令和5年度税制改正大綱から見えること

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩です。
僕は沖縄県那覇市松尾で終活・相続・遺言書専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。

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令和5年度税制改正大綱

昨年12月23日、令和5年度税制改正大綱が閣議決定され、税制の改正にむけて準備が進められています。

財務省が公開している資料によると今回の改正のポイントは次の通りです。

令和5年度税制改正(案)では、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につな
げるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化する
ための税制上の措置を講ずることとしています。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い
水準の所得について最低限の負担を求める措置を設けるほか、国際合意に沿ってグローバル・ミニマム課
税を導入することとしています。資産課税では次世代への早期の資産移転及び資産の再分配機能を確保す
る観点から、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築することとしています。
このほか、法人課税
や車体課税の見直し、インボイス制度の円滑な実施に向けた改正なども行うこととしています。

令和5年度税制改正(案)のポイント令和5年2月財務省作成

今回の税制改正では大きく分けると以下の6つについて、触れられています。

1.個人所得税:
NISA制度の抜本的拡充・恒久化、スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化、特定非常災害に係る損失の繰り越し控除の見直し
2.資産課税:
資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等
3.法人課税:
研究開発税制の見直し、企業による先進的人材投資に係る税制措置、オープンイノベーション促進税制の見直し
4.消費課税:
インボイス制度の円環綱実施に向けた所要の措置、自動車重量税のエコカー減税の見直し、承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設
5.国際課税:
グローバル・ミニマム課税への対応
6.納税環境整備:
電子帳簿等保存制度の見直し、課税・徴収関係の整備・適正化

詳しくは、令和5年度税制改正(案)のポイント」(令和5年2月財務省作成)を参照してください。

相続税や贈与税に関わる税制改正

相続や贈与に関する重要な改正も検討されています。

上記のポイントの太字下線の部分「資産課税では次世代への早期の資産移転及び資産の再分配機能を確保する観点から、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築することとしています。」が相続や贈与の税制改正に当たりますが、お金を使うまたは必要とする若い世代に、親や祖父母の世代から早めに移転することで、日本の経済活性化につなげたいとする政府の意図も見えてきます。

また、財産の移転の際に、適正な税制度のもと、税収も得つつ、節税効果の高い方法も選択できるように、制度を改正しようとしているのだと思います。

では、具体的にはどのようなことが、変わるのでしょうか?

財務省のHP「令和5年度税制改正の大綱(2/10)」では、次のように説明されています。

1資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築

(1)相続時精算課税制度について、次の見直しを行う。

1相続時精算課税適用者特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする。

(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

2相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、当該相続税の課税価格への加算等の基礎となる当該土地又は建物の価額は、当該贈与の時における価額から当該価額のうち当該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする。

(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用する。

3その他所要の措置を講ずる。

(2)相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等について、次の見直しを行う。

1相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。

(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。

2その他所要の整備を行う。

【行政書士城間のコメント】

令和6年1月1日以後に係る相続や贈与についての適用となっています。
これまでは、受贈者は相続時精算課税制度(贈与時2,500万円以下非課税)または暦年課税(年110万円以下非課税)のどちらかを選択しなくてはなりませんでした。
今回の改正では、相続時精算課税制度を選択した場合、毎年110万円までは課税しない基礎控除の考えが導入されるようです。
多くの財産を生前に移転することができるようになるかと思います。
上手に使いたい制度ですね。

また、生前贈与については毎年110万円までは非課税とはなるものの、贈与者が死亡し、相続が開始すると死亡前3年以内の贈与額を相続財産に加算して、相続税の計算をすることとしていましたが、今回、相続開始前7年以内の贈与に拡大されます。
ただし、延長の4年間については、総額100万円までは相続財産に加算しないとしています。
この部分は、課税が強化された感じがしますね。
相続財産に加算される生前贈与の期間が拡大されるので、お気を付けください。

2教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。

1信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であっても、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなす。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用する。

2受贈者が30歳に達した場合等において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとする。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

3本措置の対象となる教育資金の範囲に、都道府県知事等から国家戦略特別区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等の一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設に支払われる保育料等を加える。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

4その他所要の措置を講ずる。

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が50歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限を2年延長する。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

【行政書士城間のコメント】

教育資金や結婚・子育て資金の贈与については、大きな金額を使用目的を絞って贈与できますが、どうも使い勝手が悪くてあまり利用がされていないようです。
ただ、今回は、期間が延長されました。
贈与する資金が贈与者が意図するように受贈者が使ってくれるもので、他への流用ができないため、意図を明確にする贈与でしたら、是非、活用してもらいたいですね。

税収の増減から見る改正の意図

令和5年度の税制改正による税収の増減見込についても財務省の資料「令和5年度税制改正(案)のポイント」の14ページで触れられています。

この資料によると資産課税は70億円ほど増収となることがわかりますね。

ちなみに相続税の税収は国にとっても重要な税源に位置付けられており、資産課税の税制改正が続いているかと思います。
約660万人いるとされる、いわゆる団塊の世代(S22ーS24年生)の相続が開始し、大相続時代がくることから、国も税収を見込んでいるわけです。

財務省の資料「令和5年度予算のポイント」によると、令和5年度の国の一般会計における歳入総額は約114兆円となっていますが、相続税の2兆7,760億円の歳入に占める割合は、2.4%となっています。
毎日多くの消費がされる酒税(1兆1,800億円)とたばこ税(9,350億円)の合計額2兆1,150億円を上回る額が見込まれているのですから、国にとって相続税の税収はしばらくの間、重要な位置づけとなるでしょう。

令和5年度税制改正大綱によれば、中立的な適正な課税がされることだと思いますが、納税者の側としては、改正の特徴を知り、上手に対応したいですね。
場合によっては節税につながることもありますから。

ちなみに、相続税や贈与税は税理士の業務の範疇ですから、行政書士は相続税・贈与税の申告や計算に係るご相談は承ることはできません。
ただ、相続、遺言書や贈与に係る業務に携わる中で、税金のことは忘れてはならない事柄なので、知識を得ておき琴は大事だと思っています。

僕も提携する税理士と一緒に様々な相続対策や相続税対策について、お客様にご提案していければと考えています。

今日のJAZZ

サックス奏者ジョン・コルトレーンの《It’s Easy to Remember》を紹介します。
コルトレーンの名盤『Ballads』に収録されたバラードです。
そんなに感傷的ではなく、きもちのいいムーディーな演奏です。
コルトレーンのバラードの中でも好きな曲の一つです。

相続セミナー・説明会情報

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ラジオ番組

「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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