知ってますか?自分の死後、お世話になった相続人以外の者に財産を遺す方法。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えを書いています。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら幸いです。
相続人でない者には遺言書で遺贈する
全国的に核家族が増えていますが、沖縄でも例外ではありません。
家を継ぐ長男でも、両親とは別に住んでいることは多いと思いますし、県外や海外にいることもあるでしょう。
また、昔は、旦那さんの親(姑さんなど)との同居は、お嫁さんが嫌がると聞いてましたが、最近は親も気を使うくらいなら別がいいと考えたりするようですね。
しかしながら、やはり夫の両親と暮らしている世帯もまだありますね。
僕は、約17年前に沖縄に帰ったときに実家をリフォームして二世帯で住んでます。
玄関は一緒ですが、生活スペースは別フロアーですし、キッチンも別です。
多くの二世帯の家族が、我が家のように生活スペースやキッチンが、分離していることもあると思いますが、妻と母親も良好な関係を保ってくれています。
そんな二世帯の家庭でも、たとえば息子が先になくなってしまい両親が残った家庭などもあると思います。
息子が亡くなった後も自分の面倒をよく見てくれている息子のお嫁さんに、とても感謝している方も多いかもしれませんね。
では、自分の死後、優しく面倒を見てくれた息子の嫁に財産を遺す方法はないでしょうか?
息子のお嫁さんは、法律上、相続が開始されても相続人にはなりません。
息子のお嫁さんが、相続人になるには養子縁組をする必要がありますが、大変ですよね。
養子縁組をしなくとも、息子のお嫁さんに財産を遺す方法があります。
その方法は、遺言書で、息子のお嫁さんに財産を遺すことを書き記すのです。
これを「遺贈」といいます。
遺贈には、「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。
「包括遺贈」とは、財産の全てを与えるとか、財産の3分の1を与えるなど一定の割合を示すことです。
一方で、「特定遺贈」は、「沖縄県那覇市○丁目○番地○号の宅地と建物を遺贈する」や「現金100万円を遺贈する」など、具体的に示すことです。
たとえば、息子のお嫁さんが住むところが今の家しかなく、自分の死後、その家を息子のお嫁さんに遺したいときには、例えば以下のように書き記します。
「自分の死後、自宅(沖縄県那覇市松尾○丁目○番地○号)の土地と建物は長男沖縄太郎(昭和42年9月5日生)の妻沖縄花子(昭和48年5月12日生)に遺贈する。」
もちろん正式な遺言書としての書き方はありますが、趣旨としては「どの財産」を「誰」に残すのかを明確に記載する必要があということです。
これは財産を特定していますので、特定遺贈となります。
ただ、他の子供達がいると息子のお嫁さんに財産を遺すことで争いになることもあるかもしれないですね。
他の相続人には相続する最低限の権利を保障する「遺留分」もありますから。
しかし、「子供達はだれも自分の面倒は見てくれなかったけど、息子の嫁は自分たちによくしてくれている」と思うのであれば、少しでも財産を遺して、その労に報いたいことはあるかもしれないですよね。
遺言書に「遺贈」することを書いたときには、その理由も書いておいていただくといいかもしれません。
または、遺言書を書いた時点で、相続人になるであろう方にもその理由を話しておくことですね。
そうすれば、善意で遺した財産が争いの種になることも最小限に抑えられるのではないかと思います。
ただし、相続人でない方に財産を遺したいのであれば、遺言書に書けばいいのですが、くれぐれも他の相続人との争いにならないように配慮してくださいね。
せっかく書いた遺言書が相続問題や争いを起こしてしまってはとても残念なことですから。
今回は長男のお嫁さんに財産を遺す方法を解説しましたが、遺贈による財産の承継は、内縁関係のパートナー、同性のパートナー、お孫さん、友人、慈善団体、母校などに遺すこともできる方法ですので、相続人以外に財産を遺したいと考えているなら、専門家に相談してみてください。
最後になりますが、相続人でない者に財産を遺すために遺言書で「遺贈」する場合には、必ず遺言執行者を指定してくださいね。
遺言執行者の指定がないと、せっかく書いた遺言書が実現されない可能性がありますので、確実に実行される方法を書きしるしてください。
遺言執行者については、次のブログを参考にして下さい。
知ってますか?遺言書を作成する際に遺言執行者を指定する理由。
相続人でない人に財産を遺すもう一つの方法
ちなみに自分の死後に相続人以外に財産を遺す方法として「死因贈与契約」があります。
法律上は、亡くなった方が「亡くなったらこの財産をあげます。」、もらう方が「そうなった時はもらいます。」とする契約を「死因贈与契約」といって、自分が亡くなった後には、財産を贈与することを双方が約束する諾成契約です。
口約束でも法的には有効ではありますが、その内容を知っている方が当事者だけでしたら、相続が始まった時点で、他の相続人ともめる可能性は高いでしょうね。
ですから、もし、死因贈与契約をするのであれば、契約書を作成することをお勧めします。
また、遺言書と同じように死因贈与契約を実現するための執行者も必ず指定してください。
あとは、生前に贈与する方法などもありますが、費用(税金や専門家報酬など)も多額になりますので、生前贈与を検討する場合には、専門家にご相談することをお勧めします。
今日のJAZZ
ピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバム『Waltz for Debby』をB.G.M.にブログを書いています。
エレガントで美しい旋律の演奏が続きます。
エヴァンスのファースト・トリオ(ベーシストのスコット・ラファロとドラマーのポール・モチアン)の伝説的なアルバムにして、ジャズを代表する作品でもあると思います。
何かしらジャズのアルバムを手にしたいと思ったら、お勧めの一枚の一つです。
まずは聴いてみてください。
説明不要の美しさです。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~」
開催日時:令和4年3月24日(木) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:8名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
お申込みフォーム
※件名に「3/24相続セミナー参加希望」とご記載ください。
・新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
・会場は定員24名のところ8名(講師1名別)を開催定員としています。
・会場は換気し、ご参加者にはマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
・講師はマスク着用の上、講演いたしますことをご了承ください。
・感染拡大、医療現場の状況や緊急事態宣言などの発令により中止とすることもあります。
ラジオ番組
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
「行政書士がラジオ番組?」と不思議に思ったらこちらをクリックすると理由が分かります。