故人には名前が3つあり、実の母親と同姓同名。ウチナーンチュのてーげーさを感じる相続手続き。


JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。

行政書士ジャジー総合法務事務所

名前が3つある故人

3年前程前のことですが、事務所前のブラックボードを見て来所された、ご近所さんから、亡くなったお母さまの相続に関して、相続人の調査と遺産分割協議書の作成依頼がありました。

相続人は子供二人と相続人のうち亡くなった方がいて代襲相続人が1名です。
大正生まれの方にしてはお子さんが少なく、手続きもすんなりいきそうだと思っていたのですが、少し問題がありました。

お客様がお母さまの戸籍謄本と不動産登記簿をお持ちになっていたので、ざっと確認すると戸籍の名前と不動産登記簿に出ているお母さまの名前が違うのです。
おや?と思ってお母さまの戸籍を遡って確認すると更に違う名前が出てきます。

お母さまはお名前を変更されていたのですが、不動産登記簿の名前は変更しておらず、それも不動産登記の際に登録の間違いがあったようなのです。

昔の戸籍は戦争で焼失して、再製したりしているので、その時に名前を変えてしまったという方も多くいると聞きますが、今回の件では、お母さまがお名前を変えたのは、昭和50年代ですから戸籍の焼失が原因でもなさそうです。

上記事例の被相続人であるお母さまのお名前の状況を仮名で整理すると次の通りです。

〇現戸籍:琉球海子(変更後の名前)
〇改製原戸籍:琉球明美(変更前の名前)
〇不動産登記簿:琉球明子(変更前の名前が誤って登記された)

また、被相続人は離婚しており、離婚した後には父親の戸籍に復籍しています。
その後に名前を変えているので、相続人である子供たちの戸籍の欄にはお母さんの名前は変更前の名前が記載されています。

さらに、家族からは「空子」と呼ばれていたそうです・・・

その上、被相続人の変更前のお名前と実のお母様のお名前が全く一緒なのです。
戸籍謄本に本人の名前「琉球明美」、本人の母の欄に「琉球明美」とあるのです。
この事実が戸籍を読み解くのにまた混乱を与えました。

那覇市役所 市民課

役所で、故人の固定資産評価証明書を取得したところ、固定資産評価証明書の名前は、不動産登記情報から得ているので間違えています。
今の名前でも変更前の名前でもありません。
相続人であるお子さんが固定資産税の評価証明書を取得しようとしても名前が違うのと故人と故人の母親が一緒の名前なので、どっちが持ち主だったのかわからないため、交付できないと言われてしまいました。
ただ、そこは住所も一緒であり、固定資産税を支払っていたのが相続人である子だったので、そのことを丁寧に説明してどうにか交付してもらいました。

遺産分割協議が終わると不動産の所有権移転登記がありましたが、故人と不動産の所有者が同一人であることを証明することに追加資料が必要でした。

逆説的に考えて、不動産の所在地の住所地に不動産の所有者の名前の方が住んでいなかったことを証明するために、不動産の所在地に所有者名義の方がいなかった住所地と本籍地にかかる証明書を発行してもらい、司法書士が法務局に相続登記する際に、説明をしていただきました。

なんとか、無事に相続登記も終わりましたが、摩訶不思議な手続きでした。
そして、沖縄のてーげー(いいかげん)さを感じる出来事でもありました。

公的な書類の名前は確認しましょう

上記の件は、相続人であるお子さんは固定資産税については名前が違うな・・・とは思っていたようなのですが、不動産登記の所有者の名前などには想いがいたらなかったようです。
それはそうすよね。
よっぽどのことがないとわかりませんから。

出来れば、公的書類の名前は今すぐ確認したほうがいいですね。
名前が違っていると手続きが大変です。

マイナンバー制度の活用

国や自治体にお願いしたいのは戸籍情報、住民票情報、固定資産情報と不動産登記情報をマイナンバーで紐づけしてください!ということです。
これこそ国民にとって有益な使い方だと思います。

マイナンバーで紐づけできれば、相続の手続きが劇的に変わると思います。

新型コロナウイルス感染拡大により特別定額給付金などの給付に際し、マイナンバーカードがあればもっと迅速かつ確実にできたのではないかとのことで、政府や自治体はマイナンバーカードの取得を促しています。

この機会にマイナンバーカードを取得する人も増えるでしょうが、もっと利便性が感じられるような制度運営を強力に進めてほしいですね。

相続手続きもその一つです。

今日のJAZZ

ホテルのカフェ・スペースでサックス奏者ジョン・コルトレーンの《Everytime We Say Goodbye》をB.G.M.にブログを書いています。
夜のラウンジで聴くとよさそうなバラードです。

相続セミナー・説明会情報

自主開催セミナー

わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会

開催日時:令和3年5月28日(金) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)

新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
また、感染拡大防止のため中止することもありますので、ご承知おきください。

詳細はこちらをクリック

ラジオ番組パーソナリティ

「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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