サザエさんの母、故フネの遺言書は一見不公平に見えたが、その理由が「付言事項」でわかり皆が涙する。


こんにちは。
沖縄県那覇市のJAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!

故磯野フネ相続事件

さて、昨日のブログが少し反響が良かったです。
国民的な家族サザエさんファミリーを取り上げたからですかね(笑)
それと、フネさんの旧姓が「石田」であることに反応している人も数人。
内容はどうでもいいようです(笑)

(昨日のブログ)

昨日のブログは、サザエさんファミリーの精神的な支柱である、磯野フネさん(お母さん)が亡くなったのちに、自宅の冷凍庫からへそくりが1,200万円見つかった。
フネの相続が開始し、法定相続人は波平、サザエ、カツオとワカメの4名。
法定相続分は波平が600万円、サザエ、カツオとワカメがそれぞれ200万円となることがわかった。

でも、しっかり者のフネは「遺言書」を書いており、気になるその中身は・・・
と言ったところまででしたが、今日はその続きです。

故磯野フネの遺言書が台所から見つかる

フネの49日の法要で家族一同が久しぶりに集まる中、サザエがとあるものを見つけます。
それは、白い封筒に見覚えのある綺麗な字で、こう書かれていました。

遺言書」。

ちなみに遺言書は、冷蔵庫の「野菜室」に入っていたそうです!!
いつも台所に立っていたフネさんらしい(笑)

遺言書の裏面には・・・

「この遺言書は勝手に開封してはならない。家庭裁判所で検認を受けること。
平成28年10月9日 磯野 フネ ㊞」

49日の法要で集まっていた家族に、サザエは大声で叫びます!

「みんな大変よ~~~お母さんの遺言書が見つかった~~~~開けちゃうわよ~~~~」

成人したカツオとワカメ、
年老いた波平、
大学生となったタラオ、
今も居候のマスオ、
波平の甥っ子家族のノリスケ、イクラとタイ子
の順番に居間に入ってきます。
最後に、タマの忘れ形見、キンも飛び込んできました!

波平「バッカモ~~ン!サザエ、開けちゃいかん! 自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受けないといかんのじゃ! 勝手に開けると5万円以下の過料を払わんといかんぞ!」
カツオ「お母さん、遺言書なんて書いてたんだ! ところで、遺言書って何?」
マスオ「遺言書はね、故人が自分の財産をどのように処分するかを記した書面で、法的な拘束力があるんだよ。」
ワカメ「お母さんの最後のお手紙だよ!早く開けたい。裁判所に検認の手続きとろう!」
キン「ニャ~~ン♪」

遺言書の検認については、裁判所のHPをご確認くださいね。

サザエさん家系図。ウィキペディアより。

故磯野フネの遺言書の内容とは!

家庭裁判所でフネの検認の手続きを終えたのは、フネが亡くなって、2か月半がたとうとしていたころです。
遺言書を開封して、サザエさんの家族一同は、驚き、紛糾します。

遺言書

遺言者、磯野フネは遺言者の所有する財産に関し、以下の通り遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者保有の自宅冷凍庫に保管しているする現金1,200万円を全て、次女の磯野ワカメ(1942年6月15日生)に相続させる。

第2条 遺言者名義の以下の預金債権を全て、次女の磯野ワカメ(1942年6月15日生)に相続させる。

フジ銀行 あさひが丘支店 普通預金 口座番号123456789

第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

沖縄県那覇市松尾1丁目15番7号 2階
行政書士ジャジー総合法務事務所
行政書士 城間 恒浩
昭和46年9月12日生

第4条 前条の遺言執行者の報酬は、遺言執行者の定める額とし、次女磯野ワカメが相続する財産の中から支払うこととする。

なんと、フネの全財産は、ワカメに託されることになりました。

遺言書を読んだ、波平、サザエとカツオは納得いかなかないようです。
波平「母さんは、なんでワシにはお金を遺さんのじゃ!」
カツオ「なんで、ワカメだけが相続するんだ!」
サザエ「おかしいわ!1,200万円もの大金を一人で、独占するなんて!!」
口々に思いのたけを叫びます。

久しぶりに家族一同が顔を合わせたのですが、大きな騒ぎとなってしまったのです。

ちなみに、遺言書は、故人の最終意思で、法的に有効な遺言書には、相続人は従うことになります。
ただ、相続人の全員が合意すれば、遺言書によらず、遺産分割協議をした上で、相続財産の分与方法を決めることができるのですけどね。

そして、僕はフネさんに生前に遺言書作成の相談を受けて、遺言執行者に指定されていたのです。
僕がフネさんに相談を受け、遺言執行者に指定されたのは、以前にフネさんが僕の主催する相続セミナーにご参加してくださったことが縁なのです。

故磯野フネが遺言書に託した想いとは・・・「付言事項」

おじちゃん、母親、おじさんおばさんが、大騒ぎする中、離れたところから行方を見守っていた、東大法学部3回生のタラオが、投げ捨てられた遺言書を拾い上げながら言います。

