相続対策で養子縁組したけど、養子が先に亡くなった!相続はどうなる?
今日はご近所さんがジャズのコンサートのチケットがあるから差し上げますよ、とわざわざお電話をくださった。
聴くとアメリカ軍属によるジャズコンサートらしい。
本場のジャズが聴けるから、ジャズ好きの僕に連絡をくださった。
僕がジャズが好きなのは事務所の前にある黒板に「ジャズ」が好きだということを書いてるから。
好きなことを情報発信していると情報が舞い込んでくるようになりますね。
しかし、その日は別件があっていけない・・・残念です。
A様、ありがとうございます。
こんばんは!沖縄県那覇市の遺言・相続専門JAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!
法定相続人と法定相続割合
被相続人(故人)の財産を相続する人は法律で決まっています。
法定相続人です。
また、その相続割合も決まっていて法定相続割合があります。
法定相続人は第一順位から第三順位まで決まっていて、配偶者はいつでも相続人になります。
第一順位から順番に相続人が決まっていくのです。
配偶者がいる場合には、法定相続割合がそれぞれ違ってきます。
第一順位 直系卑属(子や孫など)
配偶者がいる場合の法定相続割合:2分の1
例:配偶者と子供3名なら配偶者が2分の1で、子供がそれぞれ6分の1
第二順位 直系尊属(父母や祖父母など)
配偶者がいる場合の法定相続割合:3分の1
例:配偶者と父母なら配偶者が3分の2で、父母がそれぞれ6分の1
第三順位 兄弟姉妹
配偶者がいる場合の法定相続割合:4分の1
例:配偶者と兄弟姉妹3名なら配偶者が4分の3で、兄弟姉妹がそれぞれ12分の1
代襲相続とは
相続においては、相続人が被相続人よりも以前に亡くなっているケースもあります。
例えば、お父さんが亡くなった時には既に長男が亡くなっていて、亡くなった長男は結婚して子供がいるケースでは、長男の法定相続分は長男の子供に移ります。
これを代襲相続と言います。
相続を複雑にしている制度かもしれませんが、相続人の権利を守るために法定されています。
ちなみに代襲相続は第一順位の直系卑属および第三順位の兄弟姉妹にも認められていますが、兄弟姉妹の代襲相続については再代襲はないため、甥姪で代襲相続は停まります。
養子縁組と代襲相続
最近、養親が亡くなった時に既に養子が亡くなっていたとすると、その養子の子が代襲相続人になるのか?といったご相談がありました。
子供のいないご夫婦が財産承継のことを考えて養子縁組をしていたのですが、養子が先に亡くなってしまうという、想定外のことが起きてしまったのです。
この場合には、養子縁組をした時期が大切になってきます。
例えば上の事例です。
養父Aと養父BはCを養子としました。
養子Cが結婚し、子D(平成15年12月2日)がいます。
養父A(平成31年2月1日死亡)が亡くなった時に既に養子C(平成28年2月10日死亡)は亡くなっていました。
その時に養子Cの子Dは代襲相続人となるか?という問題です。
まずは、代襲相続の根拠となる条文を見てみましょう。
民法887条第2項に代襲相続の規定があります。
第887条
1.被相続人の子は、相続人となる。
2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
上の例ですと養子Cが養父Aよりも先に亡くなっているのであれば、養子Cの子Dは代襲相続人となりそうですが、実は注意しなくてはならないことがあります。
民法第887条第2項の但し書きです。
「ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」
これはどういう意味でしょうか?
直系卑属とは、縦のラインで直接つながる系統の親族のことを言います。
祖父母から見れば、子、孫やひ孫などです。
養子も直系卑属に含まれます。
ただし、養子縁組に関しては、法律上、養子縁組をした日から血族間におけるのと同一の親族関係を生ずるとしています。
民法第727条
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
上の例だと養子Cの子Dの生年月日が平成15年12月2日となっています。
養子Cの子Dが養父Aの直系卑属となるには、養父Aと養子Cの養子縁組の日が重要となります。
上の例では、養子縁組日を2つ示しています。
養父Aと養子Cの養子縁組日が・・・
①平成10年5月11日:養子Cの子Dは養子縁組日後に生まれているので、養子Cの代襲相続人となる。
②平成25年5月14日:養子Cの子Dは養子縁組日前に生まれているので、養子Cの代襲相続人とはならない。
つまり、養子Cの子Dが生まれたのが養子縁組日の前なのか後なのかによって、養父Aと養子Cの子Dとの親族関係が変わってくるのです。
相続対策としての養子縁組も二重三重の対策が必要?
今回ご相談があった事例では、今の状況だと養父Aに相続が開始しても養子Cの子Dが代襲相続人となることはありません。
養子Cの子Dが養父Aの財産を承継するためには・・・
1.養父Aが遺言書で養子Cの子Dに遺贈する
2.養父Aが養子Cの子Dに贈与する
3.養父Aが養子Cの子Dに売却する
4.養子Aと養子Cの子Dが死因贈与契約を締結する
5.養子Aと養子Cの子Dが養子縁組する
と言ったことが考えられます。
子供がいないから養子を迎えて相続対策をしたようですが、その養子が先に亡くなり想定外のことが起きています。
財産の承継を確実に行うためには、二重三重の対策が必要かもしれないですね。
今日のJAZZ
寂しさを感じる音楽も多々あると思いますが、ジャズだとトランペッター、チェット・ベイカーの演奏が頭に浮かびます。
最近はチェット・ベイカーの半生を描いた映画「ブルーに生まれついて」が放映され、チェットの愛と孤独が痛いほど伝わってきました。
チェットの人生は本当にブルーだったんですね。
今日はチェットがトランペットを吹き、歌う《Almost blue》を紹介します。
痛いくらい寂しさを感じます。
【相続セミナー・説明会情報】
「争わなくてすむ相続を遺言書で実現する ~幸せな相続の準備~ 説明会」
【開催概要】
◇開催年月日:令和元年5月29日(水)
◇時間:10:00~11:45
◇定員:先着12名
◇参加費:2,000円(税込)/名
※当日、会場にてお支払いください
【申込方法】
◇電 話098-861-3953
◇メールお問合せフォーム
題名に「5/29セミナー参加申込」と入力お願いします
【会 場】
沖縄県教職員共済会館「八汐荘」3階小会議室
那覇市松尾1-6-1
駐車場有(説明会参加者無料)
詳細はここをクリック
【ラジオ番組パーソナリティ】
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」FMレキオ(FM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
ご家庭のラジオなら那覇市と浦添市、カーラジオなら北は読谷村、沖縄市、南は豊見城市、与那原町まで聴けます。
スマホのアプリならFMレキオのサイトでアプリをダウンロードすると日本全国、世界中で聴けますよ。
JAZZのリクエストや遺言・相続に関する相談はこちらへどうぞ!