【沖縄特有の相続事情④】貴方の大事な人が住むところに困ることになる相続とは?
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
不動産は分割しにくい相続財産
沖縄の相続財産は、不動産の割合が高く、分割するのが結構大変だったりします。
令和元年度の相続税の申告における全国の遺産に占める不動産(土地・家屋)は約40%であるのに対して、沖縄は約73%となっています。
沖縄の遺産に占める不動産の割合が高いことは遺産分割の難しさにもつながっています。
例えば、ご夫婦、子供二人のご家族で、お父さんが亡くなり、相続財産は住居用土地と家屋、それにいくばくかの預貯金があったとします。
不動産の評価は2,500万円で、預貯金が500万円、合計3,000万円の相続財産だとします。
法定相続割合に従うと相続人の妻は1,500万円、子供二人が1,500万円をわけあうことになります。
通常は遺されたお母さんの住むところや生活資金となる預貯金を子供たちが強硬に分割しろ!とは言ってくることはあまりないと思いますが、中には強欲な、縁の遠くなった子供たちがいると大変な状況になることもあります。
もし、子供たちが自分たちの権利を主張してくると上の例では、その時に現金が500万円しかありませんから、子供たちに法定相続分を分けるとなると不動産を処分するしかなくなります。
こんな場合には、例外もあるかもしれないですが、順番的にお母さまも子供たちよりは、早くになくなるでしょうから、土地は子供たち、建物と預貯金はお母さんが相続する、ということもありかもしれないですね。
若しくは、土地と建物は子供たちが相続し、お母さんにそのまま住んでもらい、預貯金はお母さんが相続し、お母さんが亡き後に不動産の分割方法は考えるということもひとつでしょう。
なんにせよ、お父さんが亡くなった後のお母さまの生活に支障がないようにするのが、大事なことです。
ひとつ付け加えさせてもらうとすれば、上の例では、妥協して土地や建物を三名の共有にするといったことをすると、後々発生する相続で問題も生じる可能性があります。
いずれは、子供たちも亡くなり、相続が発生しますから、その時に新たな土地や家屋の分割問題が出てきます。
不動産はできる限り、分割はしないほうがいい。
場合によっては、処分してお金に換えて分けることも考えないといけないこともあるかもしれません。
そんな事情もあって、全国で空き家や空き地問題が深刻化していて、治安上の問題や公共事業などにも支障が出てきているようです。
民法で創設された配偶者居住権について
ちなみに、居住用不動産の相続に関しては、遺された配偶者の生活に支障が出る可能性があることから、配偶者の居住用不動産については、平成30年の民法改正により相続財産から除外することができるようになっています。
この場合でも、居住用不動産を配偶者に生前贈与するか、遺言書で配偶者に相続させる旨を書き残す必要があります。
詳しくは法務省のサイトをご確認ください。
遺言書で分与方法は指定する
相続財産が、不動産が主である場合には、しっかり遺言書を書いて意思を示したほうがいいと思います。
相続人同士が話し合うと難しい話も遺言書があれば、案外すんなり決まることもあるかもしれません。
先の例でも、お父さんが遺言書に、
「全ての財産は、お母さんに相続させる。
(付言事項)お母さんの死後は、長男の沖縄太郎が相続することを望むので、お母さんも遺言書を書いてほしい。」
などと書いておくといいかもしれないですね。
ただ、遺言書は万能ではありません。
どんなに想いを込めて書いた遺言書があっても、納得しない相続人がいれば、争いになる可能性があります。
相続人には「遺留分」という相続する権利を最低保障する制度があります。
遺言書があったとしても、この遺留分を侵害されている相続人は遺留分を取り戻す(遺留分侵害額請求)ことも可能です。
遺留分は、配偶者、直系卑属(子や孫など)や直系尊属(父母、祖父母など)に認められていて、兄弟姉妹にはありません。
ですから、遺言書を書く時には、家族の状況などを考えて、遺留分にも注意する必要があるかもしれないですね。
まとめ
既に述べた通り、相続財産のほとんどが不動産だとすると遺言書の書き方も大変だと思います。
しかし、自分の築いた財産ですからどのように財産を遺すかも基本的には自由です。
自分の想う、相続の方法を考えて、遺言書にしたため、付言事項でその理由をしっかり明記し、できれば生前にその趣旨や想いをご家族にお伝えしてもらうといいかもしれないですね。
今日のJAZZ
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「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
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