タラオ「みんな、遺言書には2枚目があるよ!ちゃんと読んで!おばあちゃんの気持ちがわかると思う。」

そう遺言書には、2枚目があったのです。
そしてそこには、遺言者がどんな思いで、この遺言書を書いたのかを書き記す「付言事項」があったのです。

(付言事項)
私の財産は預金が1,200万円とフジ銀行にあるわずかな預金だけです。
節約生活で、何かあった時のために少しずつ貯めた、いわゆるへそくりです。

ただおかげさまで最後まで、使う機会はなかった。
これもお父さんを始め家族に支えられたからだと思う。>
みんなが元気でいてくれたからだと思う。

全額をワカメに遺した理由は、しっかり者のワカメに家族が何かあった時に、私の残したお金で、家族を助けてほしいと思ったからです。
お父さんに渡すと全部お酒を飲んでしまいそうだし、サザエに渡すとどこかに全部忘れてしまいそうだし、カツオに渡すと無駄遣いしそうです。

だから、ワカメに遺します。
磯野家に今後、何かあった時にはワカメが助けてあげてくださいね。
もしかしたら、大変な役割を押し付けたかもしれないけど、ワカメならわかってくれると思います。
ワカメ、よろしくね。

お父さん天国で待ってますよ。

平成28年12月1日<

磯野 フネ ㊞

付言事項を読み上げるタラオの声が震えます。
そこにいる皆からも鼻をすする音が聞こえてきます。

ワカメに全財産が残されたり理由がわかりました。
フネは晩年大病を患い、手術さえすれば長生きできたかもしれないけれども、お金がかかることを気にして、結局、手術はしなかった。

家族一同は、このお金はその時に使うべきものだったのではないかと思いながら、フネの最後まで、家族を思う気持ちに寂しさが込み上げてきたのです。

遺言書を確実に執行するための「遺言執行者」

遺言書は、故人の最終意思であり、遺言書に書かれた内容は、遺族にも尊重されると思います。
ただ、それがあまりにも不公平であったり、理不尽である場合には、遺族が争うことがあるかもしれません。
今回のフネが遺した遺言書は、ワカメ一人が相続するという不公平極まりないものでしたが、フネの書いた「付言事項」が家族を納得させたのです。

フネの遺言で、遺言執行者に指定された僕(城間恒浩)は、財産目録を作成し、粛々と遺言を執行しました。
また、フジ銀行にて、フネ名義の預金口座を解約し、ワカメの口座に全財産を振り替えて、ワカメから報酬をいただきました。

サザエさんファミリーの相続をお手伝いできて、光栄です。
ありがとうございます。

ちなみに「遺言執行者」とは、遺言書に書かれている内容を具体的に実現する権利を有し、義務を課された者です。
遺言者が死亡し、相続が開始したらすぐに遺言執行者として遺言の執行に動かなくてはなりません。
遺言執行者は、相続人のうち誰かでも構わないですし、複数いてもいい。
また、僕らのような専門家でもいいし、法人でも構わないとされています。

遺言書を遺すなら、その想いを込めた遺言を確実に執行できるように、遺言執行者を指定することをお勧めします。

カツオの「遺留分減殺請求」

フネの遺した遺言書を執行した僕は、後日、とても残念な報告を受けます。
フネの一回忌の直前に、カツオが、フネの相続に関し、「遺留分減殺請求」の訴えを起こしたそうです!

遊ぶ金の欲しさに、フネの相続に関し、「遺留分」、つまり相続する権利を保障する制度を利用して、訴えを起こしたのです。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められている制度です。

遺留分は、相続があってから1年、相続があったことをしった時から10年以内であれば、「遺留分減殺請求」ができます。

「遺留分減殺請求」の方法、口頭、電話、FAXや内容証明郵便で請求も可能です。

それでも相手方が応じない場合には、家庭裁判所で家事調停の申し立てができますし、調停が不調に終わった時には裁判所に訴えの定期も可能です。

遺留分の詳細については、以下のブログを読んでくださいね。

2017/3/16
知ってますか?遺言書がなければ長年連れ添った旦那と作った財産を旦那の兄弟と分け合わなくてはいけないケース?

遺言書を書くときには、遺留分にも注意して書いてくださいね。

かくして、僕が遺言執行者となったフネの相続は、カツオの「遺留分減殺請求」により泥沼の様相を呈してきました。
「くそ。カツオの野郎。」(僕の心の声です)

続きは明日です。

追伸
全部、フィクションです。
フネさんが僕のセミナーに参加したことはありませんし、相談を受けたこともありません!

今日のJAZZ

昨日に引き続きヴォーカリストSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)の「Over the rainbow」。
名曲ですね。
JAZZ界のスーパースターが歌うとまた情緒があっていいです。
昨日、今日と雨の予報が出ていますが、虹が出ないでしょうか。

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「中学生でもわかるやさしい遺言書とエンディングノートの書き方 ~幸せな相続の準備~ 説明会」

誰も相続で家族が争うことを望んではいないはずです。でも、準備が不十分なことから大なり小なり相続争いが発生しています。相続を争いにしないために遺言書を書く方も増加しています。しかし、法的要件をクリアしていますか?遺言書は一つでも法的要件を欠くと無効になります。
また、遺言書とエンディングノートを混同していませんか?違うものです。

《日時》 平成29年4月26日(水) 午前9:45~11:45
《会場》 沖縄県教職員会館「八汐荘」 3階 小会議室 (那覇市松尾1-6-1) 駐車場有《定員》 12名
《参加費》2,000円(税込)
※お二人目からは1,000円(税込)。ご夫婦で参加でしたら3,000円です。
《申込方法》
・携帯電話 080-1087-7965
・電  話 098-861-3953
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FMレキオ(FM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日 21:00から21:50
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僕がラジオパーソナリティをしている理由はこちら
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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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