知ってますか?遺言書は心身ともに元気なうちに書いてほしい理由。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えを書いています。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら幸いです。
昨晩(9/1水)はラジオ番組「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)をお聴きいただきました皆様、ありがとうございました。
マイルス・デイヴィス、トゥーツ・シールマンスやウィントン・ケリーの演奏をお届けしましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?
エンディングでは少しバタバタしましてお聴きぐるしいところもあったかと思いますが、機器操作なども一人でしてますので、たまに、間違えます。
そこはご愛敬で、お許しください。
次回は9月15日(水)21時からの放送となります。
お楽しみに!
目次
遺言書の種類
遺言書の基本的なことと命の危険を感じた時に作成する遺言書について、解説します。
まずは、遺言書の種類を簡単に解説します。
昨日のブログでも解説してますが、おさらいだと思って読んでください。
【遺言書の方式・種類】
1.普通方式
(1)自筆証書遺言
全て自らが書いて作成する。平成31年1月13日からは財産目録はワープロ等での作成が可能となってます。
(2)公正証書遺言
公証人に作成してもらう方式。証人2名が立ち会う。
(3)秘密証書遺言
内容を秘密にするという趣旨があります。特徴は代筆可能でワープロでもOK。公証人、証人2名立会いのもと封緘。公証人と証人は内容までは確認しません。
2.特別方式 ※めったにないものです
(1)隔絶地遺言
伝染病などで隔離している方や刑務所に入っている方が書く一般隔絶地遺言は証人として警察官1名と他1名の立会いが必要です。
また、船舶隔絶地遺言は、船での仕事をしている方や航海中の方が作る遺言で証人として船長または事務員と他に証人2名以上が必要になります。
(2)危急時遺言
病気や飛行機事故などで死が迫っているときに作成しますが、証人3名以上の前で遺言者が口授し証人の一人が筆記し遺言書を作成し証人が署名捺印することで作成できます。ただし、作成した遺言書は家庭裁判所で「確認の審判」を受ける必要があります。詳しくは後述します。
命の危険を感じた時に作成する危急時遺言
上記で説明したとおり遺言書には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」がありますが、何かしらの事情で命の危険(民法上は「命の危急」とされています)を感じた時に緊急で作成する遺言書の一つが危急時遺言です。
何かしらの事情というのは、病気、事故や船舶が遭難しているよう緊急事態にある状況です。
めったに作成されることはなく、1年間に全国で100件ほどのようです。
僕もこれまで2件の作成に証人及び筆記者として経験しただけです。
これまで僕が経験した案件は2件ともに入院している方からのご依頼でした。
個人情報にかかわることなので、詳細は書けませんが、この状況で最適な遺言書である「危急時遺言」をお客様にご提案し、完成させました。
危急時遺言の作成の法的要件は次の通りです。
【危急時遺言法的要件】
1.遺言者は証人3人以上の前で遺言の趣旨を口授する
2.証人の一人が遺言者の遺言の趣旨の口授を筆記する
3.遺言者の遺言の趣旨の口授を受けたものは筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせる
4.筆記した内容が正確であることを遺言者と証人が認めたら筆記した文書に署名と捺印する
5.作成された危急時遺言は家庭裁判所での裁判官の確認の審判が必要となるので請求する
6.遺言者が普通方式の遺言をできるようになった時から6か月間存命していた時には危急時遺言書は無効となる
7.遺言者が亡くなり相続が開始した場合には、家庭裁判所での遺言書の検認手続きが必要である
また、危急時遺言を作成した上で感じた注意点を次に記します。
【危急時遺言作成上の注意点】
1.緊急性は高いものの情報は裏付けをとる
遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍などは運転免許証や保険証などで確認する。
遺言書に記載する財産の全部事項証明書(登記簿)や通帳口座の情報を確認する。
相続人となるものを確認する。
相続させる者や遺贈する者の氏名、生年月日、続柄を正確に確認する。
2.証人の選任
証人は未成年者、推定相続人、署名できないもの、口授が聞き取れないもの、口授を理解できないものなどはなることができません。
また、めったにない方式であり、厳格な手続きが求められるので、報酬が発生するとしても遺言書作成の専門家である行政書士や弁護士、または士業に依頼するのが望ましいでしょう。
緊急性が高いときには、医師や看護師などにお願いすることも選択肢の一つです。
証人には家庭裁判所の確認などで調査官との面談などもありますので、ご協力してもらえる方に依頼することが望ましいでしょう。
3.遺言書の作成環境
遺言者が口授する場所は密室が望ましいです。
遺言者と証人以外は入れないこと。
特に推定相続人や利害関係者が同席していると、後々、その遺言書の真意性が問われることとなります。
病院や施設などで作成する場合には、個室を借りられるとよいと思います。
めったに取り扱いのない危急時遺言の法的要件と実際に経験した上で、感じたことを書かせてもらいました。
このような状況になった時でも遺言書の作成を望む方がいれば、作成できる方法はあります。
ただ、死の危険を感じた方が作成する遺言書ですので、確実かつ迅速な手続きが求められます。
専門家に依頼することが望ましいでしょう。
危急時遺言は、遺言者が死の間際まで、家族のことを思い作成する遺言書です。
思いが伝わらないわけがありません。
しかし、新型コロナウイルスの感染者が遺言書を作成するのはかなり困難ではないかと考えます。
証人が病室に入ることは難しいです。
ただでさえひっ迫している医療現場にご負担を書けてしまうことがあるからです。
緊張状態を保っていますから遺言書を作成したいといっても対応できないことはあるかもしれません。
遺言書の作成は国民の権利ですが、制限される状況も出てくるでしょう。
だからこそ、僕は思うのです。
遺言書は元気なうちに、できるだけ早く作成し、万が一に備えてほしいのです。
新型コロナウイルスなどの感染症に限らず、事故や事件に巻き込まれることもありますから、自分の命がいつまでも安心できると考えることはできないのではないかと思います。
また、思わぬことで命を失うことはないにしても、晩年はゆっくりと穏やかに過ごしてほしいと思います。
穏やかに家族に見守られながら、旅立ってほしいのです。
しっかりとした事前の準備が必要なのだと思います。
今日のJAZZ
ピアニスト、ウィントン・ケリーの《Kelly Blue》をB.G.M.にブログを書いています
昨晩のラジオ番組でも選曲しましたが、フルートの音色がミステリアスな雰囲気を作り出しています。
とはいえ、ブルージーないい演奏ですね。
ウィントン・ケリーは僕の好きなジャズマンの一人です。
相続セミナー・説明会情報
自主開催セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会」
開催日時:令和3年9月29日(水) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:6名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
お申込みフォーム
※件名に「9/29相続セミナー参加希望」とご記載ください。
・新型コロナウイルス感染拡大予防のため完全予約制となっております。
・会場は定員24名のところ6名(講師1名別)を開催定員としています。
・会場は換気し、ご参加者にはマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
・講師はマスク着用の上、講演いたしますことをご了承ください。
・感染拡大や緊急事態宣言の延長などにより中止とすることもあります。
ラジオ番組パーソナリティ
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
スマホのアプリでも聴けます。ダウンロードはこちらをクリックしてください。
「行政書士がラジオ番組?」と不思議に思ったらこちらをクリックすると理由が分かります。