとシミュレーションしてますか?
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えを書いています。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら幸いです。
財産の主な承継方法である贈与と相続について考える
僕は遺言・相続専門の行政書士ですが、財産の生前贈与のご相談や手続きのご依頼も多い。
相続も贈与も財産の承継に関わることではありますからね。
午前中は親子間での贈与を含めた贈与の相談がありましたが、ご自身でも調べられて、税金関係がかなり高額になりそうだとのことで、遺言書の作成について、ご提案させていただきました。
また、大きな財産があるので、まずは税理士による相続税の資産をすることをご提案させていただきました。
贈与については、実行後に、思いのほか高額な税金が発生すると、計画も狂う可能性がありますからね。
僕が、贈与契約でできることは、贈与契約書の作成ですが、不動産であればその後の所有権移転登記のために司法書士に繋ぎますし、贈与税のことは税理士に引き継ぎます。
また、不動産によっては地目変更や分筆などもあるので、土地家屋調査士とも連携します。
なんにせよ、お客様の考える財産の承継について、最適な方法でスムーズに財産承継が進められるようにお手伝いさせていただいております。
最近、特に多いのが親から子または祖父母から孫への贈与に関するご相談です。
贈与する財産は不動産と現金が圧倒的に多いですね。
ただ、不動産の財産としての評価は高いので、生前贈与をするとなると税金が思いのほかかかったりしますし、士業に手続きを頼むとそれなりの報酬もかかります。
ですから僕は不動産を贈与したいと考えていらっしゃる方がいれば、税金のことなどについても気を付ける必要があり、必要に応じて税理士と連携して案件にあたっています。
一例をあげてみましょう。
ちなみに、令和4年3月26日現在の法令に基づいていますが、相違がある場合には法令が優先されますので、ご留意ください。
沖縄県で、不動産(土地・建物)を親から子へ贈与する時または相続する時に考えられる税金関係をシミュレーションしてみましょう。
相続または贈与対象物件は次のとおり。
〇土地の評価:2,000万円(路線価)、1,400万円(固定資産評価額)
〇建物の評価:500万円(固定資産評価額)
不動産の贈与について
1.贈与契約書の印紙税:@200×2枚=400円
2.登録免許税:
(1)土地;1,400万円(固定資産評価額)×1,000分の20=280,000円
(2)建物;500万円(固定資産評価額)×1,000分の20=100,000円
(3)小計;380,000円
3.贈与税:
(1)課税価格(土地2,000万円(路線価)+建物500万円(固定資産評価額))ー110万円(基礎控除)=2,390万円
(2)2,390万円(課税価格)×45%(特例贈与財産摘要税率)ー265万円(控除額)=8,105,000円
(3)小計;8,105,000円
※特例贈与財産摘要税率とは、20歳以上の受贈者(子や孫など)が父母や祖父母などの直系尊属から贈与により財産を取得した場合のその財産に係る贈与税額の計算で使われる税率です。一般の贈与税額は特例贈与よりも高くなっています。また、累進課税ですので評価額が大きくなれば税率も上がります。詳しくは国税庁のサイトを参照してください。
※贈与者が60歳以上の祖父母や父母、受贈者が20歳以上の子や孫で相続時精算課税制度が使えるのであれば、贈与時においては2,500万円までの評価財産なら非課税となり、相続が発生したら税金を清算することも可能です。
4.不動産取得税:
(1)土地;1,400万円(固定資産評価額)×2分の1(沖縄特例措置令和6年3月31日迄)×3%=210,000円
(2)建物;500万円(固定資産評価額)×3%(住宅用家屋)=150,000円
(3)小計;360,000円
※(2)の建物は特例措置に該当すればで評価額から控除できる制度もあります(令和6年3月31日までの予定)。
詳しくは沖縄県のサイトを参照してください。
5.税金合計:8,845,400円(相続時精算課税制度が適用可能なら740,400円)
不動産の贈与には、かなりの税金がかかることがわかるでしょう。
特に不動産取得税は見落としがちな税金であり、忘れたころに都道府県から納税通知書が届きますから、驚かないようにしてくださいね。
実際に手続きをするのであれば、贈与契約書の作成、所有権移転登記、贈与税の申告・納付等で専門家の士業(行政書士、司法書士、税理士)に支払報酬も15万円から20万円前後はかかります。
不動産の相続について
一方で、相続ではどうなるでしょうか。
1.登録免許税:
(1)土地;1,400万円(固定資産評価額)×1,000分の4=56,000円
(2)建物;500万円(固定資産評価額)×1,000分の4=20,000円
(3)小計;58,000円
2.相続税: 相続財産は上記不動産のみと仮定
(1)課税価格(土地2,000万円(路線価)+建物500万円(固定資産評価額))ー3,600万円(基礎控除相続人1名と仮定)=̠▲1,100万円(マイナスとなるので相続税課税なし)
(2)小計;0円
※上記不動産以外に相続財産がある場合でも基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)の範囲内であれば相続税は非課税。詳しくは国税庁のサイトを参照してください。
※相続時精算課税制度を選択していいた場合でも基礎控除の範囲内であれば相続税は課税されない。
3.不動産取得税:相続では課税なし
4.税金合計:58,000円
先に説明した贈与と同じ条件で比べると相続における税金はかなり軽減されることがわかると思います。
ただし、相続においても遺言書の作成、遺言書がなければ遺産分割協議書の作成や相続登記などで専門家である士業(行政書士、司法書士)に依頼するのであれば報酬も15万円から20万円前後はかかります。
また、相続税が発生するケースであれば相続税に加え、相続税の申告納付に税理士の力を借りると報酬がかかるでしょう。
なお、相続時精算課税制度は「父母と子」や「祖父母と孫」との間においてでしか、適用できないので、冒頭でご相談のあった兄弟間での贈与では活用できず、贈与税は高額になる可能性があります。
不動産の贈与をお考えの場合には、お近くの専門家に相談することをお勧めします。
今日のJAZZ
ベーシスト、ロン・カーターの《Samba de Orpheus》をB.G.M.にブログを書いています。
ベース、ピアノとギターの珍しいトリオです。
ギターがドラムっぽい役割を果たしている。
ロンのベースが踊っているようで、いいですね。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~」
開催日時:令和4年4月26日(火) AM10:00~11:20(80分)
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:8名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
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