【朝の連ドラ「エール」】なぜ、父は主人公に頭を下げて「相続」について了承を求めたのか?

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。 僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。

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家督相続のなごりが相続を難しくする?

NHKの朝の連続テレビ小説「エール」は作曲家古関裕而さんをモデルとしたドラマですが、今朝は古関裕而さんのモデルである主人公古山裕一の父・三郎が病気のため亡くなりました。
裕一は音楽の道を選んだため、古山家の長男であったにもかかわらず、家出同然に故郷福島を後にしたのですが、結婚し、子供が生まれ、故郷の恩師の依頼で効果を作りそのお披露目式に出席するため数年ぶりに福島に帰り、実家に滞在している設定でした。

そこで、体調の悪い父・三郎は裕一を連れ出し、こんなやりとりをする場面がありました。

父・三郎「了承してほしいことがある。家の土地、屋敷や全ての財産は二男・浩二に継がせたいと思う。」
その申し出に裕一は同意します。

泡とビールの黄金比率。こんなの見たら我慢できません。

「エール」と言うとビールを思い出します(笑)泡とビールの黄金比率。こんなの見たら我慢できません。

なぜ、父・三郎は裕一にそんな話をしたのでしょうか?
物語の設定は昭和初期です。
この時代には1898年に制定された旧民法下における「家制度」に基づき一つの家に一人の戸主を置き統率権限を与えていました。
戸主は家を統率し大きな権限を持つとともに家族を扶養する義務があったのです。
そして、この「戸主」の地位を引き継ぐことを「家督相続」と言っていました。

古山家では父・三郎から本来なら長男・裕一に家督が譲られるはずですが、裕一は家業を継がずに二男・浩二が継いでおり両親と一緒に暮らしていましたから父・三郎は、二男・浩二に家督を譲ることを考えたのでしょう。
裕一も家を出た時に既に、家を捨てたと思っていたので、父・三郎のお願いを当然のごとく受け入れます。

戸主は長男が引き継ぐことが習わしでしたから、連ドラ「エール」では当時のルールではイレギュラーだったと思います。

戸籍制度の関係書籍など

戸籍制度の関係書籍など

戦後、昭和22年の民法改正により「家制度」「家督制度」「戸主」は廃止され、現在の戸籍法に移行しています。
現在の戸籍法では家族三代は同じ戸籍に入れなくなっており、戸籍には「筆頭者」の定めがされています。

また、相続に関しても家督相続であったように、長男が戸主の地位と共に全ての財産を引き継ぐようなことも認められておらず、法定相続人や法定相続割合が決まっており、相続人(兄弟姉妹以外)の相続する最低限の権利である遺留分も規定されています。

ちなみに、沖縄県では、戦後アメリカの統治下があったため日本の憲法や民法等も適用されない時代が続き、日本で民法が1947年(昭和22年)に改正されましたが適用されておらず「家制度」「家督相続制度」「戸主」が1956年(昭和31年)まで続き、日本と同じ民法が適用されたのは1957年(昭和32年)1月からです。
沖縄での民法改正はつい63年前ですので、だからなのか、沖縄ではいまだに長男が家を引き継ぐ、全ての財産を相続するという考え方が残っているように感じられます。
それが相続を難しくしている原因の一つかもしれません。

雄のシーサー。雌はどこへ?(笑)

雄のシーサー。雌はどこへ?(笑)

話を戻しますと、連ドラ「エール」のように、お父さんが頭を下げて「全ての財産を○○に相続させたい」とお願い、または遺言書を書いていたとしても他の相続人が納得しないこともあるでしょう。
昨今の相続では権利意識の高まりから公平性を求める相続人も多いですし、なにかと物入りな相続人もいますからすんなりいかないこともあるかもしれません。

出来る限り公平な相続を目指すことが重要ですし、その考えを相続人に伝えて理解してもらうことも大事でしょう。
ただ、どんなに自分の想いを伝えても想いの届かない相続人はいます。
そんな時は自分の気持ちを大切にして遺言書を作成すればいいと思います。
貴方の築いた財産をどのように相続させるかは、貴方の勝手なのですから。

とはいっても不安になりますし、決めかねることもあるでしょう。
そんな時はお近くの行政書士などの専門家にご相談してください。
いいアイデアが出てくるのではないでしょうか。

民法相続分野 相続法改正 参考図書など

今日のJAZZ

男性ジャズ・ピアニスト小曽根真さんの《Beautiful Love》を聴きながらブログを書いてます。
男性でピアノを弾けるってかっこいいな、と昔から思っていましたが、小曽根さんの演奏はクールですね。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言によるステイ・ホーム中、小曽根さんは「Welcome to Our Living Room」と題し、ご自宅のリビングにあるピアノで演奏する様子を配信されていました。
素敵なピアノと素敵なリビングにびっくりしました(笑)

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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