知ってますか?特別養子縁組の法制化のきっかけとなった「赤ちゃんあっせん事件」。

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。 僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。

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普通養子縁組と特別養子縁組

遺言相続専門の行政書士ですが、相談事のなかに家の承継問題も相談されたりします。
「〇〇家の名前」を残したいということですね。
いくつか方法はあると思いますし、沖縄では家名を遺すことに悩まれている方はいらっしゃいます。

家名を残す方法の一つに養子縁組がありますが、昨年6月に民法が改正され、特別養子縁組の要件も見直されており、今年(令和2年)4月1日から施行されています。
少しばかり触れておきたいと思います。

特別養子縁組の改正を解説する前に、養子縁組制度について、説明します。

養子縁組には、「普通養子」(便宜上「普通」がついており、法律上は「普通」とはなっていない)と「特別養子」があります。

普通養子縁組

普通養子縁組については、そんなに多くないとはいえ皆さんもご存じではないでしょうか。
家を継ぐ、名前を継ぐということで、長男に跡継ぎがいないときに兄弟の子を養子に迎えると言ったことがあると思います。
沖縄でも見られる養子縁組で、僕の友人にも何人か養子となっている者がいます。

普通養子縁組の主な法的要件および相続関係は次の通り。

(普通養子縁組法的要件)
1.養子となる者の年齢制限
特にはない
ただし、養親の尊属(親族の年上)又は年長者は養子にできない
養子が15歳未満の場合には、法定代理人(実親など)の承諾が必要
2.養親となる者の年齢制限・夫婦共同縁組など
20歳以上
配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、配偶者と共にしなければならない(例外あり)
配偶者のある者が成年に達した者を養子にする場合には、配偶者の同意を得なければならない(例外あり)
3.家庭裁判所の許可が必要なケース
未成年者を養子にする場合
ただし、自己または配偶者の直系卑属を養子にする場合は許可は不要
4.戸籍上の続柄
養子や養親
5.縁組の解消
当事者の協議で可能(比較的自由)
6.相続関係
養子となった者は養親の相続人となるとともに、実の親の相続人ともなる

家族

家族

特別養子縁組

特別養子縁組は、様々な事情により実の親が育てられない状況にあるときに、実の親や血族との親族関係を終了する縁組です。
様々な事情には、子を養育できない、子が虐待を受けているなどの事例があり、多くが児童養護施設などに入所している子供です。

特別養子縁組制度はある医師の事件がきっかけで法制化された制度なのですが、詳しくは次のブログをご覧ください。

今年4月に施行された民法等の一部を改正する法律(特別養子縁組)について、法務省のHPでは以下の通り説明されています。
法務省のHPの抜粋です。

民法等の一部を改正する法律(特別養子関係)について
令和元年6月14日
令和元年12月13日更新
法務省民事局
 令和元年6月7日,民法等の一部を改正する法律(令和元年法律第34号)が成立しました(同月14日公布)。  特別養子制度は,家庭に恵まれない子に温かい家庭を提供して,その健全な養育を図ることを目的として創設された,専ら子どもの利益を図るための制度です(特別養子制度の概要【PDF】)。  現在,児童養護施設等には,保護者がいないことや虐待を受けていることなどが原因で,多数の子が入所していますが,その中には,特別養子縁組を成立させることにより,家庭において養育することが適切な子も少なくないと指摘されています。そこで,特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により,この制度をより利用しやすいものとする必要があります。  今回の改正では,特別養子制度の利用を促進するために,特別養子縁組における養子となる者の年齢の上限を原則6歳未満から原則15歳未満に引き上げるとともに,特別養子縁組の成立の手続を二段階に分けて養親となる者の負担を軽減するなどの改正をしています。
 今回の改正は,令和2年4月1日から施行されます。なお,施行の時点で,既に係属中の特別養子縁組の成立の審判事件については,引き続き改正前の民法及び家事事件手続法が適用されます。

 

また、法務省民事局の法改正の概要を解説するパンフレット「民法等の一部を改正する法律の概要」では、改正の目的やその背景が説明されていますが、児童養護施設に入所している児童などのより良い養育環境を提供するために、特別養子縁組の要件緩和が必要であったことが明記されています。
また、その背景として、改正前の厳格な法的要件では、特別養子縁組が利用できなかった事例が298件(うち「実父母の同意」を理由とするもの205件・「上限年齢」を理由とするもの46件)あったそうです。

