所有者不明の土地問題を解決する法案が閣議決定!なぜ、この法案が大事なのか?
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
所有者不明の土地問題の解決に向けた法改正
TVを観ていたら「所有者不明の土地問題の解決に向けた民法・不動産登記法の改正案が閣議決定された」とのニュースが流れていました。
Twitterでも呟きましたが、相続における不動産の登記に関係してきます。
https://twitter.com/jazzyshiroma/status/1367689135247351808
一説によると、日本の所有者不明の土地は九州の面積と同程度あるとのことで、狭い日本の国土で社会問題化しています。
今回、閣議決定された所有者不明の土地問題解決のための民法や不動産登記法の改正により、相続における登記の義務化や罰則の創設などにより、相続手続きの厳格化も進むことでしょう。
また、相続人の申し出により相続登記ができるようになることや相続したくない土地を一定の要件のもと国に帰属させるような制度も新設されるようです。
僕も日々、相続相談や手続きに携わっていますが、制度整備の必要性を感じていましたので、今国会で成立することを強く望みます。
新たな制度は、始まってしまうと色々問題も見えてくるとは思いますが、修正を加えながら運用していけばいいですよね。
参考までに、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)のリンクを貼っておきます。
民法・不動産登記法部会第26回会議(令和3年2月2日開催)において、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」が決定されました。
民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案【PDF】(法務省HPより引用)
相続した不動産の売買の方法
不動産の相続登記にまつわる話題がありましたので、過去の不動産関係のブログをリライトしてみました。
以前に、ご相談があった話です。
亡くなった父親の不動産があり、相続手続きが完了しておらず、未だに父親名義の不動産を買いたいという人がいるが、売買できるか?とのお話がありました。
基本的には亡くなったお父様の名義のままでは、売買はできません。
一度、相続人の名義に変えなくてはいけません。
遺言書があれば、その通りに執行すればいいのですが、そうでなければ相続人全員での遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議については、次のブログを参考にされてください。
参考ブログ「相続人全員が話し合い合意しなくてはならない遺産分割協議の困難とは?」
亡くなった方の名義になっている不動産を売買したいのであれば、原則として、次の手順で進める必要があります。
遺言書のないケースです。
1.遺産分割協議(相続人全員)
2.遺産分割協議書作成(行政書士)
3.所有権移転登記(司法書士)
4.売買契約(買主・売主〈相続人〉)
5.売買契約書作成(行政書士または宅地建物取引士)
6.所有権移転登記(司法書士)
ちなみに、相続する不動産を買い取る人が決まっていて、売ることを前提に遺産分割協議をするのであれば、換価分割することを遺産分割協議の際に取り決めをして、遺産分割協議書にも記載するといいでしょう。
換価分割とは、遺産をお金に換えて、相続人はお金で分け合うことです。
共有財産とすると厄介なことが起きる不動産の相続では使われることがあります。
その場合の遺産分割協議書の文面のサンプルです。
(換価分割の遺産分割協議書サンプル)
1.次の不動産は換価分割のため沖縄太郎が取得する。
(1)不動産の表示
所 在:那覇市松尾八丁目 地 番:888番
地 目:宅地 地 積:535㎡
(2)沖縄太郎は「(1)」の不動産を令和2年6月30日までに60,000,000円以上の価格で売却し、その売却代金から売却に要する一切の費用(仲介手数料、登記手数料など)を控除した残額を次の割合で各相続人が取得する。
なお、残額に円未満の端数がある場合には、沖縄太郎が取得する。
①沖縄 太郎 4分の2
②那覇 花子 4分の1
③沖縄 二郎 4分の1
もちろん、上記のケースでは代表者を決めずに相続人全員が遺産分割協議で決めた割合で、所有権移転登記することも可能ですが、売買契約の際に所有者が沢山いると手続きが面倒かもしれませんね。
また、手続きの途中に万が一、相続人の誰かに不幸があったりすると、その相続人の遺産を誰が取得するのか決めなくてはならず、時間がかかるかもしれません。
さらに、もしもその不動産が売れなかったら、どうなるか・・・
一つの不動産に複数の所有者がいると大変厄介な問題が起きる事は相続に難くないでしょう。
今日、解説した方法は、不動産の名義が亡くなっているままで、かつ、その不動産の買いたいと言っている方がいる場合や確実に売れる物件であれば、有効だと思います。
不動産の共有は極力避けること
最近もご相談があったのですが、遺言書で不動産(土地、建物)の相続を指定するにあたって数名の子供にそれぞれ均等割合で相続させたいとのご相談がありました。
僕は遺言書でそういった財産分与の指定が可能であることをお伝えしつつ、不動産を共有することのリスクをいくつかお話ししました。
不動産を共有するリスクとは、相続人にもいずれは相続が発生し、不動産の所有者が芋づる式に増える可能性があり、そうなると不動産の有効活用や売買も難しくなるだろうということです。
もちろん、建物の共有も同じリスクを抱えれいますが、建物はいずれなくなる時が来ますので、最悪、壊せばいいことです。
今回のご相談では、少なくとも土地は分筆した上で、相続させることをご提案しました。
くれぐれも安易に不動産を共有としないようにしてください。
後が大変です。
不動産の共有は他に方法がなくこれしか解決策がない、というときにしか使わない方がいいように思います。
また、遺産に不動産があるなら早めに名義変更の手続きをすることをお勧めします。
共有となっている不動産ほど厄介な財産はないのです。
特に沖縄の相続財産は、不動産の割合が高く、分割するのが結構大変だったりします。
平成30年度の相続税の申告における全国の遺産に占める不動産(土地・家屋)は約40%であるのに対して、沖縄は約70%となっています。
沖縄の遺産に占める不動産の割合が高いことは遺産分割の難しさにもつながっています。
参考ブログ「沖縄特有の相続事情で住むところに困ることもある。」
今日のJAZZ
ピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバム『You’re Gonna Hear From Me』を聴いてみました。
エヴァンスと言えば美しい綺麗な演奏が印象的ですが、本アルバムではアグレッシブに演奏していて、少しイメージが変わりましたが、エヴァンスの一面しか知らなかったのでしょうね。
相続セミナー・説明会情報
自主開催セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会」
開催日時:令和3年3月24日(水) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
また、感染拡大防止のため中止することもありますので、ご承知おきください。
ラジオ番組パーソナリティ
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
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