ちょっと待った!その不動産の共有は避けられないのですか?もう一度、考えてみてください。

JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えを書いています。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら幸いです。行政書士ジャジー総合法務事務所 バナー広告 20210804

不動産の相続は注意が必要

最近は複数の兄弟姉妹が共有して所有している不動産のことでの相談が相次いでいます。
皆が年を重ね、相続のことも考えないといけないのだけど、どうしたらいいのか?といった相談です。

不動産(土地や家屋)を共有する考え方は、若い時には皆が資金を出し合って、土地を買い家を建てようというときには、一つの方法だと思います。
しかし、時間が経ち、相続のことを考えると共有不動産を次の世代にどのように承継したらいのかは、難しいことが多々起きます。

一つの不動産を多くの者が共有すると、この先、相続などが発生するとどんどん所有者が増える可能性もあり、所有者が増加するとその不動産の有効活用ができなくなることもあります。

人は様々な考え方を持っています。
その人が増えれば増えるほど意見の食い違いなども出てくる可能性があるのです。

以前に、当事務所の案内チラシを見て、お電話をしてきてくださった方がいました。
旦那様が亡くなられたそうで、遺産の土地を子供たちに相続させたい、とのことでした。
ただ、その不動産は自宅の建物が立っている土地で、子供の内の一人の家族とお客様が住んでいるようなのです。

このケースでは安易にお子さんたちの共有にすると後々、問題が発生する可能性もあります。
なぜなら、一つの土地を複数の人が共有すると管理や処分について、共有者で意見が合わないことも出てくるかもしれませんし、将来はその子供たちにも相続が発生し、所有者が倍々ゲームで増えることがあるからです。

不動産 相続人が増えるイメージ

不動産の相続で、相続人が増えるイメージ。

以前も不動産の相続にまつわるご相談があったのですが、。
亡くなった父親の不動産があり、相続手続きが完了しておらず、未だに父親名義の不動産を買いたいという人がいるが、売買できるか?とのお話がありました。

基本的には亡くなったお父様の名義のままでは、売買はできません。
一度、相続人の名義に変えなくてはいけません。

遺言書があれば、その通りに執行すればいいのですが、そうでなければ相続人全員での遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議については、次のブログを参考にされてください。

参考ブログ「相続人全員が話し合い合意しなくてはならない遺産分割協議の困難とは?

亡くなった方の名義になっている不動産を売買したいのであれば、原則として、次の手順で進める必要があります。
遺言書のないケースです。

1.遺産分割協議(相続人全員)
2.遺産分割協議書作成(行政書士)
3.所有権移転登記(司法書士)
4.売買契約(買主・売主〈相続人〉)
5.売買契約書作成(行政書士または宅地建物取引士)
6.所有権移転登記(司法書士)

土地と建物

土地と建物

ちなみに、相続する不動産を買い取る人が決まっていて、売ることを前提に遺産分割協議をするのであれば、換価分割することを遺産分割協議の際に取り決めをして、遺産分割協議書にも記載するといいでしょう。
換価分割とは、遺産をお金に換えて、相続人はお金で分け合うことです。
共有財産とすると厄介なことが起きる不動産の相続では使われることがあります。
その場合の遺産分割協議書の文面のサンプルです。

(換価分割の遺産分割協議書サンプル)
1.次の不動産は換価分割のため沖縄太郎が取得する。
(1)不動産の表示
所 在:那覇市松尾八丁目  地 番:888番
地 目:宅地        地 積:535㎡
(2)沖縄太郎は「(1)」の不動産を令和2年6月30日までに60,000,000円以上の価格で売却し、その売却代金から売却に要する一切の費用(仲介手数料、登記手数料など)を控除した残額を次の割合で各相続人が取得する。
なお、残額に円未満の端数がある場合には、沖縄太郎が取得する。
①沖縄 太郎 4分の2
②那覇 花子 4分の1
③沖縄 二郎 4分の1

もちろん、上記のケースでは代表者を決めずに相続人全員が遺産分割協議で決めた割合で、所有権移転登記することも可能ですが、売買契約の際に所有者が沢山いると手続きが面倒かもしれませんね。
また、手続きの途中に万が一、相続人の誰かに不幸があったりすると、その相続人の遺産を誰が取得するのか決めなくてはならず、時間がかかるかもしれません。

さらに、もしもその不動産が売れなかったら、どうなるか・・・
一つの不動産に複数の所有者がいると大変厄介な問題が起きる事は相続に難くないでしょう。

今日、解説した方法は、不動産の名義が亡くなっているままで、かつ、その不動産の買いたいと言っている方がいる場合や確実に売れる物件であれば、有効だと思います。

不動産の共有は極力避けること

最近もご相談があったのですが、遺言書で不動産(土地、建物)の相続を指定するにあたって数名の子供にそれぞれ均等割合で相続させたいとのご相談がありました。

僕は遺言書でそういった財産分与の指定が可能であることをお伝えしつつ、不動産を共有することのリスクをいくつかお話ししました。

不動産を共有するリスクとは、相続人にもいずれは相続が発生し、不動産の所有者が芋づる式に増える可能性があり、そうなると不動産の有効活用や売買も難しくなるだろうということです。

もちろん、建物の共有も同じリスクを抱えれいますが、建物はいずれなくなる時が来ますので、最悪、壊せばいいことです。

今回のご相談では、少なくとも土地は分筆した上で、相続させることをご提案しました。

くれぐれも安易に不動産を共有としないようにしてください。
後が大変です。

不動産の共有は他に方法がなくこれしか解決策がない、というときにしか使わない方がいいように思います。

また、遺産に不動産があるなら早めに名義変更の手続きをすることをお勧めします。
共有となっている不動産ほど厄介な財産はないのです。

特に沖縄の相続財産は、不動産の割合が高く、分割するのが結構大変だったりします。
令和元年度の相続税の申告における全国の遺産に占める不動産(土地・家屋)は約40%であるのに対して、沖縄は約70%となっています。
沖縄の遺産に占める不動産の割合が高いことは遺産分割の難しさにもつながっています。

参考ブログ「沖縄特有の相続事情で住むところに困ることもある。

今日のJAZZ

ギタリスト、ジム・ホールの《Concierto de Aranjuez》をB.G.M.にブログを書いています。
精神性の高い静謐なジャズを感じます。
これはヒーリング効果もあるんじゃないかな。
何度でも聴きたいジャズです。

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