遺言書は法的な拘束力のある書面ですから厳格な要件があるのです。

10月に入りましたが、暑い日が続いています。
朝晩は過ごしやすくなったと思っていましたが、クーラーなしでは眠れません。
早く涼しくなってほしいと心の底から思う暑がりの僕です。
沖縄県那覇市の遺言・相続専門JAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!

法的拘束力のある遺言書とは?

「遺言」とは、故人が遺した財産に関する想いです。
でも、大切な感情だけど法的な効果を持たせるには、法定の要件を満たす必要があります。

「遺言」は亡くなった方(=被相続人)が、遺族(=相続人)に自分の財産の分け方を伝える想いなんです。
ここで言う「想い」とは、遺された家族が自分の遺した財産のことで、決して争わないようにしてもらいたいと言うこと。

ただし、感情はこもっているけど、その感情には、法的にはなんの拘束力はありません。

たとえば、「これまで通り家族仲良くしていてほしい。」
とか
「お母さんに大目に財産を残すけど、お前たち兄弟はお母さんをしっかり支えてほしい」
などなどの故人の想いが遺言にあっても、これは法的な拘束力はありません。

遺言で、法的な力を持たせるには、「いつ」、「誰が」、「誰に」、「故人の財産の何を」、「相続させる」と法的な要件を踏まえて書面にして意思表示をしなければなりません。

遺言書にかける法的拘束力のある12項目

ですから、自分の想いをちゃんと残したいのなら、「遺言」が法的な要件を備えているのは大切なことなんです。
それでは、自分の残した財産が原因で、家族間で争いが起きないように、どうしたらいいのか?

少し、解説します。

「遺言」は書面で残すことが大事な要件となります。
この書面を「遺言書」と言います。
(※ごく一部、書面に残せないケースを想定した特別方式の遺言の方法もありますが、これはまたの機会に話します)

なぜ、書面で残すのか?
それは、あとあとの争いを避けるようにするためです。

例えば、遺言書を残さずに亡くなったお父さんが、生前に「この家の土地と建物は次男のお前に相続させる。」と話していたことを次男が主張します。

この場合、長男は黙って受け入れてくれると思いますか?
通常は「家を継ぐのは俺だ!」と思っている長男からしたら「冗談言うな!オヤジがそんなこと言うか!嘘つきめ。」と反論が始まるのではないでしょうか?

相続ならぬ「争続」の始まりです。
僕も長男ですが、弟がそんなことを言い出したらそうなる自信あります(笑)
ちなみに、僕の父親が亡くなった時にはそんな争いは起きませんでしたけどね。

それでは、この遺言が書面で残っていたらどうでしょう?
法定要件を満たした遺言書です。

長男は、基本的には受けれないといけなくなります。

それは、遺言書が、故人(被相続人)の財産を残す最終意思であるということが、強く尊重されるからです。
この、尊重されるということがないと、「遺言」なんて意味を持たないものになってしまいますからね。

そこを法定化してくれているのが、遺言制度なわけです。
もちろん、相続する内容が相続人の相続する最低限の権利を定めた遺留分を侵害するような部分があれば、長男は「遺留分侵害額請求」はできます。

また、遺族(相続人)の全員が同意して、遺言とは違う遺産の分割協議がされるのであれば、そちらに従っても問題はありません。

しかし、上の「次男坊に家を相続させる」例で言うと父親は、何かしらの想いまたは考えがあって、このような遺言を残したんでしょうね。

僕は、その想いは遺言書とは別にて残してもいいと思います。
「なんで、私(故人)がこんな遺言を残したのか?」
それを文書(遺言書の付言事項)なり動画に残すのです。

付言事項も動画も法的な拘束力はありませんが、遺言書に託した想いを伝えるための有効な方法ではあると思います。
僕は、その故人の想いを伝えることも大事だと思います。
そうすることで、故人の想いが、遺族に強く伝わるのだと思うのです。

遺言書を書く人イラスト

遺言書の方式

最後に、遺言書の方式について簡単に説明しときます。
遺言には大きく分けて、「普通方式」と「特別方式」があります。

通常は「普通方式」を使います。
「特別方式」の遺言は特殊なケースで作成されるものです。

遺言の「普通方式」には以下の3様式があります。

1.自筆証書遺言・・・遺言者が全文自筆した遺言書に署名・捺印
2.公正証書遺言・・・遺言者が口述した内容をもとに公証人が作成し、遺言者・証人2名・公証人が署名・捺印
3.秘密証書遺言・・・ワープロ(他人の代筆でも可)で作成し、遺言者・証人2名・公証人が署名・捺印

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