知っててもらいたい相続手続きで最初にしてもらいたいこと。

JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は200件以上、相続相談は400件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを日々感じ、「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて確信しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外の好きなジャズのこと、日常や僕の想い・考えも書いていますよ。
本ブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。行政書士ジャジー総合法務事務所 バナー広告 20210804

相続手続きに欠かせない書類とは?

僕は行政書士として、終活・相続・遺言書を専門にしていますが、相続手続きでは相続人調査が欠かせません。

相続人を調査するためには、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集しなければなりませんが、戸籍謄本などは、本籍があった市区町村でしか取得できませんので、遠隔地、離島や県外に本籍があったりすると大変な作業になります。

早く、最寄りの市町村で、本籍関係なくすべての戸籍謄本などが取得できるように整備してもらいたいものです。

過去のケースによっては、10市町村以上で50通以上の戸籍謄本などを収集しなくてはならないこともありました。
コツを知っている僕ら専門家でも大変なケースですが、一般の方には、相続人調査も困難を伴うことと思います。

行政の未熟さが、国民の不便を招いている顕著な例ですね。

ところで、なぜ、相続手続きにおいては、相続人の調査が不可欠なのでしょうか?

誰かが亡くなると、相続が開始されます。
亡くなった瞬間に相続が開始されて故人(被相続人)の遺産は遺族のうち相続する権利を有する者(相続人)の共有財産となります。

遺産をどのように分けるかは、相続人全員で話し合いをしなくてはならないのです。
となるとその相続人の確定は重要なことは分かるでしょう。
誰が相続人になるかは重要なことです。

遺産には、不動産、預貯金、現金、株式、宝石、美術品、骨董品、ゴルフ会員権、債券や債務(マイナスの財産)などがありますが、その遺産の相続の手続きに当たっては様々な書類を準備しなくてはなりませんが、その中でも被相続人の出生から死亡の時までの戸籍、除籍、改製原戸籍や相続人全員の戸籍謄本・抄本などは必須書類で、確実に集めなくてはなりません。

まずは、被相続人の出生から死亡の時までの戸籍、除籍、改製原戸籍を集めるのが大変な苦労を伴います。
本籍が動いていない人ならいいのですが、人によっては何度か転籍していることもあります。
その場合には、本籍があった先々の市区町村で戸籍謄本などを取得しなくてはならないので、大変です。
また、相続人全員の戸籍謄本・抄本も用意しなくてはならないので、集めた戸籍謄本などが何十通も手元にあるといったこともあり得ます。

さらに不動産があり、預貯金口座がいくつもある場合には、手続きを同時並行で進める場合には、同じ戸籍謄本などを何セットも用意しなくてはならず、そういった書類の発行手数料だけでも、かなり多額になることもあります。

この戸籍謄本などを集める過程で、その手続きの煩雑さにつかれてしまう人も多いようです。

戸籍謄本などの収集に係るコツは次のブログが参考になります。

[blogcard url=”https://jazzyshiroma.com/archives/10469″]

僕ら行政書士は、相続手続きの一環としての文書(法定相続情報一覧図や相続関係説明図)の作成のためであれば、職務上請求書を利用して相続人調査が可能です。
なお、文書作成を伴わない場合には、職務上請求書を使用しての相続人調査はできません。

法定相続情報証明制度とは?

相続の手続き書類を集めるのが大変であることで、相続の手続きが完了しないと様々な弊害も出てきます。
その例が、不動産の相続登記がされずに、所有者が誰なのか、わからない土地や建物が増加してしまうことや預貯金口座が解約できない事です。

土地や建物が誰のものかわからないと市場での売買がされるずに大きな取引が減少することとなります。
預貯金口座が眠ったままだと多額の預貯金が市場に出回りません。
これは日本経済にとってもよくないですね。

