知っておきたい沖縄特有の相続事情とその対策。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。 僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
【新型コロナウイルス関係】
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沖縄特有の相続事情を知り対策する
相続における問題や争いの原因は、突き詰めていくと大体絞られてくるように思います。
お金の絡む相続は、仲が良かった家族でも相続財産やお金を目の前にすると考え方が変わり、権利主張する者も出てきたりします。
また、人は様々な事情でお金が必要です。
そんな時に相続でまとまった財産が入ってくることがわかれば、一生懸命に自分の権利を主張する人も出てくるでしょうし、当事者だけではなく相続人の配偶者や子供などの第三者が口出ししてくることもあります。
また、相続にはその土地の特有の事情もあるのではないかと思います。
僕もこの4年程で300件以上の相続に関するご相談を受ける中で、沖縄特有の事情が問題や争いを引き起こしているのではないかと思っています。
そこで、僕の考える沖縄の特有の相続事情と解決策をまとめてみました。
実際は、ケースバイケースでの対応が必要ですから、こう単純にはいかないかもしれないですけどね。
1.祭祀主宰者(トートーメー、お墓)
沖縄では先祖崇拝の習慣が強く残っています。
お墓や仏壇を守る人は誰なのか、ということはその家ではとても重要なことなのです。
ただ、昨今では核家族化、家の事情、家族が県外または海外に散らばるなどして、正統な祭祀主宰者がお墓やお仏壇を承継することができない状況にあります。
お墓や仏壇を引き継ぐ人が全ての財産を引き継ぐような風習もあったなかで、そういったこともできなくなり、祭祀主宰者やそのほかの財産の相続を巡って話合いがまとまらなかったり争いになったりしていることも事実です。
沖縄のお墓も無縁墓が増えていたり、長い事誰も訪れていないようなお墓も多いのは、祭祀主宰者の問題とも無関係ではないでしょう。
これまでの祭祀の在り方にこだわっていると、かえってしっかりとご供養できないかもしれません。
現実に合ったご供養の方法を家族・親戚が話し合う必要があるのではないかと思います。
2.問題先送り(てーげー、なんくるないさ)
相続問題は案外面倒なものです。
手続きも話合いも、気の重いものです。
沖縄の人は面倒なものやストレスのかかることから逃避する傾向にあるように思います。
僕は決して、それが悪い事ではないとは思っています。
嫌なことを真正面から受けて精神的に参るよりも、うまく避けたほうがいいから。
しかし、相続においては当事者が避けてばかりいると、次の世代の負債となる可能性もあります。
子や孫たちに面倒をかけないように自分たちの代で解決を図ってほしいものです。
僕は、沖縄の「なんくるないさい」という言葉は「人事を尽くして天命を待つ」の意味が近いと思っています。
だとすれば、しっかり相続の準備をした上で、相続するべきだろうと思います。
ただ、一般の方が相続問題を解決する手立てを考えるのには限界がるかもしれません。
そんな時には僕ら行政書士などの専門家に相談してほしいのです。
そのために僕らがいるのですから。
困っている皆さんの解決策を一緒に考えられると思います。
3.子供・兄弟・親戚が多い
子供、兄弟や親戚が多いというのは、家族や親戚同士で助け合えることや賑やかで楽しい家族形成ができることからとてもいい事だと僕は個人的には思います。
しかし、相続においては、個々人の様々な事情が色濃く反映されます。
人数が多くなればなるほど、様々な事情が絡み合ってきます。
ですから、子供が多い、兄弟が多いなどの推定相続人が多い場合には、しっかり相続の準備をするほうが好ましいのです。
現在、僕がご相談を承っている案件では、相続人が13名ですが、なかなか話し合いが進みません。
過去にご相談を承った案件で、一番多かった相続人の数は67名です。
こうなると話し合いは不可能に近く司法の手にゆだねるしか解決策もありません。
相続人に相続が始まる数次相続もあり、どんどん話し合うべき人が増えていくのです。
相続人が多いほど様々な事情が複雑に絡み合いますから、相続人が多い人は遺言書を書くことは必須です。
4.主な相続財産が居住用不動産
相続財産は不動産、現金、預貯金、有価証券、美術品、骨董品など様々な財産がありますが、沖縄の相続財産は「不動産」が大きな割合を占めており、主たる財産が居住用不動産といった事情もあります。
国税庁と沖縄国税事務所が発表した平成30年分の相続税の申告事績の概要によると相続財産に占める不動産の割合は全国平均が40.4%なのに対し、沖縄は68.0%となっており、かなり高くなっています。
遺産が現金や預貯金が少なく不動産がほとんどを占めていると遺産分割が難しい状況にあります。
ちなみに平成30年度の沖縄県における相続税申告における財産の構成比は次の通りです。
「( )」内は全国の平均です。
【沖縄県の相続財産金額の構成比】
土地61.6%(35.1%)、家屋6.4%(5.3%)、現金・預貯金等18.3%(32.3%)、有価証券6.5%(16.0%)、その他7.1%(11.3%)
ましてやその不動産が居住用の不動産だと相続の話合いが上手くいかなければ遺された家族の住むところの問題も出てきますので、要注意です。
また、相続税の支払いは原則現金です。
もし、相続税が課税される時に主たる財産が不動産だと支払いに困ることもあるかもしれないですね。
事前の対策が必要です。
特に近年の問題として、遺された配偶者の生活上の課題が取りざたされており、平成30年7月に国会で可決された民法の改正で配偶者居住権や配偶者へ居住用不動産を贈与した際の持ち戻しの免除の意思表示などの規定が創設されています。
新たな制度を理解し活用することも大事です。
沖縄特有の相続事情について、併せて読んでもらいたい記事です。
沖縄特有の相続事情から見えてきた「相続人の3SO」とは?
今日のJAZZ
ピアニスト、ハービー・ハンコックの《Speak Like a Child》がクーラーの効いた事務所に流れています。
夕暮れ時にカップルがキスをするシルエットのアルバムのジャケットが好きで、聴いてみました。
宙を漂うような演奏ですね。
かぎりなく柔らかい。
相続セミナー・説明会情報
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開催年月日:令和2年5月25日(月)
新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止を決定いたしました。(令和2年5月7日15:32決定)
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次回は6月29日(月)を予定しております。
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