知ってますか?仏壇やお墓を守る者への財産の承継について。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
叔父から甥への財産承継
僕はラジオ番組のパーソナリティをしていまして、那覇市のコミュニティ・ラジオのFMレキオで「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオ80.6Mhz)と題して、月に2回(第1&3水曜日)、放送しています。
2016年10月から始めましたので、5年目となっています。
僕の好きなジャズのことや専門の終活、相続、遺言書や贈与のことをお話しさせていただいています。
ちなみに次回は7月7日(水)21時からの放送です。
スマホのアプリでも聴けますよ。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
だいぶ前のことですが、ラジオの相続関連の質問コーナーで、取り上げましたが、こんな質問がありました。
毎回・・・ではないですが、楽しく聞かせてもらっています。
すいません^^
早速ですが質問お願いします。
叔父の土地・建物の相続の件で質問です。
僕の父親の兄弟の家系には男手がいなく、叔父が先祖代々引き継いでいる仏壇等を含め住んでいる土地・ 建物を甥である私に相続させたいと話しています。
(僕にはまだ小さいですが息子がいるため)
その際、今すぐに名義を変更した方がいいのでしょうか?
気になっているのは税金のことです。
父親を含め叔父も他の兄弟もその事については了解済みです。
又、相続財産として譲り受ける場合はどのようにしたらいいのでしょう か?
親族内では話がついているため亡くなった後は、そのままにしていたら僕の名義に変更することが可能なのでしょう か?
よろしくお願いします。
リクエストもお願いします。
ジャジーさんがJAZZの世界にに引き込まれた一曲をお願いします。
要約すると、本家の祭祀承継のために、ご相談者に父方の叔父から相続する方法を教えて下さい、ということです。
一般的に仏壇やお墓を承継する者のことを祭祀主宰者と言っていますが、承継の方法は民法で定められています。
民法第897条
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
祭祀主宰者については、民法第897条で定められており、原則は慣習ですが、祭祀主宰者であった被相続人(故人)が指定している者がある場合は、その者が行うとされています。
慣習が明らかじゃない時または被相続人の指定がない時には、家庭裁判所が定めることになっていますね。
祭祀主宰者の指定は、たいていは慣習で行われるでしょう。
沖縄では、その家の長男が承継することが多いのではないかと思います。
ただ、現代の家族の在り方や家の在り方を考えると、これまでのような祭祀の承継は難しく、それ以外の方法を指定することがあるかもしれません。
例えば、長男である家に子供がいなかったり、男子がいなかったりする場合に、兄弟姉妹の子供に祭祀主宰者を任せることもあるでしょう。
そのような指定を行う場合には、遺言書が一般的になります。
話を本題に戻します。
ラジオ番組でご相談おなった件ですが、まず、叔父から甥が相続できるか?という疑問があります。
相続の順番に照らし合わせると、甥は叔父の直接の相続人となることはありません。
可能性はゼロではありませんが、現状では難しいかもしれないです。
ただし、第三順位の相続人である兄弟姉妹には代襲相続という制度があり、ご相談者のお父さんが叔父さんよりも早くに亡くなっているとお父さんの相続権をご相談者が引き継ぐ、代襲相続が発生する可能性はあります。
しかしながら、今回のご相談内容は、祭祀の承継を確実にすることが前提となると思いますので、代襲相続を待つのは現実的ではありません。
では、ご相談者の叔父が希望される確実な祭祀承継のために本家の土地、建物、仏壇やお墓をご相談者はどのようにして、引き継げばいいのでしょうか?
叔父から甥に財産を移転する方法
方法は大きく分けると4つあります。
1.生前贈与する
生前に贈与すれば、確実に土地、建物、仏壇やお墓は移転可能です。
しかし、多額の贈与税ががかかります。
また、生前に仏壇やお墓などの祭祀主宰者としての地位を譲ることが適当なのか、判断にまようところですね。
2.遺贈する
遺言書で、遺言者が相続人以外に財産を分与する方法を「遺贈」といいます。
遺言書で、甥に土地、建物を遺贈し、祭祀主催者として指名するのです。
ただし、他の相続人の「遺留分」の侵害をしないように注意が必要です。
「遺留分」とは、相続人の相続する最低保障の権利です。
3.叔父と甥(ご相談者)が養子縁組し、相続を待つ
叔父と甥が養子縁組をして、法律上の親子となれば、叔父の養子として甥が相続人となることができます。
養子縁組をした上で、叔父が遺言書を書き、養子縁組した甥に、土地などの財産を相続させ、祭祀主宰者として指名するのです。
この場合も、他の相続人の「遺留分」には注意が必要でしょう。
4.叔父と甥(ご相談者)が養子縁組し、相続時精算課税制度を利用して生前贈与する
最後に、叔父と甥が養子縁組はしたけど、相続開始までは待てないということであれば、土地や建物は生前に贈与し、相続が開始した時に相続税の清算を行う「相続時精算課税制度」の活用も視野に入れるといいかもしれません。
相続時精算課税度を活用すれば、2500万円までの財産を非課税で贈与することができますので、土地や建物を確実に養子縁組した甥に相続させることができると思います。
相続時精算課税制度を活用した場合に、相続が開始した時に相続税の計算をするときには、この制度を活用して贈与した財産は、贈与した時点の評価を使うことになります。
また、この場合でも遺留分の問題も出てきますので、注意は必要です。
叔父から甥への4つの方法を説明しましたが、いづれにせよ、祭祀承継のための財産移転であるのであれば、利害関係者、特に相続人たちには、一族の財産がスムーズに承継されるための方策であることを理解してもらう必要があると思います。
それと、どの方法を使った場合でも遺言書は書くべきだと思いますので、その点も注意してくださいね。
今日のJAZZ
ピアニスト、ビル・エヴァンスの《You Must Believe In Spring》をB.G.M.にブログを書いています。
収録されたのが1977年8月で、1980年9月15日に亡くなったエヴァンスの死後に発表されたアルバム『You Must Believe In Spring』のタイトル曲です。
静かに始まり徐々に明るく軽快になっていきます。
相続セミナー・説明会情報
自主開催セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会」
開催日時:令和3年7月27日(火) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:6名
参加費:2,000円(税込)
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