ご高齢の親御さんと二世帯住宅を建築することを考えているなら備えること。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。
高齢の親と共同で建築している家の心配
最近は地価の高騰、建築資材や人件費の高騰で、なかなか若い人が一戸建ての家を建てるのは難しくなってきているようです。
長期優良住宅などには、住宅ローン金利を引き下げるフラット35などの優遇金利措置、住宅借入金等特別控除などの減税措置などもありますが、それでも長期で大きな金利をを負担しなくてはならないので、家を建てるというのは一大決心ですし、人生の中でも失敗したくない買い物の一つですね。
多大なお金がかかる住宅の建築や購入には、親御さんの経済的な支援や親子で二世帯住宅を建築することもあるかもしれないですね。
その建築途中に、施主の一人である親が亡くなったとしたときのリスク対応について書き示します。
施主である親が亡くなるということは、相続が発生するということですから、思いもよらぬことが起きる可能性もあるのです。
住宅建築中の施主の死亡については、様々なケースがあると思いますし、登記に関すること、住宅ローンやつなぎ融資に係る問題もありますが、今回の記事では、以下のケースでのリスク対応について、書いてみます。
(事例)
父親が所有する土地の上に、父と長男がお金を出し合って家を作る。
1階が父母、2階が長男家族が住むことを前提に、2階建ての家を建てる計画をして、着工しました。父は自己資金で全額を準備し、長男は住宅ローンを組みました。
将来的には、長男が土地と1階部分を相続することを想定しています。しかし、着工して、2か月が経過したころに、父が心疾患で倒れ、そのまま亡くなってしまいました。
父は建築資金(全額自己資金)をA銀行の口座に入れていましたが、凍結されてしまいお金も引き出せません。
建築中の建物はどうなるのでしょうか?
建築会社としては、施主の相続人が誰で、この建築を続行するのかが大きな関心事です。
相続手続きの行方によっては、住宅建築も頓挫してしまうこともあるかもしれません。
誰がお金を払ってくれるかわからないのですから。
上記のケースでは、父の相続人全員で話し合いをして、建築に関する権利義務関係と建築資金の預貯金債権について、長男が相続することに関して、合意を取り付ける必要があります。
相続人全員で被相続人の遺産を分割する話し合いをするのですが、これを遺産分割協議といいます。
ただ、遺産分割協議はなかなか大変です。
まず、相続人全員が遺産分割協議に参加できることが前提です。
相続人に未成年者、認知症、精神疾患、音信不通・行方不明者がいたらどうするのか?
また、相続人全員が話し合いのできる状況にあったとしても、相続人一人の都合にあわせた遺産分割協議ができるのか?
遺産分割協議は多数決では決められません。
相続人全員が合意する必要があるのです。
いろいろと不確実な要素が多いのです。
知ってますか?故人の遺産を分ける話し合いが難しい理由。
では、上記の事例では、どのような対策があるのでしょうか?
建築中に高齢の親が亡くなることに備えて、遺言書を作成するのです。
(建築中の建物に関する遺言書例)
第1条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を長男沖縄一郎(昭和50年5月1日生)に相続させる。
所 在 沖縄県浦添市内間十丁目
地 番 10番10
地 目 宅地
地 積 220.00平方メートル第2条 遺言者は、遺言者および長男沖縄一郎(昭和50年5月1日生)を注文者、株式会社オキナワケンセツ(代表取締役琉球建男:沖縄県那覇市泉崎5丁目5番5号)を請負人とする工事請負契約(「沖縄邸新築工事」令和4年5月11日付、建物建築地沖縄県浦添市内間十丁目10番10)に基づき遺言者が取得した一切の権利、義務および同工事請負契約に基づき建築される建物のうち遺言者の所有とする建物の1階部分(建築確認時床面積100.11平方メートル)を前記沖縄一郎に相続させる。
2 前記長男沖縄一郎は、前項の負担として、同工事請負契約における遺言者名義の債務の残額を支払うこと。第3条 遺言者は、沖縄銀行に対して有する遺言者名義の次の預金債権を前記長男沖縄一郎に相続させる。
ウラソエ支店 普通口座 口座番号1234567
上記の例では父は全額自己資金で建築代金を支払う予定でいましたので、このような遺言書があれば、リスクに備えられます。
第1条は建築する住宅の建つ土地。
第2条は建築中の建物に関する権利義務および完成した後の建物の相続。
第3条は建築資金を預金している口座の相続。
建築中の建物については、出来る限り特定した方がいいので、自筆証書遺言の場合には、工事請負契約書のコピーや図面のコピーなどを添付するのも一つの方法です。
なお、父も住宅ローンを組む予定であった場合などは、また、話が違ってくることもあると思いますので、お気を付けください。
その場合のリスクは建設会社や融資を申し込む金融機関にも十分に確認をされてくださいね。
なんにせよ、大きな買い物である住宅の建築の際には、万が一に備えることも必要かもしれません。
また、上記のような遺言書があっても、他の相続人の遺留分(相続人の相続する最低限の権利)が侵害されている場合には、問題が発生するかもしれないので、完璧とは言い切れません。
僕も過去に一件、建築途中の住宅の相続に備えた遺言書の作成をお手伝いしましたが、お客様(80歳代)には、何事もなく完成しました。
完成した新しい家に住むお客様とそのご家族の笑顔を見て、僕も嬉しくなったのを覚えています。
何もないに越したことはありませんが、万が一に備えることは大事なことです。
今日のJAZZ
ベーシスト、チャールズ・ミンガスの《Pithecanthropus Erectus》をB.G.M.にブログを書いています。
なんだか映画を観ているような感じで、ストーリーがあるような感じがします。
ミンガスの意図は分かりませんが、大昔、山の中や洞窟の中に暮らす猿人の姿が思い浮かぶのは僕だけでしょうか・・・
なんにせよ、面白い演奏です。いっろいろ想像しながら聴いてほしいですね。
相続セミナー・説明会情報
自主開催相続セミナー
【終活・遺言書セミナー】「エンディング・ノートと遺言書の上手な活用 ~幸せな相続の準備~」
開催日時:令和4年6月29日(水) AM10:00~11:20(80分)
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:8名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
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ラジオ番組
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