そのお金は貸したのか、あげたのか?契約書が必須な理由。

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JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。

行政書士ジャジー総合法務事務所

あの財産はあげたのか?貸したのか?

今朝、TV番組を観ていたら「過去に渡した現金が贈与か否か?」といったようなニュースが流れていました。
立場上、注目を集める方の結婚に関わることなので、大きく取り上げられています。

個人的には結婚はできるといいな、と思っていますし、結婚してほしいなと思います。
ここまで大きな問題があってもお互いを思う気持ちがあるのなら、結婚した方がいい。
周りの圧力には負けないでほしいなと思います。
もちろん、大変なお立場の方がお相手なので、男性側は誠心誠意、現在の問題に向かい合って解決してほしいですね。

 

このようなお金の貸し借りに関わるようなことに関しては、似たような話は多々あります。

例えば、友人と食事会に行って、お店の支払いは現金のみ手持ちの現金が少なく、友人に「ごめん、5,000円借りててもいいかな?」と申し出て、友人が「いいよ」と応じてくれた時などの日常的な貸し借りでは、契約内容を書面にするようなこともないでしょう。

借りた側が忘れていて、返すのが遅れても、もらったつもりになっていたとしても、これが少額なら大きな問題には発展しないかもしれません。
もちろん、借りたものは返さないといけないですけどね。

ただし、これが大きな金額であったり、お互いの信頼関係に大きな影響がでるようなことなら大変なことになります。

冒頭でのニュースはそんなことになってるわけですよね。

ニュースの例では、過去の現金の受け渡しが贈与だったのか、消費貸借だったのか、どちらかなのかが問題になっていますが、今日は贈与の成立要件と無用な争いを生まないような対策について、解説します。

ちなみに、民法の第2節贈与に係る条文は、2017年に改正があり、2020年4月1日から施行されています。
改正後の条文に従って解説することをご承知ください。

贈与契約とは?

まずは、贈与について、民法ではどのように定められているのでしょうか?

贈与は契約の一つですが、民法第549条で定められています。

(贈与)
民法549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。


わかりやすく言えば、贈与者が「これ(ある財産)を貴方にあげます。」、受贈者が「もらいます。」という意思表示をすれば、贈与契約が成立します。

もし、相手がいらないと言えば、贈与契約は不成立となります。

なお、口頭でも契約は成立しますが、続く第550条に契約書のない贈与についての定めがあります。

(書面によらない贈与の解除)
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

砕けた説明をするならば、口頭による贈与契約は、贈与者が「やっぱり、これ(ある財産)は貴方にはあげない。」または、受贈者が「やっぱりいらない。」と意思表示すれば、契約は解除されるということです。

ただし、贈与者が「100万円上げるね。とりあえず、今日は50万円上げるね。残りは後日ね。」と言って、受贈者に50万円を渡したり、銀行口座に振り込んだりすれば、「契約の履行が終わっている」と考えられますから、贈与者が「やっぱり100万円上げるのはやめたので、この間渡した50万円を返して。」と言っても受贈者が返す必要がない、といったことになります。

贈与対象物の受け渡しまでは契約の成立要件になっていませんが、口頭による契約では、履行の終わっていない部分、つまりはその対象物を引き渡していない状態であれば、いつでも取り消せるということです

贈与契約では契約書を作成してください

一方で、贈与契約を書面で行った場合には、履行が終わっていなくても(贈与対象物の引き渡しが行われていなくても)、原則的には、当事者の一方の意思だけでは、契約の解除はできなくなりますので、お気を付けください。

冒頭のニュースの話も契約書を作成しておけば、「貸した。」「貰った。」などの解釈の齟齬は出ずに、こんなに大きな問題とならなかったのではないかと思いますが、婚約していた間に行われたことですから、通常は契約書は作成しないでしょうね。

ちなみに、こういったトラブルが発生しないように、婚前に婚姻期間中の財産の取り扱いなどについて契約するカップルもいるようです。
僕は考えもしなかったですが、大事な考え方かもしれないです。

なんといっても、お金の貸し借りなどの契約問題は感情のもつれから発展することもあると思いますので、十分に気を付けたいですね。

昨今は、相続を前に不動産や金銭の生前贈与を行う事例も増えてきています。
不動産の贈与後には所有権移転の登記をしますので、贈与契約書は必須です。

また、金銭を贈与する場合でも贈与契約書を作成しておくと後々の様々なトラブルを避けることができるのではないでしょうか。

さらに、日常の金銭や物の貸し借りについても、契約書を作成しないとしても、はっきりと「貸すんだよ。」ということを伝えてくださいね。

今日のJAZZ

サックス奏者ポール・デズモンドの演奏が聴きたくて《Stardust》を選曲しました。
ピアニスト、デイブ・ブルーベックの一員として、大学でライブ演奏した際の収録のようです。
デスモンドの音色が優しく滑らかで、しっとりしてて聴かせてくれます。
僕が大学時代にこの演奏を聴いてたら、とりこになったかもしれません・・・
いや、若いころにはジャズには興味はモテなかったかもね。
歳を重ねたからジャズの楽しさを知ったから。
ちなみに大学時代はJ-POPばかり聴いてましたね。カラオケ全盛期で、練習も兼ねてましてジャズとは無縁でした。

相続セミナー・説明会情報

自主開催セミナー

わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会

開催日時:令和3年4月27日(火) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)

新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
また、感染拡大防止のため中止することもありますので、ご承知おきください。

詳細はこちらをクリック

ラジオ番組パーソナリティ

「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
「行政書士がラジオ番組?」と不思議に思ったらこちらをクリックすると理由が分かります。

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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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