ご存じですか?死亡の危急に迫った者のする遺言。

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩です。
僕は沖縄県那覇市松尾で終活・相続・遺言書専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。

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本日(4/5水)午後9時からはラジオ番組「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオ80.6Mhz)の放送です。
今回もご機嫌なジャズを選曲しています。春らしい爽やかなジャズです。
もちろん専門の相続・遺言書の話もしています。
FMレキオの公式アプリをダウンロードするとスマホでも聴けます。
よかったら聴いてくださいね。お楽しみに!

おもろまちアップルタウン2階のFMレキオのスタジオ。新年度を迎え模様替えがありました。機材の配置が換わっていて、少し戸惑いました。全て一人でオペレーションしています^^

死亡の危急に迫った者の遺言-危急時遺言-

遺言書にはいくつかの種類がありますが、状況により使い分けることが出来ます。

3月の終わりでしたが、僕は特別方式の「危急時遺言」の作成に関わりました。
余命半月と宣告されたお客様からのご依頼でした。

僕自身は、行政書士として本格的に業務を始めて7年間で、危急時遺言は3件程しか経験したことがなく、全国でも年間100件程しか作成例のない遺言のようです。

今日のブログでは遺言書の種類と危急時遺言について書き記したいと思います

遺言書の種類について

まずは、遺言書の種類を簡単に解説します。

【遺言書の方式・種類】
1.普通方式
(1)自筆証書遺言
全て自らが書いて作成する。平成31年1月13日からは財産目録はワープロ等での作成が可能となってます。
(2)公正証書遺言
公証人に作成してもらう方式。証人2名が立ち会う。
(3)秘密証書遺言
内容を秘密にするという趣旨があります。特徴は代筆可能でワープロでもOK。公証人、証人2名立会いのもと封緘。公証人と証人は内容までは確認しません。

2.特別方式 ※めったにないものです
(1)隔絶地遺言
伝染病などで隔離している方や刑務所に入っている方が書く一般隔絶地遺言は証人として警察官1名と他1名の立会いが必要です。
また、船舶隔絶地遺言は、船での仕事をしている方や航海中の方が作る遺言で証人として船長または事務員と他に証人2名以上が必要になります。
(2)危急時遺言
病気や飛行機事故などで死が迫っているときに作成しますが、証人3名以上の前で遺言者が口授し証人の一人が筆記し遺言書を作成し証人が署名捺印することで作成できます。ただし、作成した遺言書は家庭裁判所で「確認の審判」を受ける必要があります。詳しくは後述します。

遺言書の方式や種類の詳細については、次のサイトが参考になります。

危急時遺言について

上記で説明したとおり遺言書には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」がありますが、何かしらの事情で命の危険(民法上は「死亡の危急」とされています)を感じた時に緊急で作成する遺言書の一つが危急時遺言です。

何かしらの事情というのは、病気、事故や船舶が遭難しているよう緊急事態にある状況です。

危急時遺言は民法の第976条に規定されています。

(死亡の危急に迫った者の遺言)

第九百七十六条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。

 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。

 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

めったに作成されることはなく、1年間に全国で100件ほどのようです。
僕も今回の作成を含めて、3件の証人及び筆記者として経験しただけです。

これまで僕が関与した全てが、入院している方からのご依頼でした。

個人情報にかかわることなので、詳細は書けませんが、この状況で最適な遺言書である「危急時遺言」をお客様にご提案し、完成させました。

いずれも遺言書がないと相続手続きが困難となり、ご家族が大変困る状況になることが予想される案件でしたので、僕は遺言書は必要だったと思っています。

危急時遺言の作成の法的要件は次の通りです。

【危急時遺言法的要件】
1.遺言者は証人3人以上の前で遺言の趣旨を口授する
2.証人の一人が遺言者の遺言の趣旨の口授を筆記する
3.遺言者の遺言の趣旨の口授を受けたものは筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせる
4.筆記した内容が正確であることを遺言者と証人が認めたら筆記した文書に署名と捺印する
5.作成された危急時遺言は家庭裁判所での裁判官の確認の審判が必要となるので請求する
6.遺言者が普通方式の遺言をできるようになった時から6か月間存命していた時には危急時遺言書は無効となる
7.遺言者が亡くなり相続が開始した場合には、家庭裁判所での遺言書の検認手続きが必要である