民法等の一部を改正する法律の概要 パンフレット 法務省民事局_ページ_1

法務省民事局作成パンフレットP1

民法等の一部を改正する法律の概要 パンフレット 法務省民事局_ページ_2

法務省民事局作成パンフレットP2

今回の法改正による特別養子縁組の法的要件や相続関係は次の通りとなっています。

(特別養子縁組法的要件)
1.養子となる者の年齢制限
原則15歳未満(改正前は6歳未満)
例外一定要件のもと15歳以上も可能(改正前は8歳未満)
15歳以上は普通養子縁組も可能なため15歳を基準とする
2.養親となる者の年齢制限・夫婦共同縁組など
25歳以上
夫婦共同で養親となることが要件となっており、一方の配偶者が25歳以上であればもう一方は20歳以上でも可能
3.家庭裁判所の審判
特別養子縁組は家庭裁判所の審判が必須
法改正により、二段階の手続きが導入された
○第1段階目:特別養子適格の確認の審判
実親による養育状況及び実親の同意の有無などを判断する
実親は特別養子縁組に同意する2週間経過後は撤回は不可
児童相談所所長が手続きの申立人または参考人としいて関与可能
○第2段階目:特別養子縁組の成立の審判
養親と養子のマッチングを判断する審判
第1段階目と第2段階目の間で、試験養育をすることも可能
4.戸籍上の続柄
父母、長男や長女など
5.縁組の解消
養子の利益がある場合のみ
6.相続関係
養子となった者は養親の相続人となるが、実の親の相続人とはならない

 

今回の改正の目的は、児童相談所などに入所する児童などにより良い家庭的な養育環境を提供することです。
この制度改正で、多くの子供たちに明るい未来が訪れることを願っています。

父親と赤ちゃん

父親と赤ちゃん。20年位前に宮古島の海で撮影した僕と長男です。

赤ちゃんあっせん事件(菊田医師事件)

養子縁組のうち、特別養子縁組については、法制化されたきっかけとなる事件があります。
「菊田医師事件」です。

ウィキペディアから記事を転載します。

菊田医師事件(赤ちゃんあっせん事件)

菊田医師事件とは、1973年に産婦人科医菊田昇による乳児の出生書の偽装が発覚した事件で、特別養子縁組成立の発端になったとされている。

宮城県石巻市の産婦人科医であった菊田昇医師は、人工中絶によって乳児の生命を絶つことに疑問を抱いていたことから、中絶を希望する妊婦に対し、出産して乳児を養子に出すように説得していた。
同時に、子宝に恵まれないために養子の引き取りを希望する夫婦を地元紙で募集し、乳児を無報酬で養子縁組をしていた。その数は100人以上に及ぶと言われている。
だが、当時の日本は特別養子縁組に関する法律規定が無く、養親が実子のように養子を養育できるように、また実母が出産した経歴が戸籍に残らないようにとの配慮から、乳児の出生証明書を偽造していたことが発覚。
しかし、この事件を契機に、法律に違反しながらも100名以上の乳児の命を守ったことへの賛同の声が巻き起こり、実子として養子を育てたいと考える養親や、社会的養護の下に置かれる子どもが社会的に認知され、要望に応える法的制度が必要だという機運が高まった。

特別養子縁組は、子のいない家庭と事情があって子を育てられない家庭、そして何よりも生まれてこようとする命を助けようとの思いから、出生証明書の偽造をしていた菊田医師の行動がきっかけとなったようです。

法律を破ることは悪いことですが、人の命を助け、沢山の人を幸せにしようとした菊田医師の行動は非難することは難しいですね。

法律が弱い者の味方であって欲しいと思っていますが、特別養子縁組制度はそんな状況から生まれたんですね。

家族

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今日のJAZZ

自宅のダイニングでピアニスト、ビル・エヴァンスの《Spartacus Love Theme》をB.G.M.にブログを書いていますが、食洗器の音がうるさくて、音量を上げて聴いています(笑)
フルート奏者ジェレミー・スタイグとの共演ですが、ほっとしますね。
二人の織り成すハーモニーは極上です。

相続セミナー・説明会情報

自主開催セミナー

より良い人生を送るための終活と相続 ~幸せな相続の準備~ 説明会

開催日時:令和2年10月28日(水) 午前10時から11時15分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)

※新型コロナウイルス感染の状況により、中止とすることもありますので、ご了承ください。

ラジオ番組パーソナリティ

「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
「行政書士がラジオ番組?」と不思議に思ったらこちらをクリックすると理由が分かります。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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