【最終回】日本一仲のいいサザエさんファミリーでも争う相続。カツオの「遺留分減殺請求事件」とその後・・・


こんにちは。
沖縄県那覇市のJAZZ好きの行政書士ジャジーこと城間恒浩です!

磯野フネの相続と遺言書

さて、昨日までサザエさんファミリーのお母さん、故磯野フネさんの相続について、2日間にわたってブログに書いてきました。
まだ読んでない方は、2日前のブログから読んでいただくとわかりやすいかもしれません。

2017/04/10

今日が最終回となります。
ちょっと長いですよ(笑)

僕が、フネの書いた遺言書の遺言執行者となっていたことからサザエさんファミリーの相続にかかわることになったんですけどね。

フネさんの相続の概要はというと・・・

サザエさんファミリーの精神的支柱である磯野フネさんが病気で亡くなりました。
主な相続財産は、へそくりの1,200万円。

相続人は、配偶者の磯野波平、第一順位相続人の子、フグ田サザエ、磯野カツオ、磯野ワカメの4名。

法定相続分は、波平は2分の1(600万円)、子のサザエ、カツオとワカメは全体で2分の1、それぞれ6分の1(各々200万円)となります。

ですが、しっかり者のフネは遺言書を書いており、全財産を次女のワカメに遺すこととしていました。

次女のワカメに全財産を遺した理由は・・・

フネが遺した1,200万円は、家族に何かあった時に使ってほしいとのフネの意向があり、
しっかり者のワカメに遺すことで、家族の危機の際に有益に使ってもらえると考えたからです。

サザエさん家系図。ウィキペディアより。

カツオが「遺留分減殺請求」の意思表示する!

しかし、フネの1年忌を迎える直前に、カツオが「遺留分減殺請求」を行使してきたのです。

どうもカツオは調子のいい性格から、会社の後輩たちに飲みに行くたびにおごっていて、お小遣いだけでは生活が厳しくなってきたようです。

そのため、一度はフネの遺言に納得したカツオが、お金欲しさにワカメにわたったフネの遺産に目を付けたのです。

実は、カツオは、ワカメに、電話や会うたびにフネの遺したお金を渡すように執拗に迫っていたそうなんです。

カツオ「ワカメ、お金に困ってるんだ。お母さんの遺したお金を少し分けてくれよ~」

ワカメ「ダメよ。どうせ飲み代や無駄遣いで使ってしまうんでしょ。お母さんは、そんな事に使うためにお金を遺したんじゃないわよ。まずは、無駄遣いをやめて!」

そんなやり取りが半年ほど続いていたのですが、いよいよ困ったカツオが、ネットや本で調べた知識で「遺留分減殺請求」を行使してきたのです。

遺留分」とは、簡単に説明すると相続人の相続権を保護するもので、相続財産の一定割合について確保することができる権利です。

その権利の行使のためには、「遺留分減殺請求」をすればいいのです。
ちなみに遺留分の権利があるのは、第三順位の相続人である兄弟姉妹以外。
つまり、配偶者、直系卑属(子や孫など)と直系尊属(父母や祖父母など)です。
その割合は、直系尊属のみの場合には、相続財産の3分の1、それ以外は2分の1です。

「遺留分」を侵害された相続人は、「遺留分減殺請求」を行使することで自分の相続分の権利の一部を保護することができます。

「遺留分減殺請求」の方法は、意思表示すれば足りますので、遺留分を侵害している相手方に対して、口頭、電話、手紙、FAX、メールでも良いとされています。

ですからカツオがワカメに、電話や口頭で、フネの遺した財産の一部を渡してくれるように頼んでいたのは、「遺留分減殺請求」の意思表示(行使)にあたると考えられます。

でも、通常は口頭などで遺留分の権利を得られなければ、内容証明郵便をおくったり、配達証明付きの手紙を送ったりするでしょう。

それでも、相手方が応じてくれないときには、家庭裁判所に家事調停の申し立てをすることになります。

裁判をする前に、家庭裁判所で家事調停の申し立てをしないといけないとされているのです。

カツオ「遺留分減殺請求」事件

結局、カツオは自分の遺留分について「遺留分減殺請求」を家庭裁判所に家事調停の申し立てを行ったようです。

カツオの遺留分は・・・
相続財産1,200万円
遺留分が第一順位の直系卑属ですので、2分の1。

1,200万円 × 2分の1 =600万円(総体遺留分といいます)
カツオの個別遺留分は、相続分割合である6分の1から計算して・・・
600万円 × 6分の1 = 100万円となります。

遺留分の計算方法は、生前の贈与などいろいろ加算したりするのもありますが、わかり易く説明するために今回はシンプルにフネのへそくり相続財産だけを考慮してます。

カツオの遺留分減殺請求事件はカツオの請求が認められて、カツオは100万円を手に入れたそうです。

この争い以降、サザエさんファミリーには従来の明るさが失われたそうです。
あんなに、日本中がうらやむとても幸せそうな家族だったのに・・・
はい、カツオは100万円のために家族の絆をボロボロにしてしまったのです。

相続の怖さと予防策

僕が言うのもなんですが、相続って怖いですね。
おうおうにして、子供が争いの種になります。

どなんなに仲のいい家族でも争いとなる可能性はあるのです。
あのサザエさんファミリーさえ争ってしまったのですから。

相続財産の額は争いになるか否かには関係ないようです。
せっかく書いた遺言書が不公平であると、かえって争いを招きます。

お金を遺すことが、幸せなのか考えてしまいますね。
でも、僕は相続は準備させすれば皆が幸せになると思うのです。
大方の相続争いを予防できると思います。

出来るだけ公平な「遺言書」を書き、その理由を「付言事項」として遺し、そして遺言書を書いたら家族にその内容と理由を伝えておくべきなんです。

あ、遺言書の内容や理由を知らせると場合によっては、争いの種になるので、よくよく考えてから判断してくださいね。
それで、大体の相続争いを防ぐことができます。

しかし、今回、フネが遺した遺言書は、優しさが裏目に出てしまったケースだったのかもしれません。
もしかしたら、法定相続分または遺留分に配慮した遺言書だったらカツオが血迷うこともなかったかもしれないです。

僕もフネに十分にアドバイスできなくて悔やんでいます。
フネの優しさにほだされてしまいました・・・
今後の遺言書作成の際のサポートに行かしたいと思います。

サザエさんファミリーの絆は永遠です!