また、危急時遺言を作成した上で感じた注意点を次に記します。

【危急時遺言作成上の注意点】
1.緊急性は高いものの情報は裏付けをとる
遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍などは運転免許証や保険証などで確認する。
遺言書に記載する財産の全部事項証明書(登記簿)や通帳口座の情報を確認する。
相続人となるものを確認する。
相続させる者や遺贈する者の氏名、生年月日、続柄を正確に確認する。

2.証人の選任
証人は未成年者、推定相続人、署名できないもの、口授が聞き取れないもの、口授を理解できないものなどはなることができません。
また、めったにない方式であり、厳格な手続きが求められるので、報酬が発生するとしても遺言書作成の専門家である行政書士や弁護士、またはその他の士業に依頼するのが望ましいでしょう。
緊急性が高いときには、医師や看護師などにお願いすることも選択肢の一つですが、お受けいただけるかどうか相手方と所属する組織の判断です。
証人には家庭裁判所の確認の際に、調査官との面談などもありえますので、ご協力してもらえる方に依頼することが望ましいでしょう。

3.遺言書の作成環境
遺言者が口授する場所は密室が望ましいです。
遺言者と証人以外は入れないこと。
特に推定相続人や利害関係者が同席していると、後々、その遺言書の真意性が問われることとなります。
病院や施設などで作成する場合には、個室を借りられるとよいと思います。

入院中の高齢者 病人

行政書士城間恒浩の所感と想い

以上、めったに取り扱いのない危急時遺言の法的要件と実際に経験した上で、感じたことを書かせてもらいました。

このような状況になった時でも遺言書の作成を望む方がいれば、作成できる方法はあります。
ただし、危急時遺言は、死の危険を感じた方が作成する遺言書ですので、確実かつ迅速な手続きが求められます。
遺言書の専門家に依頼することが望ましいでしょう。

僕はこれまで100件以上の遺言書作成の支援をしてきましたので、出来る限りお客様の要望に応えたいと思い、危急時遺言のような特別方式の遺言書にも対応しています。

しかし、現在もそうですが、新型コロナウイルスの感染者が遺言書を作成するのはかなり困難ではないかと考えます。
証人が病室に入ることは難しいです。
ただでさえ、ひっ迫している医療現場にご負担をかけてしまうことがあるからです。
医療現場は、緊張状態を保っていますから遺言書を作成したいといっても対応できないことはあるかもしれません。

遺言書の作成は国民の権利ですが、制限される状況も出てくるでしょう。

ですから、遺言書は元気なうちに、できるだけ早く作成し、万が一に備えてほしいのです。

人の命はいつ尽きるかわかりませんし、急に体調を崩すこともあるでしょう。
自分の健康は過信してはいけないのだろうと思います。

また、僕はできるだけ晩年はゆっくりと穏やかに過ごしてほしいと思います。
穏やかに家族に見守られながら、旅立ってほしいのです。
だからこそ、早めに準備が必要なのだと思います。

今日のJAZZ

トランぺッター、ブルー・ミチェルの《I’ll Close My Eyes》を紹介します。
本日(4/5水)放送のラジオ番組のエンディングでも選曲しましたが、ミチェルの朗らかな音色が気持ちよく響き、爽やかな一曲となっています。
沖縄は春の爽やかな季節を迎えています。
湿気もなく、風が吹き、太陽の光も柔らかです。
こんな季節に聴きたい演奏の一つです。

相続セミナー・説明会情報

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家族を安心させる遺言書の極意セミナー ~幸せな相続の準備~

開催日時:2023年4月27日(木) AM10:00~11:30(90分)
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1) 駐車場あり
定員:限定8名
参加費:2,000円(税込)

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ラジオ番組

「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
「行政書士がラジオ番組?」と不思議に思ったらこちらをクリックすると理由が分かります。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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