遺言書作成のススメ:10年の実務経験から語る、円満相続の秘訣
僕はこの仕事を始めて、10年目となりますが、多くの相続案件を見てきました。
相続・遺言書専門の行政書士として、多くの相続案件を見てきた中で、遺言書の有無が相続の成否を大きく左右すると感じています。
そんな経験から、遺言書の作成意義、遺言書を作成することが望ましい方、遺言書の作成の適齢や遺言書作成事例について、書いてみました。
遺言書作成の意義
- 生前に自分の財産の分割方法や相続分を指定できます。
- 遺言者の最終意思なので、家族も尊重してくれます。
- 遺言により、円滑な相続手続きが可能です。
- 家族(遺族)の相続問題や争いを予防できます。
遺言書を作成することが望ましい方
- 不動産(土地、建物、賃貸物件、公用地、軍用地)をお持ちの方。
- 現金、預貯金や株式等の金融資産のある方。
- 個人事業主または会社経営者の方。
- 自分の死後、配偶者(妻・夫)または内縁関係の相手方の生活が心配な方。
- お子さんが多い方。
- 推推定相続人が配偶者(妻・夫)または内縁関係の相手方と兄弟姉妹である場合。
- 先祖代々の財産を次の世代に確実に遺したい方。
- ご家族に音信不通、行方不明やご病気で意思表示できない方がいらっしゃる方。
- 社会貢献などのために自治体や団体に寄付をしたいと考えている方。
遺言書作成の適齢
心身ともに元気でいられる間に作成することが望ましいと考えます。
なぜなら、遺言書を作成するには忍耐力、精神力、集中力や体力も要するからです。
判断能力が明瞭な時に作成し、必要であれば見直しをするとよいかと思います。
ですから、70歳までには一度作成することをお勧めします。
遺言書は何度でも作成し直せるため、早めに作成することで、必要に応じて見直しができます。
遺言書作成事例
事例1
生涯独身でお子様のいらっしゃらない70代後半の男性からのご相談。
高齢となった自分のことを甥っ子が何かと気にかけてくれて、身の回りの世話をしてくれる。
自分が亡くなった後に、住んでいるマンションと預貯金などの全ての財産を甥に遺したいがどうしたらいいか、とのご相談でした。
(対応)
ご相談者が亡くなった場合の推定相続人(相続人となるであろう人)はご相談者の兄弟姉妹が7名で、疎遠になっている者もいる。
相続が開始(ご相談者が亡くなる)するとご相談者の財産の行方はどうなるか予想がつかなないため、何かと面倒を見てくれる甥に遺言書で財産を遺す(遺贈)ように遺言書を作成支援しました。
兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書があれば、ご相談者の意向を実現できます。
その為にも、遺言書において、遺言執行者の指定も必須です。
事例2
妻と子供4名がいる60代前半の男性からのご相談。
親の相続の際に兄弟姉妹間で争いになり、家庭裁判所での調停・審判まで発展したそうです。
兄弟姉妹で争った結果、本家の仏壇に手を合わせることもできなくなったのです。
子供たちに同じ思いをさせたくないので、遺言書を作成したいが、どのように作成すればよいか、どの方式の遺言書が適切なのか分からない、とのご相談でした。
(対応)
ご相談者は、子供たちにできる限り平等に財産を遺したいと考えており、ご自身の死後、奥様の生活に影響が出ないようバランスの取れた遺言書を作成することとしました。
また、奥様が年上なので、先に亡くなることも考えられるため、予備的な遺言をすることもお勧めした。
ご相談者は比較的お若いため、遺言の方式は、作成し直しが容易な、ワープロなどでも作成できる秘密証書遺言としました。
遺言書原案作成には専門家の当職が関わっているので、法的要件は問題ありません。
城間 恒浩
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