また、公共事業を行おうとしたときに不動産の持ち主がわからないと、事業が円滑に進まずに、公益を害することもあるかもしれません。

そんなこともあり、国は相続手続きが円滑に進むようにと考えて、2017年(平成29年5月)に運用開始されたのが「法定相続情報証明制度」です。

法定相続情報証明制度 告知チラシ 法務省

法務省HPより

法定相続情報制度は、相続が開始した時点の相続人の一覧を法務局が証明してくれる制度で、その証明書で、従来の戸籍などに換えて不動産の登記手続きや預貯金口座の解約ができるようになるというものです。

法定相続情報制度を利用して作成されるのが「法定相続情報(一覧図)」です。

法定相続情報一覧図サンプル

ただし、法定相続情報一覧図を作成する場合には、従来通り被相続人の出生から死亡の時までの戸籍、除籍、改製原戸籍や相続人全員の戸籍謄本・抄本などを集めなくてはならないのは変わりません。

そうなると、本当に相続手続きが簡素化されるのか?といった疑問も湧いてきます。
たしかに、不動産の相続登記だけ、とか預貯金口座は一か所だけ、であるのであれば法定相続情報一覧図を作成するメリットはあまりないかもしれないですね。

しかし、不動産の相続登記や預貯金口座の解約が多数あり、手続きを同時並行して進めたい場合やスピーディーに手続きを完了したい場合には威力を発揮するかと思います。
また、戸籍謄本などは1通で住むので経費の負担も軽くなります。

法定相続情報一覧図作成の手続き・必要書類など

法定相続情報一覧図の作成・保管・交付の手続きは以下の通り。

法定相続情報証明制度1 制度概要 手続きの流れ 法務省

法務省HPより

1.相続の開始
被相続人の死亡

2.必要書類の収集
①被相続人の出生から死亡時までの戸籍・除籍・改正原戸籍など
②被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)
③相続人全員の戸籍謄本(または抄本)
④相続人のうち法定相続情報一覧図の保管を申し出るものの身分を証明する書類
⑤法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合には各相続人の住民票謄本(または抄本)
⑥申し出人の代理人が手続きをする場合には委任状など
※本手続きを代理できるのは、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士です。

法定相続情報証明制度2 STEP1必要書類の収集 法務省

法務省HPより

3.登記所への申し出
申出をする登記所は,以下の地を管轄する登記所のいずれかを選択することが可能。
①被相続人の本籍地(死亡時の本籍を指します。)
②被相続人の最後の住所地
③申出人の住所地
④被相続人名義の不動産の所在地

登記所の管轄は(ここ)をクリック
被相続人の戸籍・除籍・改正原戸籍や相続人の戸籍謄本・抄本などの原本の返却を希望する場合には申出書に記載してください。
登記所へ直接申出書や添付書類を持ち込むか、郵送でも可能です。
法定相続情報一覧図の保管・交付の依頼を郵送で申し出する場合には、返却用の封筒を同封する必要があります。

法定相続情報証明制度3 STEP2 法定相続情報一覧図の作成 STEP3申出書の記入 法務省

法務省HPより

4.法定相続情報一覧図の交付
保管・交付に加え、申し出人は再交付の申請も可能です。

5.登記所の手数料
本手続きを相続人ご自身で行う場合には法定相続情報一覧図の保管・交付の手数料は無料です。
被相続人や相続人の戸籍などの取得手数料はかかります。
また、行政書士などの専門家に依頼する場合には、各専門家の報酬が必要となります。

法定相続情報証明制度4 よくある質問 法務省

法務省HPより

法定相続情報証明制度の参考サイト

法定相続情報証明制度の手続きに関する参考サイトを列挙しますので、参考にしてください。

1.法定相続情報証明制度について(法務省)

2.法定相続情報証明制度の具体的な手続きについて(法務局)

3.法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書(ひな形) 同(記入例)

4.法定相続情報一覧図の保管及び交付に必要な書類

今日のJAZZ

ピアニスト、ビル・エヴァンスの《I Wish I Knew》をB.G.M.にビールを飲みながらブログを書いています。
疲れた体に沁みる心地よいバラードです。
時折、力強さも感じられて単調でないところがまたいい。

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