被相続人が存命中に相続の放棄はできるのか?

今日から2月ですね。
この間、正月が終わったと思っていたら、もう一か月がたちました。
うかうかしていたらもうすぐに大晦日がきそうです。
しっかりやるべきことを取り組んでいこうと思います。
愛知県名古屋市の株式会社マルワの鳥原久資社長から頂いた事務所にかけてるバナナペーパーでできたオリジナルカレンダーも2月となりました。

愛知県名古屋市の「株式会社マルワ」のカレンダー

被相続人の生前に相続放棄はできない

今日は、相続放棄の件でご相談を承りました。
お話を聞いていると、まだ被相続人となる方はお元気に存命しています。
そうなると相続放棄は今の時点ではできません。

まれに相談があるのですが、様々な事情で相続放棄を考えられるそうです。
例えば・・・
・あなたには財産を遺したくないから相続を放棄してほしい
・私は相続するつもりはないから今のうちに放棄します
・相続人同士であなたは相続してほしくないから相続放棄をしてほしい
・今の家族に財産を遺したいから前妻との子供には相続放棄してもらいたい
そんなことがあります。

しかし、法律上は被相続人となる人の生存中は相続放棄はできないのです。

相続というのは、あくまでも相続が発生してから権利が発生します。
ですから、権利のない段階では放棄もできないのです。

相続放棄というのは、一般的には相続が開始した時にマイナスの財産大きくて相続したくないときに使われるものです。

遺留分の放棄は可能

一方で、被相続人の生前に放棄できる権利もあります。
相続人の相続する権利を最低限保障する「遺留分」です。

遺留分は、配偶者(妻、夫)、直系卑属(子、孫など)や直系尊属(父母、祖父母など)に認められていますが、この権利は被相続人が存命中にでも放棄可能なのです。

気を付けてもらいたいのは相続する権利を放棄するのではなく、遺留分の放棄です。

例えば、ご夫婦とお子さん3名の家族で、夫が亡くなり相続人は妻と子供3名。
夫は遺言書を書いていたとします。
相続財産の総額は6,000万円。
遺言書は、妻に自宅の土地、建物(2,000万円)と現金2,000万円を相続させ、二男と三男にはそれぞれ1,000万円ずつ相続させることとするないようでした。
ここでは、様々な事情が考えられますが、わかりやすいように夫の意向で長男には相続分の指定がされていなかったということにしましょう。
この場合、長男には遺留分がありますから、妻、二男や三男に遺留分を請求できます。
これを「遺留分減殺請求」といいます。
遺留分減殺請求は口頭でもいいのですが、通常は内容証明郵便がいいかもしれないですね。

長男の遺留分は相続財産6,000万円の2分の1のうち、法定相続分になりますので、次のような計算になります。
6,000万円×2分の1=3,000万円(全体の遺留分)
3,000万円×2分の1=1,500万円(子供三名の法定相続分)
1,500万円×3分の1=5,00万円(長男の遺留分)

長男は遺言書で相続分の指定がされていなくても、遺留分として500万円を妻、二男や三男に請求できるわけです。

夫の生前に長男の話合いで、長男は遺留分の権利を行使しないことを口頭で約束していたとしても、夫の死後に二人での間の約束は守られるかわかりません。
しかし、夫の存命中に長男が遺留分の放棄の手続きをしていれば、長男は夫との約束をたがえることはできないのです。
ですから、何かしらの事情で、財産を遺したくないと思っている方がいたら、しっかりと話し合いをして遺留分の放棄をしてもらうことも必要な場面があるかもしれませんね。

遺留分の放棄をお願いする場面としては、生前に多額の贈与をしていたとか、教育資金を他の兄弟よりもたくさん出していたとか、家を買ってあげたとか、事業資金を出してあげたとか、何かしらの利益を得ていた場合(特別受益)があると思います。

遺留分の放棄を有効にする場合には、遺言書を書くことは必須です。
遺言書で、相続分を指定した上で、遺留分の放棄をする必要がありますので、その場合にはお近くの専門家にご相談ください。

遺留分の放棄の手続きは被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
なお、遺留分の放棄は申し立て後に家庭裁判所の許可が出てはじめて認められますので、無制限にできるものではないことを覚えておいてください。

家庭裁判所の遺留分に関するHPはここをクリック。

今日のJAZZ

僕は主にAmazonミュージックでJAZZを聴いています。
Amazonも僕の嗜好を知っていてくれて、お勧めのミュージックはJAZZだらけです(笑)
その中から今日はサックス奏者リチャード・エリオットの《When I Was Your Man》を聴いています。
タイトルにも惹かれました。
誤訳でなければ「私があなたの男だった時・・・」。
男はロマンチストですからね。
そのタイトル通りに切ないサックスの音色です。
ピアノとのデュオ。

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