国民的な幸せな家族の絆が失われたこの事件ですが、実は後日談があります。

「遺留分減殺請求」で100万円を手に入れたカツオは、生来のお調子者の性格に輪がかかり、100万円は3か月ほどで使い果たしてしまいます。

お金が足りず、借金を重ねるようになり、会社の金に手を出してしまいます。
当然、会社は首になり、自暴自棄になりすさんだ生活を送っていたカツオ・・・

そのカツオを救ったのは、波平、サザエ、ワカメ、マスオ、タラオとタマの忘れ形見キンでした。
身も心もボロボロになったカツオを家に向かい入れ、子供のころのように生活を送れるようにしてくれたのです。

やっぱり、家族は家族ですね。
困っていたら助けてくれる。

特にサザエさんファミリーはどんな時も助け合ってきてました。
今回もお調子者のカツオを助けてくれたんです。

今日もサザエさんの家からは・・・

波平「カツオ、バッカモ~~~ン。そろそろ仕事を探せ!」

サザエ「カツオ、暇でしょ!買い物お願い~~」

ワカメ「お兄ちゃん、ご飯食べた?」

マスオ「カツオくん、どんな仕事したいの?」

タラオ「カツオにいちゃん、失業保険もらえるかもよ~~」

キン「ニャ~~ン!」

カツオ「中島と飲んでくる~~」

一同「コラ~~~(怒)」

カツオの性格は変わらないようですが、昔のように明るい家族に戻り、賑やかな声が聞こえてきます^^

フネの財産が原因で、少し争いましたが、サザエさんファミリーの絆は強かったようです。
サザエさんファミリーの絆は永遠ですね。

相続争いは誰にでも起こりえるから準備しよう

皆さんも家庭もサザエさんファミリーのように、相続争いが起きてももとの仲のいい家族に戻れればいいですが、実際はそうはいかないのが現実です。

ですから、相続が争いにならないように、不公平とならないような、法的に有効な遺言書を書いて、相続の準備をしていただくといいと思います。

もし、遺言書をかくなら専門家に相談してくださいね。

僕は、今回のサザエさんファミリーの相続事件で、いろいろなことを学びましたので、いい仕事すると思いますよ~~(笑)

追伸
もちろん、全てフィクションです。
フネは元気ですし、サザエさんファミリーは何事もなく仲良しです^^
今度の日曜日の18時半を楽しみにしてます。
日本一明るいサザエさんファミリーの物語に会えますから。

今日のJAZZ

タイトルに目を奪われて聴いてます。
New York Jazz Lounge – Bar Jazz Classics。
僕は New York が好きだからね。
最初の曲、ピアノ、サックスとドラムトリオの「オール・オブ・ミー」もとても雰囲気が良くていい。
文字通り、ニューヨーク・マンハッタンの高層階のラウンジで聴きたいですね。

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「中学生でもわかるやさしい遺言書とエンディングノートの書き方 ~幸せな相続の準備~ 説明会」

誰も相続で家族が争うことを望んではいないはずです。でも、準備が不十分なことから大なり小なり相続争いが発生しています。相続を争いにしないために遺言書を書く方も増加しています。しかし、法的要件をクリアしていますか?遺言書は一つでも法的要件を欠くと無効になります。
また、遺言書とエンディングノートを混同していませんか?違うものです。

《日時》 平成29年4月26日(水) 午前9:45~11:45
《会場》 沖縄県教職員会館「八汐荘」 3階 小会議室 (那覇市松尾1-6-1) 駐車場有《定員》 12名
《参加費》2,000円(税込)
※お二人目からは1,000円(税込)。ご夫婦で参加でしたら3,000円です。
《申込方法》
・携帯電話 080-1087-7965
・電  話 098-861-3953
・FAX   098-862-8641
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城間 恒浩

代表者行政書士ジャジー総合法務事務所
沖縄県那覇市松尾の遺言・相続関係専門のJAZZ好きの行政書士。 2010年に父親と祖母を同じ年に亡くし2度の相続を経験。 その時に感じたのが「気軽に相続や遺言に関する相談先があったらいいのになぁ」ということ。 そんなことから、身近な街の法律家、遺言・相続専門の行政書士として、自分の経験や学んだ知識で相続でお困りの方のご相談にのっています。 行政書士は遺産分割協議書や遺言書作成などの相続関係のお手伝いもできるのです。 1971年9月生。国際協力関係の仕事に約11年間、社会保険労務士の事務所で約10年勤務後、2015年10月より現職。 エクスマ塾67期。エクスマ・エヴァンジェリスト15期。エクスマ学院1期。 JAZZが大好き。好きな場所は、沖縄とニューヨーク。 2016年9月よりラジオ番組パーソナリティーとしても活躍中。お気軽に「ジャジー」と声をかけてください!

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