【相談事例】年老いた親が思い悩む相続。
JAZZ好きの行政書士城間恒浩(@jazzyshiroma)です。
僕は沖縄県那覇市松尾で遺言相続専門の行政書士として、遺言書や遺産分割協議書の作成、相続や終活のご相談を承っております。
これまで関係した遺言書・遺産分割協議書・贈与契約書等の作成は100件以上、相続相談は300件以上となっており、相続や遺言のことでお困りの方がいることを肌で感じ「相続は準備させすれば、ご本人もご家族も幸せになれる」ことを実務を通じて実感しています。
このブログでは、実務を通じて感じる相続や遺言の話を中心に書いています。
また、たまに相続や遺言以外のことを書いています。
人の生き方が相続手続きを阻む
僕がこの仕事を始めてからご相談を受けた案件で、かれこれ5年以上解決できていない相続があります。
今も3か月に一度のニュースレター「ジャジー通信」を送信すると近況を知らせるお電話があります。
個人が特定されないように脚色を加えますが、どちらも85歳を超えるご高齢のご夫婦と50歳を超えるお子さんがお二人のご家族です。
旦那様が亡くなり、相続が発生しました。
旦那様の遺産は不動産(土地、建物)と預貯金です。
遺言書はなかったので、相続人である妻と子の3名で、遺産をどのように分割するかを話し合う遺産分割協議をすることで、財産分与が可能です。
しかし、お子様のうち嫁いだ娘さんは、いつでも話に応じるつもりでいるようなのですが、もうお一人が遺産分割協議に参加してくれないのだけど、どうにかならないかとのご相談でした。
そのお子さんは50歳を超えますが独身で、長いこと仕事につかずに家に引きこもっていて、殆ど外出もしないそうです。
昔は技術者として仕事をしていたのですが、いつしか心が傷つき社会に出られなくなったようです。
お客様のお話によれば意思判断応力はありますが、話し合いに応じてくれない理由すら話してくれないそうです。
ご相談者である被相続人の妻は、お子さんのことについて、子供のころからの生い立ちを一生懸命に話してくれました。
優しい子で、シャイで、あまりじゃべらない子だったけど、体は大きくて、お父さんのことが好きでした。
でも、仕事をする中で、いつの日か家を出られなくなってしまい20年近くが経ちますとのことです。
食事もいまだに、85歳を超えるお客様が毎食作っているそうです。
そんな状況のお子さんに対しては、最初は色々と手を尽くしたそうですが、心を開いてくれなかったようですね。
85歳を超えるお客様の年金で、どうにか暮らしているようですが、生活も苦しいので亡くなったお父様の遺した不動産を売ってマンションを購入して、暮らしたいと考えているようです。
不動産屋に相談するとまずは相続手続きをして名義を変えてからでないと進められないとの話があり、僕のところへご相談に来られたのです。
不動産の売買をする時には、相続手続きが完了していないと全部を売ることもできませんからね。
自分だけの相続分を登記して、その分だけを売ることは理論上は可能ですが、活用できない不動産の一部を購入する方はいないかもしれませんね。
ご相談を受けていて、とても切なくなりました。
こんなにもご高齢となり、本来ならゆっくりと人生を過ごしたいだろうに、引きこもっているお子さんのことに心を痛め、自分の体も悪いのに3食の食事を作り、爪に火を点すような生活をされているのです。
僕はお子様の人生に何かしら意見を唱えるつもりはありませんし、言える立場にはありません。
その方にとって大きな出来事があり、そんな状況になっているのでしょう。
ただ、一つ言えるのは、ご自身のお母様も苦しんでいるということです。
お子様ご自身だけでなく、お母様も苦しまれていることに気が付いてもらえないだろうかと思っています。
何度かお客様には「僕がお子さんにお会いして、相続手続きのことを説明しましょうか?」とご提案をさせて頂きましたが、お会いしていただくことはかないません。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要ですが、そのテーブルにもついてくれないのです。
お客様は家庭裁判所などでの調停審判などもあることはご存じのようでしたが、そんなことをするつもりはないようです。
今回のようにお子様のうちの一人が、どのような理由で遺産分割協議に応じないのかわかりませんが、どんな理由であれ、相続人のお一人が遺産分割協議に応じてくれなければ、こういった状況にも陥るのですね。
遺言書の必要性
今回ご紹介したケースでは、本来であれば、亡くなった旦那様がお元気なうちにご相談していただければ、有効な方策をお伝え出来たかもしれません。
しかし、不動産の所有者である旦那様が亡くなった今では、タイミングを逸しています。
このような事例に該当する方のために、相続の準備としての有効な方策の一つをお伝えしておきます。
それは遺言書を書くことです。
上記のケースでも遺言書があり、例えばお客様(被相続人の妻)に不動産と預貯金を全て相続させる旨の遺言内容で遺言執行者を指定していたのなら、今頃はすべてが解決し、お客様が望む生活ができていたかもしれません。
相続は準備が大切です。
今回のような切ないご相談がなくなるように、遺言書の大切さを伝えていきたいと思います。
もちろん、今回ご紹介した事例のお客様の案件も継続的にフォローします。
好転することを願います。
今日のJAZZ
サックス奏者エリック・ドルフィーの《Fire Waltz》を聴いています。
率直に言えば、この演奏でのドルフィーの切り裂くようなサックスの音色は好きじゃない(笑)
不協和音にしか聞こえない。
ドルフィーの後のブッカー・リトルのトランペットはまだ聴けるかな。
しかし、これもジャズで、こんな演奏もあるんです。
僕は落ち着いたジャズが好きなので、あまり好きなのではないのです。
ブログの読者の中にはこんな感じのジャズも好きな方もいるかと思いますので、紹介します。
相続セミナー・説明会情報
自主開催セミナー
「わかりやすい終活、相続と遺言書のはなし ~幸せな相続の準備~ 説明会」
開催日時:令和3年8月25日(水) 午前10時から11時20分
開催場所:沖縄県教職員共済会館「八汐荘」(那覇市松尾1-6-1)
定員:6名
参加費:2,000円(税込)
お申込み・お問合せ:
行政書士ジャジー総合法務事務所
098-861-3953
お申込みフォーム
※件名に「8/25相続セミナー参加希望」とご記載ください。
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ラジオ番組パーソナリティ
「ジャジーのJAZZタイム×幸せな相続相談」(FMレキオFM80.6MHz)
毎月第1および第3水曜日21:00~21:50放送中。
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