相続人に未成年がいたら相続手続きはどうしたらいいのでしょうか?

JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。

行政書士ジャジー総合法務事務所

相続人が未成年の場合にしなければならないこと

被相続人が遺言書を遺さずに亡くなった場合には、遺産をどのように分割するかを話し合う、相続人全員による遺産分割協議が必要となります。

「相続人全員」で遺産分割協議をしないといけない、というのが案外、ハードルが高いのです。

相続人全員と話し合わないといけないけど、相続人に未成年者がいたらどうするのか?認知症の方がいたら?音信不通・行方不明の方がいたら?

色々と考えないといけないことが出てきます。

今回は相続人に未成年がいるケースについて、解説します。
遺産分割協議が必要なケースで、相続人の中に未成年者がいる時には少しばかり骨の折れる作業が出てきます。

例えば、ご夫婦とお子さんが二人(内一人が未成年)の家族で、旦那様が亡くなったとします。
相続人は妻A、成年の長女Bと未成年の長男Cの合計3名です。

遺産分割協議は、相続人3名で行うことになりますが、未成年の長男Cは自身で遺産分割協議に参加はできず、法定代理人が参加することになります。
民法第5条で、未成年者が単独で法律行為をすることはでず、法定代理人の同意のもとに可能であると定められているからです。

遺産分割協議は、話し合いとはいえ、遺産をどのように分割するかを話し合い、権利や義務を負うものですから法律行為といえます。
だとすると未成年者が単独ですることはできないため、法定代理人の同意が必要です。

では、未成年者の法定代理人とは誰の事を言うのでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのが、親権者(実親や養親)です。
また、親権者がいないケースなどでは、未成年後見人がついているケースもあるかもしれません。

遺産分割協議に未成年者が参加する場合には親権者や未成年後見人の同意が必要となります。

冒頭の例では、相続人は妻A、成年した長女Bと未成年の長男Cの3名ですが、妻Aが未成年の長男Cの法定代理人(親権者)として遺産分割協議を代わりにすればいいのでしょうか?
実はそうはいきません。

民法826条に親子における「利益相反行為」について規定があります。

利益相反行為)第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。


「利益相反行為」(りえきそうはんこうい)とは、ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為とされていますが、遺産分割協議においては、未成年者の親権者が法定代理人として、同じ相続人として遺産分割協議に加わると未成年者の権利が侵害されてしまう可能性があり、利益相反行為になるのです。

例えば、上の例での相続人の相続割合は、妻A50%、成年の長女Bと未成年の長男Cがそれぞれ25%となります。
もし、妻Aが未成年の長男Cの法定代理人となり遺産分割に参加し、長男Cの遺産の取り分をゼロとしたら、長男Cは大きな不利益を受けてしまうことになります。
権利の侵害に繋がったり、遺産分割協議では親権者が遺産を独り占めしてしまうことを防ぐために、いくら親子と言えども、利益相反行為は認められていないのです。

相続人に未成年者がいる場合の特別代理人選任

相続人に未成年者がいる場合の特別代理人選任

では、遺産分割協議において、利益相反がある場合には、どうしたらいいのかと言うと、親権者または利害関係人が家庭裁判所に未成年者の「特別代理人の選任」の申し立てをするのです。
利益が相反する遺産分割協議には、未成年者に変わって特別代理人が参加することになるのです。

特別代理人は当該遺産分割協議の相続人でなければ、特に資格や欠格事由はないようですが、後見人の欠格事由が類推適用されるようです。
いずれにせよ、特別代理人の選任の申し立ての際に、叔父や叔母などを候補者として挙げることも可能です。
また、特別代理人の選任の申し立てをする際には、遺産分割協議書の案も添付して申立する必要があり、その内容が未成年者にとって著しく不利益であったり、特別代理人の候補者が相続人の誰かと関係性が深いと家庭裁判所は受理しないこともあるようです。

遺産分割協議は、大きな権利を得たり、義務を課されたりする可能性があるものですから、未成年者が保護されるようになっているのですね。

ただし、未成年者が相続人の場合に、必ず特別代理人を選任しなくてはならないのではなく、相続人の間で利益相反がある場合に選任する必要があります。

特別代理人の選任に係る手続きは裁判所のサイトをご覧ください。
選任の申し立ての代理は行政書士はできませんので、提携する司法書士と弁護士を紹介いたします。

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今日のJAZZ

サックス奏者ジョン・コルトレーンの《I See Your Face Before Me》をB.G.M.にブログを書いています。
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コルトレーンの懐の深さを感じますね。

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